ずっと男モノばかりアップしてましたので・・。
これは女の子、というより女の赤ちゃんの着物です。
たぶん、お姉さんとかいとことか、年上の女の子の着物の
リフォームだと思います。最初から赤ちゃん用の着物というのは、
もう少し子供らしい柄とか、赤ちゃんということでの縁起物、
たとえば「病気よけ」に「薬玉」とか、そういうものが多いですから。
柄は「誰が袖」です。間に「牡丹」と「菊」が大きく描かれています。
右の下の方に菊が見えます。地厚の良質のちりめんで、染めもいいものです。
「誰が袖」というのは要するに「着物」という意味で使っていますが、
着物そのものをフワリと掛けたように描く場合と、こんなふうに
ほんとに「袖」だけ描く場合があります。いずれにしても、
着物の中にまた着物があるわけですから、柄は更に増やせるわけです。。
この着物の場合は、袖の中の模様が「あやめ」とか「菊」「桜」など
四季の花が描かれていて、とても豪華です。
よく見えないかもしれませんが、朱色の糸で「背守り」が縫ってあります。
背守りは、だいたい2~3才までの子供の着物には男女を問わず
必ずつけられました。元々は5色の糸で縫い取られたものですが、
後々は一色になりました。背守りの縫い方というのもありますが、
時代とともにかわってきて、たとえばその赤ちゃんの「えと」の刺繍をしたり
押し絵のようなものでおめでたいものを作って縫い付けるなど、
バリエーションが増えました。でもつけるのは必ず背中の真ん中。
これは「背中の真ん中から魔が入る」とされていて
大人の着物は「背縫い」があるので、そこで魔ははいることができない、
でも赤ちゃんの着物は「一つ身」といって、背縫いがありませんから、
そのままでは魔がはいってしまう、そこで背縫い代わりのラインを
わざわざ着物に縫い付けたわけです。つまり「魔よけ」です。
昔は乳幼児の死亡率が高かったので、尚更切実な思いで縫い付けたのでしょう。
いつの世も、子供を思う親のキモチにかわりはありませんね。
と、とんぼさんのブログを読むたびに思います。
子供を思う親心、こんなところにも表れているんですね!
きっと、「可愛い女の子に育って欲しい」と思って、こんな可愛らしい柄の着物を仕立てるんでしょうし。
その子がちゃんと元気に育って欲しいって背守りを縫うんでしょうし。
そう思うと、昔の習慣がグッと身近に感じられますね~
病気も「魔」の仕業として恐れられたんですね。
子供が病気をしても、かわってやれない・・
これは今の世でもかわらないもので、
私も子供の病気は一番辛いです。
私が病気になるほうがよっぽどラクだって・・。
医者も薬も今よりレベルが低かった時代は、
尚いっそう「健康」が何よりの宝だったでしょうね。
これからもいろいろ書いていきます。
覗いてやってください。