けっこうリアルな「ライオン」です。
いえ、間近でライオンをしげしげ観察したことはないんですが、
まぁ「なんとか大帝」や「ライオンキ○グ」よりは、リアルでしょ。
これも男物の羽織の裏「羽裏」です。
羽裏の図柄には、さまざまものが題材として使われていますが、
動物でいうと一番多いのはやはり「馬」と「鷹」でしょうか。
数を数えたわけではありませんが、良く見ることは確かです。
馬は、一番身近な動物であったこと、形がよかったことで、
よく使われたのだと思います。
縁起でいうなら九頭の馬を描いて「うま(馬) く(九)いく」という
シャレの図柄もあります。シャレといってもこれは掛け軸などでも
使われるれっきとした「縁起絵」です。
じゃ牛は??やっぱりカッコ・・ですかねぇ。
ないわけじゃありません、昔の農家の風景や山水画などには
荷物を運ぶ牛、田んぼで働く牛などがでてきます。
一方の「鷹」は、やはり勇壮であるとか、縁起ものとか、
そういう意味合いで使われるようです。
どちらかというと「子供」の着物につかわれることの方が多いですね。
そのほかには鳥ならすずめ、ハト、山鳥、ふくろう、、鷺、雁など。
四足だと鹿、犬、象も見たことがあります。以外とないのが「ネコ」ですね。
羽裏というのは、以前も書きましたが「表ジミに、中ハデに」という
時代背景もあったかもしれませんが、それを作るほうにとっては、
たとえしょっちゅう人目にふれない場所ではあっても、
ひとつのキャンバスだったのでしょうね。
ワクワクしながら「コレでどうだ!イヤまだだめか・・」と
一人で喜怒哀楽をぶつけながら、製作してたんじゃないでしょうか。
この前も書きましたが、男物にしろ女物にしろ、今の羽裏は
およそ当たり前のものばかりで、色も薄い淡い、もしくは無地。
つまらないものばかりです。「裏なんて張ってありゃいいじゃん」でしょうか。
実は「着物の柄」でも、なんとなくそういう傾向があるように思います。
つまり「美しいけれど当たり前」の柄。
これは、着物を着る人が少なくなって、着る側が「どれがいいのかわからない」
というのもあるかもしれません。知り合いの呉服屋さんが、
「最近の若い娘さんが振袖を選ぶ基準がどうしても『洋服』を選ぶ感覚なので
古典柄とか、変わった柄は売れにくい」と言ってました。
結局はお花いっぱい・・というようなカンジになってしまう。
どれも同じように華やかなんですが、個性的かというとそのあたりは・・。
振袖だけでなく、一番自由なはずの小紋などでも、あまり冒険柄はありません。
昔はなんでも「柄」にしました。女物の帯にコウモリとか、着物にくもの巣とか。
以前みつけた紅型小紋はミゴトな「道具柄」。
じっくり見たら「鍋、そろばん、天秤ばかり、鎌、ほうき、どんぶり・・」
女性の着物です。なんで??・・・、
嫁ぐ娘に母親が、「モノやお金に不自由をしないように」という、
祈りをこめた柄だったのではないかな・・と、そう思いました。
このライオンの羽織を着た人はどんな人だったのでしょうか。
ほんとは着の弱い人だったのかもしれない・・なんて想像は失礼ですねぇ。
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