ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

めんてなんす

2006-08-10 23:18:31 | 着物・古布

写真は、これからお話する「ダンボール箱」の中の着物です。
説明はのちほど・・・。

さて、現代になって着物を着なくなった理由を、いくつか挙げてみると・・・、

☆ 着る機会がない。
☆ 着たくても着られない(着方がわからない)
☆ 買いたくても高い
☆ 着たあとがたいへん。

着る機会とか、着方とか・・これは着付け教室へいくなり誰かに教えてもらえば
あとは数こなすだけ、そうやって着られるようになれば、
自然と「着てでかけ」たり、いえでも「着てすごし」たりするようになります。
価格については、振袖・訪問着はともかく、普段着程度なら、
今はリサイクル着物のお店、ネットオークションなどで、
ちょっとした洋服を買うのと同じ感覚で、手に入れることができます。
問題は・・最後の「着たあと」なんですねぇ・・・。

元々、毎日を着物ですごしていた時代「洗って縫う」ことは、
一家の女性のシゴトとして、ずっと続けられてきたわけです。
結局今は、縫うこと、着ること、洗うこと・・
全部「特殊技術」みたいになってしまいました。
まぁどうしてそうなったかについては過去にも、憶測でいろいろ書いていますし、
本日は、とにかく今の時代の着物のメンテって?というお話です。

まずは、着物着てみたい!と、思っておいでのかた、
着始めてらっしゃるかた、脅かすわけではありませんが、
着物のメンテはお金がかかります。
上にも書いた「自分でできないこと」だらけになってしまったからなのですが。
とりあえず昨日は「普段着物」、自分の家で洗える場合、のお話を致しました。
着物はどんな着物でも、まず着たら「干す」です。襦袢や帯、小物もです。
これは洋服などでも同じですね。湿気を飛ばし、体温を飛ばし、
そのあとほこりを払い、シミ・ヨゴレを点検する。
洗えるものは洗う、きっちり乾かす、必要ならアイロン、きちんとたたみ保管。
言ってみれば単純に当たり前のことばかり。これは大丈夫でしょう。

季節の終わりにしまうときは、防虫剤と一緒に「除湿剤」を入れるとベスト。
保管は当然「桐のタンス」や「桐の箱」が最適ですが、
普通のタンスなどでもとにかく「防虫・防湿」を心がけることです。
場所がないため、とプラ・ケースをお使いになる方もいます。
本当は「密閉」というのはよくないので、できれば通気穴があるといいですね。
実は「ダンボールの箱(細長いもの)」もあります。押入れの中に入れるのには
ちょっと適しませんが、たとえば前がカーテンなど通気のいいところなら、
ダンボールそのものに湿気を吸い取る力があるので使えます。
それが上の写真、たとう紙サイズがきっちり入ります。
こんな厚み、たとうで着物4枚くらい入ります。






部屋と言うのはどうしても「北側・下のほう」が湿気がたまりますから、
できるだけ北を避け、できれば腰より上のほうに「いいもの」をおくと
いいと思います。友人ですが、押入れの上の段をひとつ「着物専用」にして、
すのこをめぐらし、押入れの戸を一枚はずして、
着物のはいっている側をカーテンにしたそうです。
とにかく「通気がいいこと」これが日本の梅雨時から夏は、一番大切なことです。
今は和紙に包んだ防虫剤などが出ていますが、昔は樟脳を使うとき、
1個ずつちり紙にくるんで、着物にふれないよう、いれたものです。
金糸銀糸を使ったものは、樟脳だと黒く変色します。
防虫剤には「着物用」と書いてあるものもありますが、
いずれにしても「説明」をよくみて使ってください。
最近は染めも「化学染料」がほとんどで、外国で染めた金や銀などは、
なにもしなくても数年で色変わりしてしまうことがあります。

さて、ではしまう前のお話です。
基本的に着物というのは「リサイクル」を前提に考えられています。
それと同時に洋服と大きく違うところは、「解いて洗う」ということです。
最初の何回かは、熱と湿気をとばし、ホコリを払い、
よほどシミやヨゴレがなければそのまましまって、また出して着る・・です。
もしシミ・ヨゴレがあったときは、それを落としてから。
ほっておくと「重症化」しますから、みつけた時点で始末をつけます。
汗ジミや食べ物のシミ、これは、付け下げ・訪問着クラスはもう触らないこと。
即、専門家に依頼、これが今の時代の原則です。
昔の人はできるだけ自分でやっていましたから、ベンジンとか重曹とか、
蒸気だのぬるま湯だので「あーする・こーする」という知恵も持っていました。
なにより「場数」踏んでますから、ただ「ベンジンで拭く」といっても、
どういう布に、どれくらいつけて、どんな風にたたく・・どのくらいたたく、
どのへんでやめて次にどうする・・そういうことを「実戦」で知っていました。
つまり親からの伝承です。今の私たちは「ベンジンで落とす」といわれたって
さてどうやって??になります。
余談ですが「絹物」のヨゴレをベンジンで落とす練習は
実はネクタイのお古が一番です。もうダメになってもいいか・・
という絹のネクタイの結び目のよごれ、アレは手アブラのヨゴレです。
もういらないものを利用して、白い布にベンジンつけて・・とやってみると
いい練習になりますね。ただし、匂いますし危険ですから、
窓をあけ換気に気をつけてください。これは衿ヨゴレの取り方の練習になります。
昔の和服関係の本には、さまざまな「ヨゴレおとしの方法」が載っています。
それもいずれご紹介したいと思いますが、今のヨゴレは昔にはなかったヨゴレ、
なんてものもあるわけですから、できればプロに任せたいですね。

さて、こうやってきれいになってもどってきたら保管。
そして何回か着たら「丸洗い」、クリーニング店で「京洗」と書いてあっても
できればちゃんと調べて「慣れているかどうか」確認できるといいですね。
今はクリーニング店といっても、「取次店」だと自宅でやっていません。
何をどうしているか見えないのはこわいですね。
絞りの着物がペタンコになってしまった、ちぢみの着物がプレスされちゃった、
なんてことを耳にすることがあります。
できれば「呉服屋さん」で頼むのが一番安心です。
その呉服屋さんで作った着物でなくても扱ってくれます。
「染め」と書いてある呉服屋さんなら尚安心です。
そうやって何回か丸洗いしたら、次は「洗張り」です。
昔は頻繁に着ましたから、丸洗いも洗い張りもサイクルは早かったわけです。
普通「3回洗い張りしたらリフォーム」と言うのが目安でした。
つまり、3回目の洗い張りをするころには、もう着て着て着まくって、
あちこち傷みがきてるはずだから、次は羽織にしよう、とか・・。
でも今はそんなに着るわけではありませんから、傷みもそれほどでもありません。
ゆっくり着られると思います。
古着や、もらった着物の場合は、最初の洗い張りのときに、
しっかりと自分サイズで仕立て直しをしてもらいます。
洗い張りと言うのは、まず「解き」、着物を全部バラバラにすること。
これは自分でもできます。解きだけでもお金がかかりますから、
解くところまで自分でやってもいいのです。
解きは着物の「作り」を理解するのにはいい機会です。
解くときは「縫い合わせ」たものを逆から解くわけですね。
まず衿をはずし、袖をはずし、おくみをはずし・・とやっていくわけです。
このとき、丁寧に少しずつ・・・。抜いた糸、切った糸は、
コマメにまとめておかないと、あとであちこち糸くずだらけになります。
握りバサミでもよし、今は「リッパー」という縫い目を着る道具もありますが、
あまり新品だと、調子にのってピーッとやったときに布まで切ることがあります。
これ、実体験・・あぁ~~。ですから少しずつ、丁寧に・・・です。
解きの状態、もしくはその先の「洗い張り」の状態で、あとはプロまかせ。
もちろん、自分で縫えればそれが一番ですけれど。

まとめてみましょう。

☆ 着るたびに基本的お手入れ・
☆ シミ・ヨゴレで自信がなければプロに。
☆ 何回か着たら「丸洗い」
☆ 更に何回か着たら「洗い張り」
☆ きちんと保管する。

ということです。自分でザカザカあらえないもの、特に袷は、
こういうメンテにお金がかかるわけです。
だから着物って・・・といわれるのですが、
そのかわり着物は先日ご紹介したように、小物や帯の組み合わせで、
何枚もの洋服と同じようにバリエーションを増やせます。長く着られます。
洗い張りをするときに、いたんだところを中に入れてしまったり、
八掛の色を変えたりで、別の着物のようになります。
解きや洗い張り、仕立ては、お店や地域によって価格がいろいろです。
ネットを利用して探すのもテですね。
洋服には流行というものがあって、同じ服を5年10年と着るのは
なかなかむずかしいものですが、着物はほとんどが最初から、
5年10年使うつもりで作られています。
着物で飽きたら羽織にする、帯にする、いっそ染め替えてみる・・。
絹ならではの、着物ならではの楽しみなのです。

めんどくさいことの多い着物ですが、着物のよさがわかると、
このめんどくさい思いをしても、着物を着たいと思う・・。
それが着物というものだと思っています。

最後に、ダンボールの中の着物、柄アップ、かわいいでしょう!
もう少し濃くてもうすこしオレンジ味のあるピンクです。
これは状態のいい現代中古着物、販売も考えています。












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5 コメント

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Unknown (とんぼ)
2006-08-11 09:55:32
陽花様

着物ってほんとによく考えられてますよね。母もよくかけ衿だけ洗ってました。それくらいは自分でやれますもんね。そのこまめさが、また着物を長持ちさせるわけですね。



百福様

お召しなどちりめん系は、素人考えですが、より糸使っている分、しみこみ方がちがうのでしょうね。私もちょっといい着物なんかはこわくて触れません。



Fujipi様

私も持ってますよー。ほんと「いかにも」ですね。一本あると便利だって、母も切らしたことはなかったですね。



蜆子様

半衿ではなく「掛衿」ですね。誂えるときは、最初に残りを掛衿の替えを作る・・というと、繰越にいれずに裁ち残しておいてくれますね。私はよく前掛けにしますが、ほんとは掛衿用にとっておくといいんですよね。私も、メンテにはお金かかるけど、洋服は枚数を買うということを考えればば、トントンだと思います。
返信する
手入れもさることながら・・・ (蜆子)
2006-08-11 09:15:50
新しい着物、今のもの用尺が長いのが多いです。

裁つときに、半襟分、よぶんにとれましたら取っておくととっても便利、一番汚れるのが半襟、陽花さんのように半襟だけ洗うのは勿論ですが、余分の半襟あるといいですよ~、用尺多少たりないようでしたら、下前外から見えないところを継いでも問題ありません。

メンテ本当は自分でするのが一番なのですが、着物ってお金がかかると思い決めて、全部プロまかせです。高つくように思いますが、長い間きちんと着れてそんなに高つくように思わないです。
返信する
母が (Fujipi)
2006-08-11 09:03:20
「衿元」と書かれた無色透明の液体のビンを持っていて、それで衿の汚れをふいていましたが、たぶんあれがベンジンなんでしょうね。ネーミングがいかにも!で笑えます。



すみません。間違えて↑投稿してしまいました。消去お願いします。<(_ _)>
返信する
Unknown (百福)
2006-08-11 01:07:32
普段着るのは木綿ベンジンお手入れ。母に聞いて、最初自分でやった時、ベンジンをどれくらいつければいいかわからなくて、少ししかつけなかったら、輪じみになっちゃって大慌てしました。お召しでしたけど、今もお召しは苦手ですね。



返信する
Unknown (陽花)
2006-08-11 00:30:26
竹かご付きの巾着袋かしら・・・

色も柄もおとなしめで可愛いですね。



私は気に入って割りとよく着る着物は

衿がよく汗シミがつくので、掛け衿だけ

はずして洗います。あちこちに汚れが

あれば丸洗いに出すのですが、衿だけだと

何となくもったいないような気がして・・・
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