まず読めましたか?
「まただち」ではありません「ももだち」と読みます。
どういう動作でしょうか。剣道をなさっておられるかたはご存知だと思います。
今年連休ころでしたかテレビをパッとつけたら「竜馬のカッコで走ろう」というイベントを
リポートしていました。最初を見そびれたので場所はわかりませんが、
とにかくみんなで「竜馬、もしくはお竜さん」のカッコで、
マラソン(ジョギング)を楽しみましょう、というイベント。
老若男女を問わず、それぞれ和服に身を包んでワッセワッセと走ってました。
走りやすいからか「竜馬人気」からか、女性もみんな「着物に袴」、
いや着物好きとしてはほほえましく楽しい思いで見ておりましたわ。
が…姿を見ると、ほとんどのヒトが「そのままのカッコ」で走ってました。
まぁイベントですし、記録を競うものではありませんから、
それでもいいのですが、どうせ和服で走るのなら、
それなりのカッコをしてほしいものだなぁと思いました。
上は「たすきがけ」、そして「袴の股立ちをとる」です。
やってないからみなさん袴の裾がひららひららと…。
股立ちとは、「相引き」という部分をつまみ、
体の脇の袴の紐か帯に、しっかりはさみこんで引っぱり上げる…です。
男袴の横のV字型のところです。右が前側、ちょびっと見えているのが後ろ側。
Vのところの前側は、説明が難しいのですが、ここはバイヤスに近いわけで
そのまだと布が延びます。そこでひだをうまくとって表側も止めつけています。
出来上がりが笹の葉のようなので「笹ひだ」といいます。
後ろ側はそのまま折り返して後ろの腰板の中に入るところまでくけてあります。
面白い名前ですが「投げ」といいます。
前よりは「バイヤス」かかって伸びやすいですが、すわったときなどのことを考えれば
ここは伸縮したほうがいいのですね。
前と後ろの縫い合わせの部分を「相引(あいびき)」といいます。
見えづらいので点線入れました。そのテッペン部分が「相引どまり」です。
この「相引どまり」をつまみあげて、袴の紐とか帯のところにはさみこんで引き上げる、
これが「股立ちを取る」です。
やってみましたが、すみませんお福ちゃん、女物の着物そのまんまでやってますので、
腰位置も帯幅も、みんなあってませんが、要するにこうやるよ、ということでゴカンベン。
こうすると、袴の裾が斜めに引きあがるので、裾捌きがよくなります。
どのくらいかといいますと、こんな感じ。
実際には、下に着る着物も「半着」と呼ばれる短いものか、
もしくは普通丈の着物を、きちんと尻はしょりをした状態ですので、
着物がこんなに見えることはありません。
きれいにあがったプリーツを見て「フラメンコ」のドレスを連想しちゃったアタシって…。
江戸時代、剣で立ち合いをするとか、急いで走っていかねばならない、
或いは長距離を歩くなどの場合に使われました。
時代小説など読んでいると、たまに出てきます。
「ももだちをとる」は、たまたま「マラソンのニュース」の前に、
「股立ちをとるってどうやるのかしら」という文もみつけていました。
着物に関する言葉は、着物を着ないヒトにとってはわからないことだらけだと思います。
寸法からして洋服は肩からの「袖丈」、着物は「裄」だし、
長さとかスカート丈ではなく「身丈」だし、身八ツ口って何、人形ってどこ、でしょう。
でも「この文長いから、適当にはしょって…」なんていってますよね。
あの「はしょる」は「端折る」、つまり着物を短く着るのにたくし上げたり、
褄を帯にはさんだりすることが語源です。
「○○を隠れ蓑にしてさ」なんていっていても「蓑」を実際見たことのある人は、
もう少ないでしょう。
言葉ってフシギですよね。
ともあれ、こんな感じで走ったほうが、かっこよかったんじゃないかなーと、
そんなことを思ったわけです。
私は袴を見ると、いつもなんでこんなにバサバサとおおきいんだろ、
と不思議に思っています。もちろん「衣服の変遷」を見れば、
その暮らし方とか身分制度とか礼装とか…いろいろな要素があって、
こんな風にカタチが決まってきたのだと思いますが、実際には実用的とは思えません。
まぁ、腰周りのゆったり加減というのは、これは下に着るものと、
着物はとにかく「伸び縮みしない」ものですから、もんぺも袴も同じダブダブ。
これは理解できます。でも、すそはねぇ…。
確かに男性の場合は「馬に乗る」ということがだいじでしたから、
足は大きく広がったほうがいいわけで、これだけ広くてもしかたないかと
思いますけどね。
袴と言うのは、平安の昔から身分や職業などによってほんとに多種あります。
また、ややこしいことに「名前」が一定していません。
「たっつけ」と言うのは、一番スタンダードなのは「お相撲さんの呼び出し」ですが、
ちがうカタチのものを「たっつけ」と呼ぶこともあります。
戦が当たり前だった時代は、日常生活「いつでも戦える」ことが必要だったし、
また具足(よろいの下半身用)をつけやすいとか、それをつけて動きやすいとか、
そういうニーズもあったわけですね。
元々が、男性のものであり(女性が袴を着けたのは平安ごろまで)、
戦や乗馬、長距離の歩行など、いろいろ目的がありましたから、
いろんなものができたのはフシギはありませんね。
行灯袴は「股がわかれていないもの」、つまりスカートの形ですが、
これは庶民も袴を礼装やオシャレ用にはくようになって考えだされたものであり、
戦うことも馬に乗ることもなかった庶民はこれでよかったわけです。
ちなみに庶民は「乗馬」をゆるされていませんでした。
乗っていいのは「♪箱根八里はよぉぉぉ~」と、ひっぱってもらうあのおんまさんだけ。
明治に入って、洋装が始まり、女学校というものができたとき、その制服として
「女袴」が作られました。最初から「行灯」です。
ちなみに男袴とは、後ろの腰板がないとか、ヒダの数とか作り方が違います。
写真に使った袴は「行灯」なんですが、これ、どのくらいの生地を使ってると思います?
こちらが裾を全部広げて半分に折っておりたたんだところ。
薄茶色の線が「裾の線」です。
そしてもちろん反物を縫い合わせてあるわけで、この袴だと反幅はここからここまで。
これが前後あわせて9枚つながっています。
つまり39㎝×9枚で351、3メートル半ですよ。
サーキュラースカートかって感じですね。
でも、だからこそ、あの「袴姿のバランス」の美しさがでるんですよね。
実際私もよくもんぺ風パンツをはきますが、着物の場合は下は広がっていたほうが、
カッコは目になじんでいいものです。
最近は女袴と言うと「卒業式」か「武道」ですが、
女のヒト、もっと普段に袴はいてもいいんじゃないかと思いますね。
女袴は半幅帯を締めますが、男袴と同じで帯の後ろ側は、
結び目の上に袴の後ろをきちんと乗せます。
実は半幅って小さく一文字(文庫も)に結んでも、けっこう大きくなって、
カタチ良く結べないと、袴の後ろ側を乗せたとき、ノートルダムのなんとやら…
ランドセルくくりつけたみたいに出っ張ります。
礼装として着る場合は、それもまたひとつの「晴れ姿」でかわいいのですが、
普段はそんなに大きくなると、ちょっとブサイクだし、すわったときにジャマです。
私は、もんぺパンツのときは最初のころは半幅を貝ノ口にしていました。
今は半幅のものよりやや細めのものを一文字に結んでいます。
男のヒトでも、礼装は角帯を一文字に立てて結びますが、
普段袴は吉弥とか貝ノ口など、わりとペタンコに結びます。
要するに腰板を乗っけられればいいわけですから。
女袴は腰板がありませんから、貝ノ口の両方にあがった部分に
後ろの紐をきっちり乗せて、袴の後ろが下がらないようにすればいいわけです。
気をつけないと、結び目から後ろが落ちる…なんてことがありますから、
きっちり「結び目にひっかける」ことですね。
ラクにラクに…いろんなカタチで着物を楽しめたらと思います。
今日は雨、なんだか眠たくなるような日です。
体うごかしてきまーす。
「まただち」ではありません「ももだち」と読みます。
どういう動作でしょうか。剣道をなさっておられるかたはご存知だと思います。
今年連休ころでしたかテレビをパッとつけたら「竜馬のカッコで走ろう」というイベントを
リポートしていました。最初を見そびれたので場所はわかりませんが、
とにかくみんなで「竜馬、もしくはお竜さん」のカッコで、
マラソン(ジョギング)を楽しみましょう、というイベント。
老若男女を問わず、それぞれ和服に身を包んでワッセワッセと走ってました。
走りやすいからか「竜馬人気」からか、女性もみんな「着物に袴」、
いや着物好きとしてはほほえましく楽しい思いで見ておりましたわ。
が…姿を見ると、ほとんどのヒトが「そのままのカッコ」で走ってました。
まぁイベントですし、記録を競うものではありませんから、
それでもいいのですが、どうせ和服で走るのなら、
それなりのカッコをしてほしいものだなぁと思いました。
上は「たすきがけ」、そして「袴の股立ちをとる」です。
やってないからみなさん袴の裾がひららひららと…。
股立ちとは、「相引き」という部分をつまみ、
体の脇の袴の紐か帯に、しっかりはさみこんで引っぱり上げる…です。
男袴の横のV字型のところです。右が前側、ちょびっと見えているのが後ろ側。
Vのところの前側は、説明が難しいのですが、ここはバイヤスに近いわけで
そのまだと布が延びます。そこでひだをうまくとって表側も止めつけています。
出来上がりが笹の葉のようなので「笹ひだ」といいます。
後ろ側はそのまま折り返して後ろの腰板の中に入るところまでくけてあります。
面白い名前ですが「投げ」といいます。
前よりは「バイヤス」かかって伸びやすいですが、すわったときなどのことを考えれば
ここは伸縮したほうがいいのですね。
前と後ろの縫い合わせの部分を「相引(あいびき)」といいます。
見えづらいので点線入れました。そのテッペン部分が「相引どまり」です。
この「相引どまり」をつまみあげて、袴の紐とか帯のところにはさみこんで引き上げる、
これが「股立ちを取る」です。
やってみましたが、すみませんお福ちゃん、女物の着物そのまんまでやってますので、
腰位置も帯幅も、みんなあってませんが、要するにこうやるよ、ということでゴカンベン。
こうすると、袴の裾が斜めに引きあがるので、裾捌きがよくなります。
どのくらいかといいますと、こんな感じ。
実際には、下に着る着物も「半着」と呼ばれる短いものか、
もしくは普通丈の着物を、きちんと尻はしょりをした状態ですので、
着物がこんなに見えることはありません。
きれいにあがったプリーツを見て「フラメンコ」のドレスを連想しちゃったアタシって…。
江戸時代、剣で立ち合いをするとか、急いで走っていかねばならない、
或いは長距離を歩くなどの場合に使われました。
時代小説など読んでいると、たまに出てきます。
「ももだちをとる」は、たまたま「マラソンのニュース」の前に、
「股立ちをとるってどうやるのかしら」という文もみつけていました。
着物に関する言葉は、着物を着ないヒトにとってはわからないことだらけだと思います。
寸法からして洋服は肩からの「袖丈」、着物は「裄」だし、
長さとかスカート丈ではなく「身丈」だし、身八ツ口って何、人形ってどこ、でしょう。
でも「この文長いから、適当にはしょって…」なんていってますよね。
あの「はしょる」は「端折る」、つまり着物を短く着るのにたくし上げたり、
褄を帯にはさんだりすることが語源です。
「○○を隠れ蓑にしてさ」なんていっていても「蓑」を実際見たことのある人は、
もう少ないでしょう。
言葉ってフシギですよね。
ともあれ、こんな感じで走ったほうが、かっこよかったんじゃないかなーと、
そんなことを思ったわけです。
私は袴を見ると、いつもなんでこんなにバサバサとおおきいんだろ、
と不思議に思っています。もちろん「衣服の変遷」を見れば、
その暮らし方とか身分制度とか礼装とか…いろいろな要素があって、
こんな風にカタチが決まってきたのだと思いますが、実際には実用的とは思えません。
まぁ、腰周りのゆったり加減というのは、これは下に着るものと、
着物はとにかく「伸び縮みしない」ものですから、もんぺも袴も同じダブダブ。
これは理解できます。でも、すそはねぇ…。
確かに男性の場合は「馬に乗る」ということがだいじでしたから、
足は大きく広がったほうがいいわけで、これだけ広くてもしかたないかと
思いますけどね。
袴と言うのは、平安の昔から身分や職業などによってほんとに多種あります。
また、ややこしいことに「名前」が一定していません。
「たっつけ」と言うのは、一番スタンダードなのは「お相撲さんの呼び出し」ですが、
ちがうカタチのものを「たっつけ」と呼ぶこともあります。
戦が当たり前だった時代は、日常生活「いつでも戦える」ことが必要だったし、
また具足(よろいの下半身用)をつけやすいとか、それをつけて動きやすいとか、
そういうニーズもあったわけですね。
元々が、男性のものであり(女性が袴を着けたのは平安ごろまで)、
戦や乗馬、長距離の歩行など、いろいろ目的がありましたから、
いろんなものができたのはフシギはありませんね。
行灯袴は「股がわかれていないもの」、つまりスカートの形ですが、
これは庶民も袴を礼装やオシャレ用にはくようになって考えだされたものであり、
戦うことも馬に乗ることもなかった庶民はこれでよかったわけです。
ちなみに庶民は「乗馬」をゆるされていませんでした。
乗っていいのは「♪箱根八里はよぉぉぉ~」と、ひっぱってもらうあのおんまさんだけ。
明治に入って、洋装が始まり、女学校というものができたとき、その制服として
「女袴」が作られました。最初から「行灯」です。
ちなみに男袴とは、後ろの腰板がないとか、ヒダの数とか作り方が違います。
写真に使った袴は「行灯」なんですが、これ、どのくらいの生地を使ってると思います?
こちらが裾を全部広げて半分に折っておりたたんだところ。
薄茶色の線が「裾の線」です。
そしてもちろん反物を縫い合わせてあるわけで、この袴だと反幅はここからここまで。
これが前後あわせて9枚つながっています。
つまり39㎝×9枚で351、3メートル半ですよ。
サーキュラースカートかって感じですね。
でも、だからこそ、あの「袴姿のバランス」の美しさがでるんですよね。
実際私もよくもんぺ風パンツをはきますが、着物の場合は下は広がっていたほうが、
カッコは目になじんでいいものです。
最近は女袴と言うと「卒業式」か「武道」ですが、
女のヒト、もっと普段に袴はいてもいいんじゃないかと思いますね。
女袴は半幅帯を締めますが、男袴と同じで帯の後ろ側は、
結び目の上に袴の後ろをきちんと乗せます。
実は半幅って小さく一文字(文庫も)に結んでも、けっこう大きくなって、
カタチ良く結べないと、袴の後ろ側を乗せたとき、ノートルダムのなんとやら…
ランドセルくくりつけたみたいに出っ張ります。
礼装として着る場合は、それもまたひとつの「晴れ姿」でかわいいのですが、
普段はそんなに大きくなると、ちょっとブサイクだし、すわったときにジャマです。
私は、もんぺパンツのときは最初のころは半幅を貝ノ口にしていました。
今は半幅のものよりやや細めのものを一文字に結んでいます。
男のヒトでも、礼装は角帯を一文字に立てて結びますが、
普段袴は吉弥とか貝ノ口など、わりとペタンコに結びます。
要するに腰板を乗っけられればいいわけですから。
女袴は腰板がありませんから、貝ノ口の両方にあがった部分に
後ろの紐をきっちり乗せて、袴の後ろが下がらないようにすればいいわけです。
気をつけないと、結び目から後ろが落ちる…なんてことがありますから、
きっちり「結び目にひっかける」ことですね。
ラクにラクに…いろんなカタチで着物を楽しめたらと思います。
今日は雨、なんだか眠たくなるような日です。
体うごかしてきまーす。
知りませんでした。
漢字だけで書かれていたら、きっと
そのまま読んでいましたわ。
それにしても、これだけの布が必要
なんて驚きですね。
そ~ゆ~ことだったかと得心。
さすが、とんぼさんです。
龍馬の肖像通りで…ってことだとは思いますが。
おりょうさんや乙女ねえやんの方に?????も
いらっしゃいました^^めくじらたてるほどでも…。
とは思いつつ、気になりました。
ほんとに面白い読み方ですよね。
それにしても袴ってすごい量使うんですね。
ほんとにスカートですよね。
ごらんになりましたか。
肖像どおりってことなんですかね。
でも走りにくいですよ、マキシ丈の
サーキュラースカートじゃ?!
女袴が普段着でもOKという主さんのお言葉、心強いです!しかし、袴はラクです。またハマりそうです。
はじめまして、コメントありがとうございます。
袴は、ザカザカ歩けて便利です。
私の場合は、旅行のときなど「かるさん袴」に近い、
モンペみたいなものですが…。
着物の汚れ防止にもいいですよね。
今の方は長く穿かれますが、昔はふくらはぎが見えるそこそこ位まで、
短く穿く場合もありました。
あくまで「活発に」動くためのもの、として楽しめたらいいなと思います。
袴がないと着物を着ること自体半分以下になるだろうなあと思います。半幅帯でなく角帯使用です。正座ができないので和室に上がる場合は絶対に袴か洋服です。
走りまわる羽目になるだろうときとか、足元の状態がよくないとき(←具体的には12月から4月、つまり雪のある時期)(特に雪解け時期)は欠かせません。階段で踏んでずり落ちて以来懲りて、丈は現代にしては結構短めにしています。
昔の写真見るとミモレからシャネル丈上等ですね。そりゃ仕事着とか学生さんの通学着ですもの、当然だよなあ...と、眺めてました。
便利なものですが、ひとつだけ困るのが、洗ったあとの殺人的アイロンかけ...布地の分量半端ないですね...。寝押しできる環境でもなし。結局すたれて洋装に変わった理由がよくわかります。よほど好きでなくては着ていられません。
...よほど好きならしいですわたし。因果なことです。
コメント欄のみなさまの文章含め、大変面白いお話をありがとうございます。
コスプレマラソンは微笑ましいですが、どうせならがっつり考証を加えた参加者が居たほうが俄然面白くなったでしょうね。
古い記事でも、お役に立てばなによりです。
袴は、もしそれで暮らせたら、いろんな袴をそろえて
楽しみたいものだと思っています。
母が言ってましたが、袴下の短い着物を着ると、
足元がすーすーするんだとか。
伯母は袴も縫える和裁人でしたが、
いまになって、一枚縫っておいてもらえばよかったと
思っています。
それにしても、私も解いて洗いましたが、
どんだけあるんだよと…。干すのもたいへんでした。
アイロン、お疲れ様です!