もう天変地異での異常気象だのは、珍しくなくなって、
5月の半ばにストーブつけてこれを書いています。
昨日はニュースで、ダウンコートやブーツの通勤姿を放送していました。
来月は桜の季節かぁ?
写真は「麻の繊維をとる前の現物」
とんぼんちには、こんなものまであります。
さすがに「こんなのどーすんの?」と言われました。
えーと…どんなものか見てみたかったもんで…。
これは、ここから繊維をとり出すという段階のものだと思います。
長いので、全部だすととぐろ巻きます。
6尺2寸といいますから、2メートル近くあるわけですね。
繊維をとるための麻は、春に種まきして夏に刈り入れます。
余分な根や葉を落とし、長さをそろえてまずは一度煮ます。
これは害虫や余分な菌などをのぞくため。
一度天日干しし、もう一度、煮直して更に天日干し、乾燥保管します。
次に水に浸し、引き上げたものをビニールをかけて醗酵させます。
この醗酵させる作業を「ねど」というのだそうですが、
語源はなんなんでしょうね。
ねどがうまくいくと、表面がぬるぬるになるそうなのですが、
納豆以外「ぬるぬる」ダメな私は…できないなぁきっと。
それからいよいよ麻の茎から繊維分を取り出す、つまり剥がすんですね。
これだけではまだ不純物がいろいろあるそうで、
余分なものを取り除いて、やっと麻糸のとれる繊維体になります。
麻剥ぎ、麻ひき、と呼ばれる作業ですが、「麻」を「お」と読んで、
「おはぎ・おひき」といいます。作業のすべて終わったものは「精麻(せいま)」
そして最後に、この精麻をごく細く裂いて、それを撚り合わせて
長くつないだものが「麻糸」、この糸にする作業が「麻積み(おうみ)」です。
麻って、ものすごく手間がかかるんですね。
さて、麻は日本人にとっては最古からある布、でした。
ややこしいので先にお話しておきますと、今私たちが現在「これ麻だね」
と呼んで衣服やインテリアに使っているのは「カラムシ系とリネン系」です。
カラムシは、高級上布素材の「苧麻(ちょま)」、リネンは「亜麻」です。
でも、もともと日本人が「麻」として使っていたのは実は「大麻」です。
そういえば、昨日のニュースで、ひなげしだと思っていたら「ケシ」が咲いて、
何万本だか引き抜いたそうですね。つまり「大麻系」ってことです。
近代になって「植物学の分類上…」という科学的根拠に基づく分け方が、
細かくされるようになりましたが、太古の日本人が、そんなことを知る由もなく、
とにかく麻とそれに類する繊維の取れるもの、これまとめてみな「麻」と呼び、
これを日本人はたくみに育て、暮らしに役立ててきたわけです。
古来より、麻は神聖なものとされ、
神様に供える、神事の道具に麻を使うなどしてきました。
今でも横綱土俵入りのときに使われる化粧回しの
あの「注連縄」のような綱の中身は「麻」です。
また、昔お産のとき、神の守りをえるために麻の葉をくわえて出産したとか。
また生まれた子供の産着には、健康と長寿を願って、
今も多くのひとが「麻の葉模様」を着せますね。
ことほどさように、日本人にとって麻はなくてはならないものでした。
また、麻というのは肥料いらず、しかも、麻を植えて育てたあとの土というのは、
ほかの植物もよく育つのだそうです。麻からは油もとれますし、
麻の実は便秘の薬になります。食用にもなりました。
日本で木綿を庶民が普通に着られるようになったのは江戸も後期です。
それまで庶民は麻を着ていました。通気性がいいばっかりに、
冬の衣装としては寒いため、その下に紙子(紙の着物)を着たり、
真綿を挟んだりして保温して着たわけです。
また反対に、武士の着物なども麻は正装として使われました。
これはつまり「麻の種類のよしあし」で、ランクづけされたわけです。
元に戻りますが、古来日本人が使ってきたのは「大麻」ですが、
麻と呼ばれるものには何種類かあった、ということで現代の植物学でいうなら
「科目」が違います。苧麻はイラクサ科、亜麻はアマ科、大麻はアサ科です。
現在「麻薬」として名をはせている「麻」も大麻とよばれますが、
あれはインドの別種の麻で、日本の大麻とは種類が違い、
あちらは強烈な麻薬の成分を有します。
ただし、日本の大麻にも、葉や花には陶酔する成分が弱いけれどありますので、
お産のときに、大麻の葉をくわえさせたというのも、
痛みを軽減させる効果があったからでしょう。
いずれにしても日本人は、大麻を嗜好、つまり麻薬として使用するための栽培は、
していなかったわけです。もしそんなことをしていたら、
外国のアヘンのように、歴史に残るような事実がおきているはずです。
それなのに、戦後GHQによって麻の栽培がたいへんうるさくなり
厳しく規制され、今日本では、わずかな麻しかつくられていません。
育てるのに手のかからない、それでいて繊維も実も葉も、なにからなにまで
利用価値のある麻を、それが育つ、つまり自給できる日本で栽培を広げないのは
おかしい、と、規制をとく運動をなさっている人たちがたくさんいます。
私は、日本でもっと麻がいろいろ栽培されたら、
麻関係の着物がお安くなるのではないか、というヒジョーに不純な動機で、
麻栽培規制解除に賛成でーす。
だいたいですねぇ、麻を繊維として取るには細く長く「茎」を育てるのです。
麻薬として育てるには、はっぱや花を優先ですから、低く広げて栽培するのです。
よくつかまるでしょ「鉢植えで育ててた」って。
育て方がまったく違うのですから、そこいらで麻薬用の栽培なんか、
ないしょでできゃしませんよ。
ともかく、麻はそんなわけで、ややこしい「分類」とか「呼び名」によって、
大麻イコール麻薬、というイメージで、作られなくなりました。
もったいない話です。
いまや着物にとって「上質の麻」は、もぉゼロがいくつつくかという「高級品」、
私は宮古・能登・越後・近江と、それぞれの上布を全部着たいと、
夢だけは持っているのですが…ムリですなぁ、
夢だけならなんぼでもいえますからついでに「芭蕉布」も、「葛布」に、
あっそれと「シナ布」も…。その前に宝くじを買おう…。
5月の半ばにストーブつけてこれを書いています。
昨日はニュースで、ダウンコートやブーツの通勤姿を放送していました。
来月は桜の季節かぁ?
写真は「麻の繊維をとる前の現物」
とんぼんちには、こんなものまであります。
さすがに「こんなのどーすんの?」と言われました。
えーと…どんなものか見てみたかったもんで…。
これは、ここから繊維をとり出すという段階のものだと思います。
長いので、全部だすととぐろ巻きます。
6尺2寸といいますから、2メートル近くあるわけですね。
繊維をとるための麻は、春に種まきして夏に刈り入れます。
余分な根や葉を落とし、長さをそろえてまずは一度煮ます。
これは害虫や余分な菌などをのぞくため。
一度天日干しし、もう一度、煮直して更に天日干し、乾燥保管します。
次に水に浸し、引き上げたものをビニールをかけて醗酵させます。
この醗酵させる作業を「ねど」というのだそうですが、
語源はなんなんでしょうね。
ねどがうまくいくと、表面がぬるぬるになるそうなのですが、
納豆以外「ぬるぬる」ダメな私は…できないなぁきっと。
それからいよいよ麻の茎から繊維分を取り出す、つまり剥がすんですね。
これだけではまだ不純物がいろいろあるそうで、
余分なものを取り除いて、やっと麻糸のとれる繊維体になります。
麻剥ぎ、麻ひき、と呼ばれる作業ですが、「麻」を「お」と読んで、
「おはぎ・おひき」といいます。作業のすべて終わったものは「精麻(せいま)」
そして最後に、この精麻をごく細く裂いて、それを撚り合わせて
長くつないだものが「麻糸」、この糸にする作業が「麻積み(おうみ)」です。
麻って、ものすごく手間がかかるんですね。
さて、麻は日本人にとっては最古からある布、でした。
ややこしいので先にお話しておきますと、今私たちが現在「これ麻だね」
と呼んで衣服やインテリアに使っているのは「カラムシ系とリネン系」です。
カラムシは、高級上布素材の「苧麻(ちょま)」、リネンは「亜麻」です。
でも、もともと日本人が「麻」として使っていたのは実は「大麻」です。
そういえば、昨日のニュースで、ひなげしだと思っていたら「ケシ」が咲いて、
何万本だか引き抜いたそうですね。つまり「大麻系」ってことです。
近代になって「植物学の分類上…」という科学的根拠に基づく分け方が、
細かくされるようになりましたが、太古の日本人が、そんなことを知る由もなく、
とにかく麻とそれに類する繊維の取れるもの、これまとめてみな「麻」と呼び、
これを日本人はたくみに育て、暮らしに役立ててきたわけです。
古来より、麻は神聖なものとされ、
神様に供える、神事の道具に麻を使うなどしてきました。
今でも横綱土俵入りのときに使われる化粧回しの
あの「注連縄」のような綱の中身は「麻」です。
また、昔お産のとき、神の守りをえるために麻の葉をくわえて出産したとか。
また生まれた子供の産着には、健康と長寿を願って、
今も多くのひとが「麻の葉模様」を着せますね。
ことほどさように、日本人にとって麻はなくてはならないものでした。
また、麻というのは肥料いらず、しかも、麻を植えて育てたあとの土というのは、
ほかの植物もよく育つのだそうです。麻からは油もとれますし、
麻の実は便秘の薬になります。食用にもなりました。
日本で木綿を庶民が普通に着られるようになったのは江戸も後期です。
それまで庶民は麻を着ていました。通気性がいいばっかりに、
冬の衣装としては寒いため、その下に紙子(紙の着物)を着たり、
真綿を挟んだりして保温して着たわけです。
また反対に、武士の着物なども麻は正装として使われました。
これはつまり「麻の種類のよしあし」で、ランクづけされたわけです。
元に戻りますが、古来日本人が使ってきたのは「大麻」ですが、
麻と呼ばれるものには何種類かあった、ということで現代の植物学でいうなら
「科目」が違います。苧麻はイラクサ科、亜麻はアマ科、大麻はアサ科です。
現在「麻薬」として名をはせている「麻」も大麻とよばれますが、
あれはインドの別種の麻で、日本の大麻とは種類が違い、
あちらは強烈な麻薬の成分を有します。
ただし、日本の大麻にも、葉や花には陶酔する成分が弱いけれどありますので、
お産のときに、大麻の葉をくわえさせたというのも、
痛みを軽減させる効果があったからでしょう。
いずれにしても日本人は、大麻を嗜好、つまり麻薬として使用するための栽培は、
していなかったわけです。もしそんなことをしていたら、
外国のアヘンのように、歴史に残るような事実がおきているはずです。
それなのに、戦後GHQによって麻の栽培がたいへんうるさくなり
厳しく規制され、今日本では、わずかな麻しかつくられていません。
育てるのに手のかからない、それでいて繊維も実も葉も、なにからなにまで
利用価値のある麻を、それが育つ、つまり自給できる日本で栽培を広げないのは
おかしい、と、規制をとく運動をなさっている人たちがたくさんいます。
私は、日本でもっと麻がいろいろ栽培されたら、
麻関係の着物がお安くなるのではないか、というヒジョーに不純な動機で、
麻栽培規制解除に賛成でーす。
だいたいですねぇ、麻を繊維として取るには細く長く「茎」を育てるのです。
麻薬として育てるには、はっぱや花を優先ですから、低く広げて栽培するのです。
よくつかまるでしょ「鉢植えで育ててた」って。
育て方がまったく違うのですから、そこいらで麻薬用の栽培なんか、
ないしょでできゃしませんよ。
ともかく、麻はそんなわけで、ややこしい「分類」とか「呼び名」によって、
大麻イコール麻薬、というイメージで、作られなくなりました。
もったいない話です。
いまや着物にとって「上質の麻」は、もぉゼロがいくつつくかという「高級品」、
私は宮古・能登・越後・近江と、それぞれの上布を全部着たいと、
夢だけは持っているのですが…ムリですなぁ、
夢だけならなんぼでもいえますからついでに「芭蕉布」も、「葛布」に、
あっそれと「シナ布」も…。その前に宝くじを買おう…。
こういった麻などから繊維が取れる方法を
考えたのですから感心します。
でも、繊維にするまでの作業は気が遠くなるほど手間が掛かるんですね~。
お高いはずだわ、と思います。
何にでも興味を示す性質で、真綿と羊毛の糸紡ぎはしたことがあるのですが、麻はどんな風に紡ぐのか想像も出来ません。
こんな一見固そうな繊維が、精錬されて紡がれて、細い細い糸になるというのはたいへんな事ですよね。
そしてそのような技術を考え出して布を作った昔の人の努力や工夫には、心底すごいなあと思います。
なんでもそうですが、最初にこれを
みつけた人ってすごいですね。
長い時間をかけて、改善され
完成したんでしょうけれど、
ほんとにすごい技術だと思います。
今は後継者に苦労しているそうです。
茶ノ葉様
私は画像で見ただけですが、
まず1ミリくらいに裂くんです。
1.5メートルくらいのそれを
より合わせながら、
長い糸にしていくんですが、
あの新潟地震のとき、これをするおばあさんが
被災しましてね、それでも倒れかけた家から、
その道具を持ってきてもらって、
やっていたんですよ。頭がさがると同時に、
この技術は、なくしてはいけないと
思いました。