なんともひどいことになりました。
この銘仙は、過去記事「紙のよーな銘仙」でご紹介したものです。
すぐに裂けるので、怖くてそのまま保管してありました。2年もぉ~。
とはいうものの、いつまで置いといても熟成されてよくなるわけじゃナシ。
今日は羽織を解こうと思っていましたので、日当たりのいい時間、
玄関先でマットを敷いて始めたわけです。もちろん羽織はサッサカサとすみました。
が、この銘仙を解きだしたら、そりゃもぅどうにもなりません。
たとえばこういうところの糸を、チョンと切って(矢印のところですね)…
先に進むためにちょっとひっぱると…ピッと裂ける…。
おかけでちっとも先に進まないのです。
胴裏についているのは木綿なんですが、普通こういう古着って、
表はきれいでも、胴裏がシミだらけだったり、黄変だの茶変だのなんですが、
これは逆で、表はこんななのに胴裏の木綿はとてもしっかりしていてこんなにきれい。
しかも八掛はきれいな錦紗で、ふき綿もたーっぷり。
なんとしても解きたいのに、解けば解くほど…崩れてゆくぅ~~。
だったらやめればいいのですが、状態のいい木綿とかわいい色の錦紗がとりたくて。
終わったら原型をとどめないほど?ぐしゃぐしゃになってしまいました。
というわけで、いつもの倍の時間かけて懸命にバラしました。
いつも解くときはホコリよけにマスクをしますが、今日は特に必要でしたねぇ。
終わったらこんなに糸、というより「糸の粉?」が…。
「解き」をするときは、何か敷いてマスクして…といつもお勧めしていますが、
実際、目に見えない細かいホコリもありますし、時にはこんなこともあるわけで…。
呼吸器の弱い方は特にお気をつけ下さいって、こんなひどい着物はそうそうありませんけどね。
これは、緯(よこいと)はまぁ普通程度の糸です。
経(たていと)がどこまで質が悪いのかって話ですね。
たぶん、戦前の、一番銘仙の質が落ちていたときのものだと思います。
母も昔「戦時中の銘仙は、たたんでおいただけで折り目から切れた」と言ってました。
きっとそのころのものでしょうね。
戦争の兆しが出でまず「交易」の道が閉ざされ、そして戦争へと動き始めると、
まず国内の繊維関係縫製関係の工場や原材料が、軍に抑えられました。
工場は軍需工場となり、質のよい絹はパラシュートなどのために使われました。
かわりに「人絹」が出回りました。人絹は「人造絹糸」、
今でいうところのレーヨン、つまり植物繊維のセルロースを元にした繊維ですが、
今のものと違って、これも質はよくありませんでした。
戦争世代のお年寄りなら誰でも知っている「スフ」と呼ばれる生地です。
「ステープル・ファイバー」のアタマをとった呼び方ですね。
すぐ破れたんだそうですよ。まるでこの銘仙ですねぇ…。
結局庶民は「今あるもの」を大事に使い、更に繰り回しの技術を磨いて、
苦しい「もののない時代」を乗り越えたというわけです。
それにしても、この糸の弱いこと弱いとこと…。
もちろん、最初からここまでひどかったわけではないと思います。
だったら縫えませんよね。年月が経って、元々質の悪いところが更に劣化したのでしょう。
これはもうどうにも使えませんので、処分しようと思い、
たたもうとしましたが、裏がなくなっちゃったら持ち上げただけで裂けるし…。
苦労してなんとか四角っぽくたたんでクルクルと巻き、
それでも一生懸命今までがんばってきてくれたわけですから、
袖裏の木綿できれいに丸く包み、錦紗のはしっこできっちり縛りました。
家にカマドがある時代なら、いえ、せめて焚き火ができる時代なら、
これは燃やして「灰」にしてあげたいところですが、それもかないません。
「ありがとうね」と手を合わせ、処分することにしました。
というわけで、これ一枚解いただけでぐったり疲れましたー。
おまけ画像です。
ご近所のサクラソウ、これはほんとにかわいくてきれいな花ですね。
びっしり咲いているお宅を見かけると、なかでコロンとしたくなります。
この銘仙は、過去記事「紙のよーな銘仙」でご紹介したものです。
すぐに裂けるので、怖くてそのまま保管してありました。2年もぉ~。
とはいうものの、いつまで置いといても熟成されてよくなるわけじゃナシ。
今日は羽織を解こうと思っていましたので、日当たりのいい時間、
玄関先でマットを敷いて始めたわけです。もちろん羽織はサッサカサとすみました。
が、この銘仙を解きだしたら、そりゃもぅどうにもなりません。
たとえばこういうところの糸を、チョンと切って(矢印のところですね)…
先に進むためにちょっとひっぱると…ピッと裂ける…。
おかけでちっとも先に進まないのです。
胴裏についているのは木綿なんですが、普通こういう古着って、
表はきれいでも、胴裏がシミだらけだったり、黄変だの茶変だのなんですが、
これは逆で、表はこんななのに胴裏の木綿はとてもしっかりしていてこんなにきれい。
しかも八掛はきれいな錦紗で、ふき綿もたーっぷり。
なんとしても解きたいのに、解けば解くほど…崩れてゆくぅ~~。
だったらやめればいいのですが、状態のいい木綿とかわいい色の錦紗がとりたくて。
終わったら原型をとどめないほど?ぐしゃぐしゃになってしまいました。
というわけで、いつもの倍の時間かけて懸命にバラしました。
いつも解くときはホコリよけにマスクをしますが、今日は特に必要でしたねぇ。
終わったらこんなに糸、というより「糸の粉?」が…。
「解き」をするときは、何か敷いてマスクして…といつもお勧めしていますが、
実際、目に見えない細かいホコリもありますし、時にはこんなこともあるわけで…。
呼吸器の弱い方は特にお気をつけ下さいって、こんなひどい着物はそうそうありませんけどね。
これは、緯(よこいと)はまぁ普通程度の糸です。
経(たていと)がどこまで質が悪いのかって話ですね。
たぶん、戦前の、一番銘仙の質が落ちていたときのものだと思います。
母も昔「戦時中の銘仙は、たたんでおいただけで折り目から切れた」と言ってました。
きっとそのころのものでしょうね。
戦争の兆しが出でまず「交易」の道が閉ざされ、そして戦争へと動き始めると、
まず国内の繊維関係縫製関係の工場や原材料が、軍に抑えられました。
工場は軍需工場となり、質のよい絹はパラシュートなどのために使われました。
かわりに「人絹」が出回りました。人絹は「人造絹糸」、
今でいうところのレーヨン、つまり植物繊維のセルロースを元にした繊維ですが、
今のものと違って、これも質はよくありませんでした。
戦争世代のお年寄りなら誰でも知っている「スフ」と呼ばれる生地です。
「ステープル・ファイバー」のアタマをとった呼び方ですね。
すぐ破れたんだそうですよ。まるでこの銘仙ですねぇ…。
結局庶民は「今あるもの」を大事に使い、更に繰り回しの技術を磨いて、
苦しい「もののない時代」を乗り越えたというわけです。
それにしても、この糸の弱いこと弱いとこと…。
もちろん、最初からここまでひどかったわけではないと思います。
だったら縫えませんよね。年月が経って、元々質の悪いところが更に劣化したのでしょう。
これはもうどうにも使えませんので、処分しようと思い、
たたもうとしましたが、裏がなくなっちゃったら持ち上げただけで裂けるし…。
苦労してなんとか四角っぽくたたんでクルクルと巻き、
それでも一生懸命今までがんばってきてくれたわけですから、
袖裏の木綿できれいに丸く包み、錦紗のはしっこできっちり縛りました。
家にカマドがある時代なら、いえ、せめて焚き火ができる時代なら、
これは燃やして「灰」にしてあげたいところですが、それもかないません。
「ありがとうね」と手を合わせ、処分することにしました。
というわけで、これ一枚解いただけでぐったり疲れましたー。
おまけ画像です。
ご近所のサクラソウ、これはほんとにかわいくてきれいな花ですね。
びっしり咲いているお宅を見かけると、なかでコロンとしたくなります。
やっぱり質にもよるのでしょうが、年月の
劣化は避けられないものなんでしょうね。
よくとんぼ様が布力と言われますが、
こんなになっているのを見るのは初めて
です。本当にお疲れ様です。
サクラソウきれいですね。
種がこぼれて芽が出てきているのが、これと
よく似ているのですが、もうこんなに立派に
咲いているんですね。
大変な労力だったろうなと、おさっしします。
サクラソウ…かわいい姿とうらはらに、アレルギー反応リストに
入っていますね。皮膚をやられたことがあります。
香りもいまひとつなんですよね…可憐なのに。
姿は大好きです。
きれいな柄の布なのに、もったいない。
着物としてはどれくらい着られたんでしょうね?
裂き織りをするのに、祖母の古い着物をもらいうけ、解いて洗ったのですが、水の中で布が溶けてしまってびっくりしたことがありました。出来上がったのは、茶色の糸くずだらけの茶色い液体・・
その時、母に「だってばーちゃんのだもの。スフだったんじゃない?」といわれたのですが、なるほど、「スフ」っていうものの正体がやっと理解できました。
そういえば、解いている最中の糸くず量は尋常でなかった・・。
和紙漉きのようにできたかしら??(笑)
いやもうびっくりです。
あんまりですよねぇ。ただのゴミの山に
なってしまいました。
サクラソウ、ご近所にたくさんあるので、
あちこちで楽しませていただいてます。
銘仙ですから、ハリがあるので
よけいに紙みたいです。
まぁ疲れましたわ。
サクラソウはアレルギーもあるんですね。
しりませんでした。
花粉ってのは、アレルギー多いですね。
これは色の濃い薄いがあって、
かわいくてきれいな花ですね。
柄がよくて入手したんですけどね。
もう涙のお別れです。
これは元々がいいものではなかったのだと思います。
衿に薄い汚れがあるのですが、
ほかを見ると、着込まれた様子はありません。
たぶん品質が悪いのが最初からわかっていたので、
あまり着なかったのだと思います。
衿の汚れがなくて、仕付け糸ついてたら、
新品で通る感じでした。
質がよくなかったから「劣化」も激しかったのだと
思います。
モノがなかったんですね。
いえいえ、何しろ経糸が、際限なく粉のように
どんどん千切れていきますから、
はたきにもなりません。
横糸しか残りませんので、はたきではなく
束ねたら「筆」ですねぇ。
はじめまして、ようこそおいでくださいました。
「茶色の糸くずだらけの茶色い液体」、
そりゃスゴイ!ですねぇ。
いや私も、これを解いているとき、
パラパラといくらでも落ちる糸の「粉」に、
溶かして梳いたら…って思いましたよ。
スフはほんとによく破れたらしいです。
戦争なんて、ロクなもんじゃありませんね。