ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

フェルトワーク

2007-05-31 13:44:45 | 着物・古布
写真は、30年位前に作った「フェルトのコンパクト・ケース」です。
ちょっとコンパクトなんぞ入れてみました。
化粧品を(いちおー使うこともあるんじゃ…)入れておく引き出しの、
一番奥にしまいこんであったのですが、古い化粧品を整理するのに、
引っ張り出しました。(口紅なんか匂いかわってたよぉ~)
ウラは、花と同じ色のフェルトです。長年押し込まれていて、
花がつぶれてますなー、スチームあてないかん。


         


この「フェルトワーク」も、実は母からおそわったもの、
というよりも、母の教え方は「見て覚えよ」でしたから、
私はめったに「教えてくれ」と聞くことはありませんでした。
どうしてもわからなくて、ぼそぼそっと聞くと、
母はまず「本」をよこします。古い古い手芸の本、編み物・縫い物、
破れたところはちゃんと補修がしてあって、
全部の本に「包装紙」で作ったカバーがかかっておりました。
私は「○○堂のはセーターの編み方」「ⅩⅩ屋のはレース編み」…と、
それを頼りに、母のあとを追ったわけです。
それでも分からないと、ここがわからない…と聞く。
いっとき聞くのが悔しい時期がありました。生意気盛り!
セーターの袖ぐりの減らし目が分からなくて何度も何度もやり直し、
糸がよれよれになって、悔しくて涙ポロポロ。
黙って母は、横に座って「こうしてな、ここで糸かけて…」と
ゆっくりとやってみせてくれる。そういうときに最後に言うのは
いっつもおんなじ「お前もおかーちゃんも、手ェは2本、指は10本や、
できへんのは気持ちがまけてんねん」…。
これで鍛えられたおかげで、なんとかいろいろできるようになりました。
大人になって対等に話せるようになると、お互いのやってることが気になる。
母は、私が新しい手芸をみつけてくると(いっとき流行ったアンダリヤなど)
だまって見てて、きがつくとやってる!んでもって私よりうまい…。
フェルトワークは最初に母が、そのあと私が猛然と追い込み?をかけたもの。
二人でいろんなものを作りました。でも、フェルトって大きいのは高いんですよ。
母はバッグなども作りましたが、私はせいぜい花瓶敷きどまりでした。
上のコンパクトケースはそのときのものです。
めったにほめない母が、ほめてくれた記憶があります。

フェルト細工は裁ち切りで始末がいらないし、
けっこうデキが良く見えるので?、好きでしたー!
これは残り物のフェルトだったと思います。
作り方は今風に言うと「チョーカンタン」です。
丸く切った二枚のフェルトの片方に花をつけ、
二枚あわせてミシンでつなぎあわせ、一ヶ所「入り口」をあけておき、
あとはまわりをピンキングばさみでカット、これだけです。
こちらがお花の作り方、はっぱはテキトー。

まず横に9cmの線を引き、直角に上に1.5cm、
横を1.5で、花びら5枚分のしるしをつけます。
右はしのように一枚分の花びらは、1.5の半分で当分に線を入れて、
二等辺三角形を書きます。このままだと花びらがただのとんがりになるので、
少しふくらみを持たせます。これを5枚続けて書くわけです。
一番下は切り離しませんので、適当なところでとめて一枚の花の「元」にします。





えーかげんな絵ですみません。三角を丸っこくすると「梅」のような、
かわいい感じ、とんがりのままだと「花ニラ」みたいな感じですね。
この型紙をフェルトにあてて切るわけですが、
フェルトは細いところを強く引っ張ると千切れてしまいますから、
そのへんを気をつけてください。
カットしたところです。これの下の部分を細かくぐし縫いします。
千切れないように、あんまりはじっこすぎないところを縫うこと。



              


縫い終わりは、隣の、つまり「最初の」花びらに一針つなげて、
キューっと縫い絞ります。真ん中の穴ができるだけ小さくなるように。
こうなります。同じものを二枚作って重ねると「八重咲き」風。



          


真ん中にビーズを縫い付けて、芯の穴を隠します。
上のコンパクトケースは、大きなビーズ一個ですが、
小さいビーズをたくさんつけて「しべ」のように見せてもかわいいです。
花はもちろん大きさを変えたり、花びらの数をかえることで、
いろいろなお花ができます。

昔は、手芸用ボンドとかグルーガンなんてありませんでしたから、
コンパクトケースはひとつひとつ全部縫い付けてあります。
けっこうマメだったんだわ…。

カンタンなわりに見栄えがいいので、母にもらった黒のニット地に
この花をたくさん並べて「ショール」を作りましたが、一度もしなかった…。

母は料理以外はなんでもできる人で、わたしにとってはよきライバル、
もう針も糸も持つことはなくなりましたが、昔の作品をだしてきては、
どれを誰にやろうかと並べて悩んでます。
数少ない友達や、優しくしてくれる姪っ子たちにやってや、
私はかーちゃんの「テク」全部もらったしね。
(それを使っとらんこのごろ…作ろうかなーと気持ちばっかし、
 ははは、この親ふこーモノめが)

コメント (9)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« まだギリギリ袷… | トップ | たけのこと羽裏 »
最新の画像もっと見る

9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2007-05-31 21:40:12
フェルトのコンパクトケースとっても素敵!
なるほど、そうやって作るんですか。
とんぼ様は本当にこまめですね。私は若い頃は
針と糸を持つのが大嫌いでしたから、こういった
手芸は本当にダメなんですよ~。
なんで今、毎日の様に糸を触っているのか不思議な
気がしますが・・・
返信する
針仕事 (蜆子)
2007-05-31 23:23:07
とんぼさんのおかあさんて本当にてまめなんですね~。
私の母もそうでした。専業主婦でしたし、毎日こまめになにやかにややってました。ちなみに私の嫁入用の着物はコート類だけは頼みましたが、振袖、留袖にいたるまで母が縫ったもの、さらに洋服もコートにいたるまで、全部母が仕立てました。小さい時からの洋服、着物全部母の仕立てたものばっかり、よそのものは縫っていませんでしたから、私の専属の仕立て屋さん。
それなのに、洋裁も和裁も編み物も、全部習いにいかせられたのに、今じゃ、文句つけることだけしかできない。ごめんなさいです。
とんぼさんは優秀な娘さんですね。
おかあさん喜んでいらっしゃるでしょうね。
返信する
凄い! (maymayman)
2007-05-31 23:34:59
>お前もおかーちゃんも、手ェは2本、指は10本や、
できへんのは気持ちがまけてんねん・・・

ステキな言葉ですね・・・
おかーちゃんに、メロメロ・・・
返信する
Unknown (もも)
2007-05-31 23:48:06
わたくしめ、手先を動かす事がとても苦手で
物創りをする人、手先が器用な人を尊敬してます。

私の母は若い頃、紳士服を仕立てる店に勤めていまして、結婚してから洋装店をしてました。

そんな器用な母の娘とは思えないぐらい、何も出来ません。
物創りに無関心で、外ばかりに目がいっていた私に、母は少し寂しかったかもしれません。

とんぼさんとお母様の関係、とてもほほえましく、素敵、ふかーい愛を感じます。
お母様も素敵な方ですね。そんな事感じます。
返信する
Unknown (彩香)
2007-06-01 07:19:24
はじめまして。
素敵なコンパクトケースですね^^
そしてフェルトで作る花の作り方、とてもわかりやすかったです。
またいろいろな作品を見せてくださいね。
返信する
早速… (虹子)
2007-06-01 09:50:48
今取り掛かろうとしているバックに、お花をつけたくなりました。早速、取り掛かろうと思います。

私も、とんぼさんのお母様のような、ほめ上手な、
母になりたいなぁ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-06-01 13:35:21
陽花様
フシギなもんですよね。
私も、あれだけやっていたのに「和裁」だけは
途中で放り出して、今着物どっぷり…。
運命ってこんなもん?

蜆子様
昔の母親は、ほんとに「作るの当たり前」でしたね。
私も、そんなご大層なものではありませんでしたけど
母の手作りを当たり前のように着てました。
母が私にいろいろやらせたのは、ひたすら
「女の子はどこに嫁にいくかわからんのに、
遠くやったらどないするねん、
自分で何でもできなあかん」だったんですよ。
母自身が、遠くから嫁いでしまって、母親を
たよることができなかったからだと思います。
ありがたいと思ってます。

maymayman様
「バサマ語録」はすごいのがいっぱいあります。
何度うちひしがれたことか…。
あっホレちゃだめよ、83だし…?!

もも様
一人っ子なもんで、全注意力が向くんですわ。
「思い通り」に育った部分と、そうでない部分、
私は私で「うるさい」と思う部分とそうでない部分。
親子って、特に女同士は、おもしろいものです。

彩香様
ようこそおいでくださいました。
フェルトワークは少しの時間でできます。
近頃は手仕事からちょっと遠ざかっていますが、
墓地墓地でもやりたいと思っています。
またお越しください。

虹子様
ぜひ、やってみてください!
私は伝える女の子がいないんですよ、
ほんと、女の子いたら「バサマぱーと2」に
なっていたかもしれません。おーんなじこと言って!
返信する
Unknown (青め猫)
2007-06-02 02:05:19
連続して、書き込み白熱してしまってすみません。
相手がコメントいれるの大変なのわかっておきながら、思わず読んだら書き込みしたくなってしまう質なので。(どこにいってもそう。。)

そんな風に可愛くそして簡単に作れるんですね!
え~っ!て感じ。。。
私にも出来るぞ~って。
使わせていただきますw。

それにしても、お母様はけっこう厳しいお方だったんですね。
それもとんぼさんへの愛情に基づくものであったのは言うまでもありませんが。

私の母は反対で全然裁縫も料理もできませんでした。
私の母は物心ついたときには母親(祖母)が他界したので男兄弟と男親だけで育ったらしく。
その後、後妻さんから自分の母親の縫った着物の縫い目が酷すぎるなどと、目の前に突きつけていじめられていたとか。
だから、何一つとして縫い物も、料理も教わることも、教えくれる環境さえなかったらしいです。
・・・すみません。身の上話になってしまいました。
最近、いや歳のせいでやたら昔のことを思い出します。
その裁縫の下手な母親が唯一作ってくれた人形を、気に入らなくて友達へあげてしまったら、母はとても悲しんでいたのを思い出してしまいました。
馬鹿なことをしたなぁ。。。
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-06-02 02:59:54
青め猫様
いえいえ、コメントははげみになります。
どうぞよろしく。

フェルトワークはラクでかわいいですよ。ぜひ!
育て方、育てられ方と言うのは大事ですよね。
お母様、苦労なさったんですね。
私の母も、末っ子で、台所だけはたたなかったため、
料理は私が教えました。
嫁に行くとき、普通母親がやって見せたり、
レシピ教えたりしますが、我が家は私が母に、
レシピを残して出ました。そのあとも心配でねぇ。
幸いなことに、父が料理上手ですので、
今や専業主夫がおります。

母がものを作る人だと、ありがたみって、
離れないとわからないものです。

返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事