ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ざらっざらのお召しです。

2008-07-06 12:58:12 | 着物・古布
少し色が明るいかなーと思ったのですが、気楽に着られそうです。
これがまた、私の体系にビーーーッタシ、まるでお誂えのようです。
古着では、なかなかそういうことがありませんで、
古いほど細身だし、裄は短めだし、なのですが、
ほんとに珍しくもピッタリ合いました。

お召しですがほんとにしぼ立ちが強くて、裏がついてなきゃしじらに見える…。
ただの縞ではなくて、二本線の縞の間のほそーい線は
ところどころ途切れて柄になっています。
そばで見なきゃわかりませんけど。

この着物、裏は胴貫でして、八掛はついてますが、
胴裏はうしろだけ、でもこれって暑がりの私にはとてもありがたいんです。
袖も単のまんまで、袖口のみ裏つき。こういう「小技」、好きですー。
八掛の色がちょっと赤いかなと思います。写真よりはもう少し沈んだ色なので、
まぁ年齢的には、それほどハズしてはいないんですが、
私どうしても地味好みなので、できれば表に合う「青系」か、
うーんと暗~い抹茶がいいかなぁと思っています。

それとこの着物、褄の部分の裾がちょっとカーブついてるんです。
こんなの初めて見ました。粋に着るための(グッと裾つぼまりに見えるし)ワザ?
こんな感じです、かなりあがっていますでしょ。


     


こういうのって昔の人は、やったんですかねぇ。
和裁なさるかた、ご存知ですか?
で、自分で着ないで、またお福ちゃんです。
あ…かしいでる…全くボケてますなぁ。すみません。


              


この写真撮影作業始めたとき、夜中とっくに過ぎてまして(2時半ころ)、
帯はそのへんにおいてあった半幅、うしろも結んでませーん。
そのため帯締めがゆるんで「帯留」が下がってますがな。すみません。
この帯留は、以前もご紹介したブログのお友達のプレゼント、
「鯉の滝登り」です。この着物にあってますねぇ。
あ…ずーっと後ろの帯び掛けもそのまんまやん、写真はやっぱり、
昼間シャキーンとしているときに撮らな、あきまへんな。

この着物は見たところダメージもないし、とても気に入りました。
なにがいいってアータ、送料入れても2000円でおつりがきたー。(そこかい)
古着で色柄も、状態も、サイズも、そしてお値段も希望通りっていうのは、
なっっっかなか出会いませんから、とっても幸運でした。

さて、それでは「お召し」について。
これもずいぶん前に書いていますが、着物を入手したことだしもう一度。

お召しは「ちりめん」の一種ですが、ほかのちりめんとはちょっと違います。
どこがどう違うかの前に、染めや織、糸のお話を…。
和服に使われる布地(反物)には、染めと織があります。
カンタンにいうと、白いまま織って、反物にしてから
柄を描き入れたり地色を染めたりするのが「染めの着物」で
ほとんどの場合「後練り・後染め」です。
「練り」というのは「精錬」のこと、生糸にはお蚕さんの出す
セリシンなどの成分や不純物がついてますので、これを取り除くことです。
糸のまま行うことを「先練り」、白生地に織り上げてから行うことを「後練り」
と、呼びます。つまり白い反物に織ったあとから「練り」、
そのあとで柄を「染める」、ですね。
一方紬や銘仙などは「先練り・先染め」です。
まず糸の状態でで精錬して、先に糸を染めてからその糸の織り方で柄を出す。
一般的に「織の着物」といわれるものです。

染めの着物に使われるのは、平絹や羽二重、そして各種ちりめんです。
ちりめんは「一越」とか「東雲」とか「梨地」など、そして「お召し」も。
でも、お召しって、織の着物なんです。じゃなぜ「ちりめん」といわれるのか。
確かに、お召しの場合は「先練り・先染め」で、染められた糸で
柄を織り出す「織の着物」なのですが、実は使われている糸が違います。

えと、ちとまた脱線なんですが、織物のハナシをするときは、
「縦糸・横糸」ではなく「経糸・緯」と書きます。
機織にかけるときの呼び方です。緯は一文字で「よこいと」と読みます。
経糸に緯を規則正しくかけていくことで「布」が完成します。
事のプロセスを『経緯』というのは、ここからきています。

では…ちりめん、と呼ばれる生地には「強撚糸」と呼ばれる糸が使われます。
糸というのは蚕から引いた糸一本では細いですから、
何本か撚りあわせて一本の糸にするわけですが、
このときの撚りのかけ方が強いものを「強撚糸」といいます。
どれくらい強いかというと、1メートルに3000とか4000回転…
というような強さで(といわれても、見たことないので実物は
アタシも知らんのですが…数字上ということで)
糸をくりくりとずーっと撚っていけば、当然硬く締まってコリコリになります。
これをグーンと伸ばして、糊で固めて撚りが戻らないようにして使います。
これを「緯」に使うのが、多くのちりめんの織り方です。
織りあがったものから糊を洗い流すと、自由になった強撚糸は
元に戻ろうとしてちりちりちりっとなるわけですね。
これがあの独特のシボができる原理です。
緯の撚りの強さとか、撚りの向きとか、糸の太さとか、何段ごとに使うとか、
さまざまな違いで、いろいろなちりめんができるわけです。
ちなみに「右撚り糸」と「左撚り糸」を交互にすると普通のちりめん、
一方方向のみに使うと縦方向のしわしわができる「ちぢみ」になります。
また美しい柄で人気のある昔の「錦紗ちりめん」は、
この撚り糸も経糸もごく細いものを使い、密度濃く織ったもの。
それでちりめんなのに、しぼが見えないほど平らでつやがあり、
しかも薄くてしなやかで、同じ薄手の平絹や羽二重よりも、
ちりめんの「身になじむ」などのいいところも持ち合わせているわけです。
シボの大きいちりめんよりも、柄がはっきりと明解に染まるので、
たいへん人気がありました。

さて、ではお召しちりめんは、といいますと、
強撚糸は「緯(よこいと)」に使われます。
しかも単純にくりくりと撚っただけではなく、
たとえば右撚りに撚った糸に別糸をかけて反対方向にまた撚る…など、
これは専門的すぎて、私もしっかり知っているわけではありません。
とにかくややこしい撚り方なんだよ、と聞いています。

また、お店によっては「経」に使う、と言っているところもあります。
お召しについては「先練り先染め」、ということがポイントなので、
どちらもあるのではないかと思っていますが、
私としては、あのシボの出方から行って、経糸であろうと思っているのですが。
はっきりしなくて申し訳ないのですが、
そのへんシロートなのでお許しください。
とにかく、お召しは、同じちりめんではありますが、
特に特殊で強い撚りをかけた「強撚糸」を使い、
紬のように、先に精錬して、先に糸を染めて織る、というものです。
糸は染めの着物のよう、製作過程は織の着物のよう、というもの、
ですから分別するなら「織の着物」、糸でいうなら「ちりめん」になるわけです。

通常「染めの着物」と「織の着物」では、染めの着物の方が格が上ですが、
織のきものであってもお召しは別格。
私が子供のころは、お通夜などには「縞のお召しに黒羽織、黒帯」が、
略礼装として、十分通用しました。
今では「縞」というだけで、粋さが先にたって街着専門のように、
言われてしまっていますけど、染でも織でも「渋い縞」なら、
昔はきちんとした服装に化けさせることができました。
そのためは母は、私の嫁入りのときに「縞」の着物を持たせてくれました。
たとえばちょっとしたご挨拶に伺うなんていうときは、
いい帯を締めて、上に紋付の羽織を着れば失礼にならないって。
今じゃそんなこともいわなくなったみたいですねぇ。

どっちにしても、私は細い縞の着物が好きです。
ほんとーーは「かつお縞」も着たいのですが、あれはチビデブに向かない…。
手元にずーっと以前に買った会津木綿の縞があるんです。
今年は思い出しながら「単」でも縫ってみるかなー、
でも、今からやっても真冬にまにあわないだろーなー、あはは、やめとけって。



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7 コメント

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Unknown (はるうめ)
2008-07-06 14:53:17
粋ですねー。
かっこいいですね。

こんな粋な着物の似合うひとに
なりたいです。

最近 着物流行ってるようで
ファッション誌にも載ってるのですが
かっこよすぎて なんだかです。



そんな私は、めっきり浴衣も着物も着てないですが
母が元気なうちに浴衣の着かたくらいは
習っておこうかなと こちらにおじゃまするように
なってから強く思っているところでした。
返信する
Unknown (陽花)
2008-07-06 21:35:47
ステキな縞模様のお召しですね。
またまた、寸法がぴったりなんて
そうそうありませんからよかったですね。
褄を最初から上げて縫うなんてアイデアですね。
と言うことは畳んだ時に、オクミの裾は身頃より上がっているということなんですよね。
でも、着る時に意識して上げなくてもいいのは
便利ですね~
返信する
いい出会いですね (おつう)
2008-07-07 01:21:07
リサイクルでサイズがぴったりな上に、金額的にも可愛いなんて、なかなかないですよね!

おくみの裾を上げておく、という技は是非真似してみたいです。
とても便利だと思うのですけど。
家の中で着ていると、人目を気にしない為ついついおくみが裾と平行になってしまってて、階段で踏んでつまづいたりするので。
普段着にいいアイデアだと思いました。

木綿の着物でやってみようかな。
返信する
おはようございます^^ (えみこ)
2008-07-07 08:09:01
おくみの小ワザ、目からうろこでした。
粋でいいですね。
紬ですが、にたような色と模様のものを持っています。
真っ赤な襦袢であわせたくなりました。
帯の色も参考にさせていただきます。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-07-07 13:13:53
はるうめ様
浴衣からはじめてください。
確かに洋装に比べると、動きが制限されますが
ゆったりすればいいんだって、
そんな風に思えます。
ぜひ着方を覚えてくださいね。


陽花様
おかげさまで、あつらえたみたいです。
褄の上がりは、初めてみました。
たたむとしっかり斜めですよ。
なるほどなぁです。
秋になったら着てみたいと、思ってます。
その前にとりあえず「洗わないと」ですね。


おつう様
そうそう、踏んづけて…ってやりますね。
ズリッとおはしょり崩れたり…。
これってなんではやらなかったんだろって
思います。見た目もかっこいいんですよ。


えみこ様
でしょう!最初に見たときは、
きたらおかしくないかと思ったんですが、
着せ付けてみると、イガイとスッキリでした。
こういう色は「赤いもの」を合わせると、
どっちも映えますね。
返信する
着物の種類 (うんちく)
2008-07-07 17:39:22
女性の着物は種類が多くてとてもすぐには頭に
入りません。男ものなら数が少なくすぐに覚え
られますが、それだけにバラエティーに欠けま
すね。
お召しの羽織と長着を持っていますが、いずれ
もちりめん状ですが、ちりめん状でないお召し
もあるのですか?ネットの西陣屋さんで売って
るのはどうも紬風にみえるのですが、、。
それと、ちりめんとも言えないシボがある長着
も持っているのですが(一寸楊柳のような感
じ)これもお召しなんでしょうかね?
なかなか奥が深くなってきました。


返信する
Unknown (とんぼ)
2008-07-07 18:24:07
うんちく様
ちりめん状でない、というのは、
ざらつき感がない、ということだと思いますが
そういうお召しももちろんあります。
ただし「強撚糸」を使っていなければ、
ただの紬と同じ「織の着物」です。
つまり「糸」の違いなわけで、
素人は、糸の違いなんて見てもわかりません。
錦紗なんてつるつるですし、
今お召しの訪問着なんてのもありますが、
見た目には平らです。
楊柳のように見える、というのは、
縦シボのことだと思いますが、
東雲ちりめんと楊柳は、生地の厚さにっては
見まがうような感じのものもあります。
現物を見ないことにはわかりませんが、
お召しはシボというよりざらつきです。
楊柳のようで絹物なら、東雲ではないかと
思いますが。
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