これ、出品されているときは「蔵の壁 かわったモチーフ」…となっていました。
見てすぐに「あ、これは」と思いまして…。
綴じ糸が切られていないということで、中を見ることができないまま…
でもそのために「それなりにお安く」…入手できました。
糸を切ってみたら…のお話は、またあとで…。
まず、この絵の元絵は、奥村土牛画伯の「門」だと思います。
姫路城「は」の門を描いたといわれています。
え~絵はがきの写真をおかりしてきました。
奥村画伯が、数ある姫路城の門の中で、この「は」の門を選んで描かれた理由は、
何かで読んだ気もするのですが、すでに忘れております。
いずれにしても、だいたい門は外から描くところ、内側から描いています。
内側の扉の黒にこだわった…と読んだ気がします。岩絵の具を焼いて炭のようにした…だったかしらん。
反対に向う側に真っ白な築地塀をのぞかせて、暗いところから外の明るさを眺めている対比が、
とてもシャープだと思います。なんちゃって、絵のことなんてわかんないんですけどね。
時代を経た木の扉の雰囲気が素晴しいです。
帯を並べてこうしてみると、全然違います。狭い幅にポイントだけ取り込んでみました…ですね。
木も下の石畳も、実際にはありません。帯の図柄としての取り合わせ…ですね。
この帯の方は全体に明るいです。色が違うだけでも、ずいぶ感じが違います。
実は手にしてみてから遠近感のないことがちと不満だわーと。
というより、扉が光っ明るいている分、本来向う側に奥まって見えるはずの塀の方が、手前に見えてしまう。
だから「蔵の壁」なんてみえてしまったのでしょう。
遠近感がないかわりに、本物に感じる暗さと大きさの圧迫感がありません。
なんかひろーいお屋敷の門が気楽にあけられていて、今にも「どーぞー入ってぇ」と声がしそうな…。
そんな明るさや穏やかさが感じられます。
「あの『門』が元なのに」と思うより、これはこれでいいんじゃないかなと思いました。
ちと脱線、「はの門」は城の門ですから、一般家庭の門とは違って「戦の時の守り」になるよう、作られているわけです。
これは「櫓(やぐら)門」、絵には描かれていませんが、この門の扉の上には、白壁の建物が乗っております。
門の上を左右に通れるところなら渡り廊下の役目をし、櫓だけ独立したものなら、見張りや、
いざと言うときは門をくぐろうとする敵に石を落としたりするわけです。
実際の姫路城は、数々の天変地異も近代の戦も、全て免れてきた貴重なお城ですから、保存がいいんですねぇ。
お城にはそれほど詳しくはありませんが、一度テレビで、姫路城の菱門(最初の門)から天守閣までいく映像を見て、
こりゃ戦でも、攻めてる途中に「まだあんのかよぉぉ」と帰りたくなるわ…と思いました。
もし私が行かれたとしても心配なのは、このなまった足で、天守閣まで攻めあがれるだろうか…です。
だれかおんぶしてってくださいましぃぃぃ。
この帯、おたいこ部分と前帯には箔もつかわれて、またその薄いグリーン系の色がステキだと思うのですが、
地はクリームです。
こんな感じ、うまく色が出ていませんが、全体に薄いグリーンの感じで若葉のころに締めたい帯。
それにしても「綴じ糸のすごさ」。
界切り線もオランダ線も両方出ていますから、関西の仕立てでしょうね。
だからこの糸、なんでこんなにバツンバツンにとめたんでしょ。切るのに気を使いました。
綴じ糸を切ってみたら、中もダメージはなし。
前帯は同柄のミニサイズ、
それはよかったのですが、これだけきれいなのだから、手先にもちょっとこの箔を入れてくれればよかったのに、
先まで地のクリームだけでした。この地色です。おたいこから出た「手」がこの色ですから、
なんか、とってつけたような感じになるのではないかと…。
奥村画伯の絵はけっこう好きなんですが、私のわるいところでなんでもかんでも「題名」を覚えない…。
「ほら女の人がさ、こんな感じで扇子持ってて」と説明して、やっと相手が「それは何々の○○」と教えてくれる…。
情けない限りですが、性分は直りません。
この「門」は、昔、姫路城に行きたいなぁと思っていたころに見たので覚えていました。
以来、チャンスはあったのに、結局姫路城にはまだ行ったことがありません。
今なら「補修中」ということで、補修が終ったらゼッタイ見られない真横からの姿が見られる…のになぁ。
まだ来年もありますから…。その間に足を鍛えねばっっ!
あなたの意見いつも面白く拝見しております。土牛さんの絵は大好きで、でも気が付きませんでした。蔵の壁といわれても納得。
面白い切り取り方ですね。
今年土牛さんの醍醐の桜見に行きました。念願かなって、やっと3度目で納得の桜でした。
あの画面の帯なら私も欲しい。
退職してやっと心に余裕が出来て、着物を着だしてどうにか納得の着方が出来るようになりました。
だけど年ですからね。着たい着物が着れない。着れるうちに派手な着物着てくださいね。
蔵の壁を帯の柄にとは面白いですね。
本当にほんの少しでも手先に色があると
いいのにね。
すぐさま 奥村土牛画伯んお絵を思い浮かべるとんぼさんはやっぱり凄い
奥まって見えるはずの塀の方が、手前に見えっる…
確かに絵を知らなければ 帯をみて「門」とは思えませんね
はじめまして。
コメントありがとうございます。
「醍醐の桜」も素晴しいですね。
富士山の絵のどれかを帯にしたい…とか、
ブツヨクばかりが湧き上がります。
着物をお召しとのこと、本当に年齢で…というのはありますから、
着られるうちに…ですね。
私年をとってからの方が少し派手になってきました。
がんばりまっす。
いえいえ「蔵の壁」は題でして、お城の門です。
手先に色がないのは、本当に寂しいです。
ちょっとだけでもいいのに…。
もしかしたら、それで安かったのかもです。
販売するつもりが「こりゃ失敗」だったのかもですね。
好きな絵だけ…わかるという「かたより」ですー。
実物は、光具合も少し静まるので、もう少し門に見える感じなんですが、
元絵とは明暗が逆なので、わかりづらいですね。