写真は「阿波踊り」の下駄…なんでこんなものまで…と言われそうですが、
35年位前に、見に行ったんですわ。
テレビで写るような大きな会場ではありませんでしたが、なかなかでした。
そのときのお土産に買ったのです。歯が薄いでしょ。
これでないと踊りにくいと思いますし、これならキレがよく見えますよね。
ちなみに一回もはいてません。どこで履くねん、赤と白との撚り鼻緒…。
なにせ最近「深夜族」におつきあいしているもんで、午前3時なんて時間に見てました。
NHKで「高知・よさこい祭り」と「徳島・阿波踊り」、どちらも録画中継でした。
「衣装」とか「内容」で見てみると、そのお祭りの成り立ちの違いから
着物の捉え方といいますか、そういうものを感じて面白かったです。
元々「阿波踊り」は400年からの歴史のあるもの、
かたや「よさこい」は私よりちょっと年下、今年で57回目とか。
阿波踊りは、色柄素材はともかく「着物」です。
よさこいは、衣装はデザインは着物ベースですが、それぞれチームのオリジナル。
中には、前の打ち合わせのみ、着物の名残…みたいなところもあります。
それを見ていると、あぁ着物もこんな風に形がかわったら、
若いヒトなんて毎日のようにきるかもね、なんて思いました。
音楽ひとつとっても、阿波踊りはあの「やっとさーやっとさー」だけですが、
「よさこい」は、よさこい節のアレンジといいますか、元の曲が分からない感じだったり、
楽器はもうなんでもありで、曲だけでもコンサートみたいです。
やっぱり若いヒト向きだなぁ…と、私なんぞは思うわけです。
「よさこい」はもう終わりのほうでしたので、ちょっとしか見ていません。
年のせいでしょうか、安心してみていられるのは「阿波踊り」ですねぇ。
着物の色柄を見るのも楽しみです。
あの衣装ですが、自由にしていいところとそうでないところがあります。
定番スタイルは着物と襦袢、帯は黒繻子、手甲、白足袋、黒の塗下駄、鳥追い笠、
着物はかなりたくし上げて男のヒトの尻っぱしょりと同じくらい揚げます。
実際にこれをやると、後ろにかなり着物がたまりますから、
スッキリするように、いろいろ工夫しているようで、
着物そのものが短くできているようですね。片肌脱ぎをする連も多いですね。
といっても着物だけですが、そこで着物と襦袢の色のコントラストが
セクシーだったりするわけで。
ひとつおもしろいなぁと思ったのは「笠」のかぶり方。
盆踊りに「鳥追い笠」は必須アイテムみたいなもので、
「おわら風の盆」でも「西馬音内(にしもない)盆踊り」でも、
女性は鳥追い笠をかぶります。「佐渡おけさ」もそうですね。
元々「鳥追い」とは読んで字のごとく「鳥を追う」、
つまり農耕の行事で、実ったものを鳥がついばむのを追い払うためのもの。
年の初めに「今年も鳥の害がありませんように」と念じて踊ったもの。
なにしろ日本はずーーっと「お米」が中心の国でしたからねぇ。
こういうところでも「踊り」と農耕が密着しているのが分かります。
「鳥追い笠」は、その儀礼のときに使われたわけですが、
のちに「」など最下層の人たちの女たちが行いました。
といっても「鳥追い」と呼ばれるのは正月三が日だけ。
この笠をかぶり、家々に角付けをしてお金を稼ぎました。
「鳥を追う」ということが「邪気や災いを追い払う」に通じ、
この日はどの家でもご祝儀を弾んだわけです。
この三日が過ぎると、普通の菅笠に被り替えて角付けし、
そのときは「女太夫」と呼ばれました。
江戸時代は、身分や差別がはっきりしていた時代ですが、
だからといって、みんな虐げられるばかりだったかというとそうでない部分も。
「ごぜさん」なんかもそうだし「あんま」もそうですが、
何かしら身体的に障害があったり、身分として恵まれていないものでも、
本人が社会の中で「稼いで食べていく」という姿勢があれば、
ちゃんと認めるべきところは一人前と認める部分もありました。
さて、この「女太夫」という角付けの風習は、全国にも伝わっていきまして、
今、歴史の古い踊りの衣装にこの笠が使われるのは、
そういう「元」があってのことだろうともいわれています。
ところで、さっきの「被り方」のお話しに戻りますが、
元来「鳥追い笠」は、丸く編んだ笠を半分にたたんで被りますから、
顔がだいぶ隠れます。特に西馬音内の笠は真ん中がちょっと出た感じ、
つまり円形のものを半分に折ったのではなく、てっぺんが飛び出ていて、
笠のふちまでに「反り」があります。ちょっとタイとかあちらの寺院の屋根みたいです。
普通の鳥追い笠のように丸く編めないので機械編みができず、
今に至るも手編みだそうです。
画像ありました。こんなです。
風の盆はこちら。
どちらにしても、顔が深く隠れていて、それがまたいいですね。
ほんとは阿波踊りも昔はそうだったんですよ。私が35年くらい前に見たときも。
それが、今はこんな感じ。
放送のとき、解説していたヒトが「なんかだんだんこうなったんです」…と言ってました。
前から見ると笠が全部立って見えます。
ゲストの室井滋さんが「キツネがならんでるみたい」と言ってました。なるほど。
まぁ踊りが踊りですから、元気ハツラツで、顔もはっきりニコニコが見えたほうが、
お祭りの雰囲気には合ってますね。
でも被り方としては、私深いほうが好きです。
毎年言ってますが、私は「風の盆」と西馬音内が好き。
で「西馬音内」の「これ」が好き?
これは「彦三(ひこさ)頭巾」というものだそうです。
西馬音内の踊りでは「端縫い着物」が有名ですが、もうひとつ「藍染」も有名です。
この「彦三」のほうは「藍染」を着たヒトが被ることが多いみたいです。
踊りの輪の真ん中には故人となった人たちの魂が集っている…とか。
私の生まれ育った横浜には、これほど歴史があって大掛かりな盆踊りはありません。
そうそう毎年五月の連休に「横浜みなと祭り」の「仮装行列」があります。
こちらも私とほぼおんなじくらいの歴史。
横浜は初めて洋風文化がどっと入ってきたところ、なので内容も洋風ばっかし。
仮装行列といっても、何かに化けるわけではなくてテーマに沿って飾り立てます。
音楽は鼓笛隊とか、近年はバトン・トワリングとか…サンバもあったよーな。
これはこれで横浜らしいですし、歴史の浅いものでも、
私の記憶の中に「昔のお祭り」がわずかに残っているので、思い出のひとつですね。
写真を見つけました。最近は「フロート」と呼ばれる「飾り付けた車」が
うんと減ったそうです。高島屋とか企業のものが多いので、今は不景気すからねぇ。
一応フロートの多い年は、1993年なので、数字をクリックしてください。
更に一枚ずつクリックすると大きくなります。こちらです。
私が子供のころは、まだ横浜市内は市電が走っていまして、通りで待っていると、
満艦飾の市電がはしってきたものです。「花電車」といってました。
今の飾りと比べたらお粗末なものでしたが、楽しみが少なかった時代、
みんなで見に行ったものです。
さて、やっと涼しくなって、あちこちで秋祭りの時期になりますね。
またテレビ観覧、させていただきましょう。
35年位前に、見に行ったんですわ。
テレビで写るような大きな会場ではありませんでしたが、なかなかでした。
そのときのお土産に買ったのです。歯が薄いでしょ。
これでないと踊りにくいと思いますし、これならキレがよく見えますよね。
ちなみに一回もはいてません。どこで履くねん、赤と白との撚り鼻緒…。
なにせ最近「深夜族」におつきあいしているもんで、午前3時なんて時間に見てました。
NHKで「高知・よさこい祭り」と「徳島・阿波踊り」、どちらも録画中継でした。
「衣装」とか「内容」で見てみると、そのお祭りの成り立ちの違いから
着物の捉え方といいますか、そういうものを感じて面白かったです。
元々「阿波踊り」は400年からの歴史のあるもの、
かたや「よさこい」は私よりちょっと年下、今年で57回目とか。
阿波踊りは、色柄素材はともかく「着物」です。
よさこいは、衣装はデザインは着物ベースですが、それぞれチームのオリジナル。
中には、前の打ち合わせのみ、着物の名残…みたいなところもあります。
それを見ていると、あぁ着物もこんな風に形がかわったら、
若いヒトなんて毎日のようにきるかもね、なんて思いました。
音楽ひとつとっても、阿波踊りはあの「やっとさーやっとさー」だけですが、
「よさこい」は、よさこい節のアレンジといいますか、元の曲が分からない感じだったり、
楽器はもうなんでもありで、曲だけでもコンサートみたいです。
やっぱり若いヒト向きだなぁ…と、私なんぞは思うわけです。
「よさこい」はもう終わりのほうでしたので、ちょっとしか見ていません。
年のせいでしょうか、安心してみていられるのは「阿波踊り」ですねぇ。
着物の色柄を見るのも楽しみです。
あの衣装ですが、自由にしていいところとそうでないところがあります。
定番スタイルは着物と襦袢、帯は黒繻子、手甲、白足袋、黒の塗下駄、鳥追い笠、
着物はかなりたくし上げて男のヒトの尻っぱしょりと同じくらい揚げます。
実際にこれをやると、後ろにかなり着物がたまりますから、
スッキリするように、いろいろ工夫しているようで、
着物そのものが短くできているようですね。片肌脱ぎをする連も多いですね。
といっても着物だけですが、そこで着物と襦袢の色のコントラストが
セクシーだったりするわけで。
ひとつおもしろいなぁと思ったのは「笠」のかぶり方。
盆踊りに「鳥追い笠」は必須アイテムみたいなもので、
「おわら風の盆」でも「西馬音内(にしもない)盆踊り」でも、
女性は鳥追い笠をかぶります。「佐渡おけさ」もそうですね。
元々「鳥追い」とは読んで字のごとく「鳥を追う」、
つまり農耕の行事で、実ったものを鳥がついばむのを追い払うためのもの。
年の初めに「今年も鳥の害がありませんように」と念じて踊ったもの。
なにしろ日本はずーーっと「お米」が中心の国でしたからねぇ。
こういうところでも「踊り」と農耕が密着しているのが分かります。
「鳥追い笠」は、その儀礼のときに使われたわけですが、
のちに「」など最下層の人たちの女たちが行いました。
といっても「鳥追い」と呼ばれるのは正月三が日だけ。
この笠をかぶり、家々に角付けをしてお金を稼ぎました。
「鳥を追う」ということが「邪気や災いを追い払う」に通じ、
この日はどの家でもご祝儀を弾んだわけです。
この三日が過ぎると、普通の菅笠に被り替えて角付けし、
そのときは「女太夫」と呼ばれました。
江戸時代は、身分や差別がはっきりしていた時代ですが、
だからといって、みんな虐げられるばかりだったかというとそうでない部分も。
「ごぜさん」なんかもそうだし「あんま」もそうですが、
何かしら身体的に障害があったり、身分として恵まれていないものでも、
本人が社会の中で「稼いで食べていく」という姿勢があれば、
ちゃんと認めるべきところは一人前と認める部分もありました。
さて、この「女太夫」という角付けの風習は、全国にも伝わっていきまして、
今、歴史の古い踊りの衣装にこの笠が使われるのは、
そういう「元」があってのことだろうともいわれています。
ところで、さっきの「被り方」のお話しに戻りますが、
元来「鳥追い笠」は、丸く編んだ笠を半分にたたんで被りますから、
顔がだいぶ隠れます。特に西馬音内の笠は真ん中がちょっと出た感じ、
つまり円形のものを半分に折ったのではなく、てっぺんが飛び出ていて、
笠のふちまでに「反り」があります。ちょっとタイとかあちらの寺院の屋根みたいです。
普通の鳥追い笠のように丸く編めないので機械編みができず、
今に至るも手編みだそうです。
画像ありました。こんなです。
風の盆はこちら。
どちらにしても、顔が深く隠れていて、それがまたいいですね。
ほんとは阿波踊りも昔はそうだったんですよ。私が35年くらい前に見たときも。
それが、今はこんな感じ。
放送のとき、解説していたヒトが「なんかだんだんこうなったんです」…と言ってました。
前から見ると笠が全部立って見えます。
ゲストの室井滋さんが「キツネがならんでるみたい」と言ってました。なるほど。
まぁ踊りが踊りですから、元気ハツラツで、顔もはっきりニコニコが見えたほうが、
お祭りの雰囲気には合ってますね。
でも被り方としては、私深いほうが好きです。
毎年言ってますが、私は「風の盆」と西馬音内が好き。
で「西馬音内」の「これ」が好き?
これは「彦三(ひこさ)頭巾」というものだそうです。
西馬音内の踊りでは「端縫い着物」が有名ですが、もうひとつ「藍染」も有名です。
この「彦三」のほうは「藍染」を着たヒトが被ることが多いみたいです。
踊りの輪の真ん中には故人となった人たちの魂が集っている…とか。
私の生まれ育った横浜には、これほど歴史があって大掛かりな盆踊りはありません。
そうそう毎年五月の連休に「横浜みなと祭り」の「仮装行列」があります。
こちらも私とほぼおんなじくらいの歴史。
横浜は初めて洋風文化がどっと入ってきたところ、なので内容も洋風ばっかし。
仮装行列といっても、何かに化けるわけではなくてテーマに沿って飾り立てます。
音楽は鼓笛隊とか、近年はバトン・トワリングとか…サンバもあったよーな。
これはこれで横浜らしいですし、歴史の浅いものでも、
私の記憶の中に「昔のお祭り」がわずかに残っているので、思い出のひとつですね。
写真を見つけました。最近は「フロート」と呼ばれる「飾り付けた車」が
うんと減ったそうです。高島屋とか企業のものが多いので、今は不景気すからねぇ。
一応フロートの多い年は、1993年なので、数字をクリックしてください。
更に一枚ずつクリックすると大きくなります。こちらです。
私が子供のころは、まだ横浜市内は市電が走っていまして、通りで待っていると、
満艦飾の市電がはしってきたものです。「花電車」といってました。
今の飾りと比べたらお粗末なものでしたが、楽しみが少なかった時代、
みんなで見に行ったものです。
さて、やっと涼しくなって、あちこちで秋祭りの時期になりますね。
またテレビ観覧、させていただきましょう。
実際には一度も見た事がありません。
櫓のぐるりを阿波踊りで一周するだけで
多分ヘトヘトになりそうな私です。
子供の頃から鍛えているからあれだけ
踊れるのでしょうね。
ましてや、覆面強盗の様な布の面を被るなんて。
驚きです。
それにしても鳥追い笠は良いですね。
深く顔を隠した姿は奥ゆかしくも健気な女性を表している様で。
この笠に門付の歴史があるなんてのもしりませんでした。
風の盆、阿波踊り、どちらも見るのはすきですが、
被る笠の形のことまでしげしげと観察をしたことが
ありませんでした。
とんぼさんに気づかされました、私は風の盆の被り方と
形が好き!って、この踊りにか出会ったのが、最初だった
からかもしれません。
こちらに来てからは<盆踊り>は見なくなりました。
案外、都会のほうが夏は賑やかだったようで、
今はもっぱら花火退会で夏を...ですね。
笠のかたちにもいろいろ特長があるお話、
興味深く読ませていただきました。
ちょっとだけやったことがありますが、
足もたいへんだけど、手をずっと上にあげているって、
結構大変なんだと知りました。
だるくなってくるんです。
徳島のヒトは、子供のころからずっとやってますから、
鍛え方違うんでしょうね。
西馬音内は、代々伝わった端縫いを着るのが
自慢でもあります。
藍染のゆかたも広袖にして、内側に赤い布を
縫い付けます。
闇夜の中で、あでやかでなまめかしいことでしょうね。
彦三頭巾も、手ぬぐいなどで締めるのが決まり。
なんかそういうのって妙にうれしいです。
日本は「被りもの」や「衣装」で、身分や仕事を
きちんとわけていたところがありますから、
いろいろおもしろいことがたくさんありますよ。
あの阿波踊りの被り方は、解説していたベテランのかたも
ちょっと「なんだかねぇ」というニュアンスてした。
あれだけ建てて被るとちと異様です。
でも、今回の踊りのヒトは、みんなこれでしたよ。
しかもこれをきれいに乗せる頭の「笠台」まで
ちゃんと売っています。
ところかわれば、ですねぇ。