ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

甚平って…

2009-06-30 22:23:27 | 着物・古布
写真は、今日買ってきた本です。
スキャンしようとしたら、ウチのキカイにはデカかった…。
詳細はこちら。


親子で楽しむ夏の布くらふと 2009年 07月号 [雑誌]

パッチワーク通信社

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ええと、本のお話しはまたあとで、でして、甚平のお話しを先に…。
甚平って「じんべさん」でしょ、そーです。
元はナンダッタか、武士の陣羽織に似た袖なし羽織のこと…といわれております。
つまり、元は袖もなく、前も羽織みたいなカッコだったんですね。
その後、前を着物のように重ねる形の上着になり、
更に袖がつくようになってからはまだ100年ほど…。

というのが大体のお話なんですが、いまや夏のハウスウエアとして、
特に子供モノが人気ですね。最近は男物でも子供用でも、
共布のパンツがついていますが、実は本来のじんべさんは「上着だけ」。
そりゃそういう流れです、元は「羽織」なんですから。
ヒザくらいまで長いもので、下は何もはかない…とはいってもあんまりですので
私の子供のころは、近所のおじさんは、ステテコにこれでした。
丈の長いじんべさんってかっこいいですよ。
オットに作ったのは長めでしたが、ついに日の目を見ることなく、
分解して息子のじんべとパンツになりました。
また、丁寧なつくりのものは袖付が縫い合わせてなくて、
太い木綿糸で千鳥かがりがしてあります。風通しもいいでしょうし、
見た目にも涼しげですね。

さて、トップの写真の本なんですが、これに子供用のじんべさんの作り方が
載っています。手ぬぐい2本でできる…というかわいいものです。
いいですよねぇてぬぐい2本なんて…私ならバスタオル2枚…で足りるのか…。
なかなかのデキですよ、この本のものは。

なんでこんなお話しを書いたかと言いますと、実は昨日NHKで
カンタンソーイングの「てぬぐいじんべい」をやっていたのです。
こちらは1枚でできる…。確かに、1枚でできました。
まぁてぬぐい1枚ですから、元々が赤ちゃん用です。
逆転の発想で、手ぬぐいから余分なところを先に切り取って組み合わせると
ちゃんとじんべになるという、なかなかのアイデアものでした。

ただねぇ、私が気になったのは、できあがったその形です。
袖は胴体から続いてまして、一応袖になってますが、
本来の筒袖のような長さはありません。そして何より「衿」がない…。
バイヤステープでくるむんです。
そしてひもも共布ではなく、綿テープを使用しています。
いえね、カンタンソーイングで、赤ちゃんのものを手作りしよう、
それはとてもステキなことだし、ミシンを使わずちくちく手縫い、
ほんとにいいなぁとはおもうんですが…。
フレンチ袖のちょっと長めで衿がなくて、前がひも結び…。
これは「じんべい」ではなく、単なる「胴着」と呼ばれるものだと思います。

いやいや、私だって、重箱の隅をほじくりかえすようなことは、
言いたくはないんですよ。でもね「じんべさんができる」といわれたら、
それはじんべさんになってしまう。それがテレビのこわいところです。
単純に「手ぬぐいという和の素材を使った和柄の胴着だから」じんべい、
と言ってしまうのは、ちょっと違うんじゃないかと思うんです。
甚平には甚平の、それなりの現代の定義ってものがあります。

少なくとも「じんべい」という、ちゃんとしたものがあるわけですから、
「ちゃんと作るにはタイヘンだから、カンタンに、
しかも赤ちゃんものなら、手ぬぐいというみみのある便利なものを使って
『じんべさん風の胴着』が作れますよ」と言ってほしいと思うんです。
今の若いお母さん…とまたヒト括りにしてしまうと、
反撥をくらうかもしれませんが、浴衣をどう着るかさえ、
基本からわからない年代の人たちがこれを見たら、
衿があってもなくても、こういうカッコのものはじんべさんなんだ、と、
そんなふうに思っちゃいませんかね。
例えば、ゆかたに衿ついてなかったら病院の検査着でしょう。
じんべさんだっておんなじことだと思うんです。
こんなささいなところから、なんかだいじなことが、
ポロポロとこぼれていきそうな気がするんです。

甚平は、元は羽織で、着易いように前が打ち合わされた、
暑い時期に素肌に着るのはらくだなぁとなったけれど、
それなら袖があったほうがよかろう…と、そんな流れだったと思います。
これから先「じんべさんは、赤ちゃんには衿がないほうが、
こすれなくていいから」と、だんだんなくなっていくことは、ありえるでしょう。
そういう変化は、順当な変化で、そうやって今までだって
着物は変わってきたと思います。
でもそれは「知っているからこそ、そこをかえて今の暮らしにあったようにする」
のであって、その時のお好みや、カンタンだからという理由では、
元を壊していることに気づかないまま、変えていってしまう。
だから、ゆかたにおかしな衿がついたり、
タビはいて歩いたりしちゃうわけでしょう。
こんな心配をしている私はアホでしょうか。
でもじんべさんには「衿」はあるべきだとおもいます。

写真の本は、和裁技能士の方の記事です。ちゃんと甚平になっています。
和裁士の方ですから「じんべい」のポイントはちゃんとおさえています。
テレビの赤ちゃんのはやっぱり「じんべ風胴着」だよなぁ、と思った私でした。

なんでこの本を買ったか…
私はたまにこういう「我が家では用のなさそうな本」も買います。
子供のものや、手芸の本は、けっこう新しい便利道具が載っているんです。
今回「めーっけ」したのは「らみ~ちゃん」、
つまり、普通の布にこれをアイロンで接着するとラミネート布になる…。
ラミネート地はつまり、ビニールがかかったような布、です。
よくテーブルクロスなどに使われています。
縫い方にコツがいりますが、トートバッグなどにすると、
雨の日には濡れることを気にせず使えますし、
濡れたものも入れられたりするので、プールバッグなどけっこう便利です。
ただ、どうしても目的がインテリアっぽかったりするので、
好きな柄のものが、なかなかねぇ…。
子供が小さかったころは、かにさん柄とか、ギンガムチェックなどで、
濡れたタオルを入れても大丈夫なミニバッグなど作っていました。
最近になって、自分の好きな布でああいうのがあったらなぁと、
そう思っていたので、こりゃいいわ…です。
価格調べました、43×60cmで980円、もっと安いところもめーっけ。
そりゃまぁ割高ですが、これで古布をラミして、バッグなんかいいなぁ。

但し、ラミすると色目が変わります。これは昔、着物の残り布で草履を作る、
というのがあって、母の小紋をやってもらったのですが、
薄い水色が、なんかテカテカの濃い水色になりました。
ちなみにらみ~ちゃんには「つや消しタイプ」もあります。
あと、こういう素材は裏から縫うのは普通の厚地布くらいで縫えるのですが、
表側は滑りませんので、テフロンの押さえとかが必要です。
ない場合は「ベビーパウダー」を撒き散らしながら縫うか、
ティッシュペーパーをかぶせて縫うか…です。



さて、今日のおまけ画像、実家ののうぜんかずらです。
雨が降ると、ほんとにボトボト落ちるのです。
でもまだまだつぼみがありますね。


   


こちらが今の「あけび」ちゃんの状態、
ちょっと雨が多くて小さ目かなぁ、と言ったら父が「ふつー」だと言ってました。
そうなんだ…。秋が楽しみです。
毎年の決まり文句「ご予約承ります」です。ははは。


       


実家の母はなんとか元気です。
最近のエピソードは、夜中に起きたときは「ボケる」で、
実際、認知症の最初の診断のときに、
医師から「ヘンになるのは夜」といわれました。朝になると戻ってる…。
このところたまに、真夜中に母が起き出すので、しかたなく父が付き合うと、
お茶をいれ、一服しながら古い話をとりとめなく、
エンエンと繰り返すのだそうです。
父もよく付き合うと思いますが、二時間くらいして
「そろそろ夜があけるから寝ようか」というと、それじゃ…と寝る。
そして朝になって起きると母は、
「ゆうべ誰か来ていた、あのおじさんはどこへ行った」というのだそうで。
「あれは俺だ」といっても納得せず「いや、アンタじゃない」と言い張る。
あげくに「夜中にきてペラペラ喋ってちっとも帰らないから疲れた」…オイオイ。

今日もその話が出たのですが、母は自分がわからなくなっていることも、
もう辛そうではなく「なんかもぉしゃーないわな」と笑ってました。
それでも「夜の訪問者」については「ジ~ちゃんがウソついたはるねん」と
譲りません。父が「俺なんだけどなぁ」と言っても、
「ちゃうで、あれはよそのおじさんや」わぁお~。
だから言ってきました「ばーちゃん、夜中でもなんでも、
カオ見に来てくれるヒトが増えてよかったやんか」と。
母は「あぁそやなぁ」と言って笑ってました。
「今度そのおじさんがきたら、きてくれてありがとさんってゆぅたりや」と
言ってきたのですが、さてどうでしょうか。







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12 コメント

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Unknown (陽花)
2009-06-30 23:41:23
私はテレビを見ていませんでしたが、
おっしゃるようにバイヤステープで
くるむのなら胴着ですよね。
知っている人はきっとNHKにクレームを
つけていることでしょうね。

返信する
夏ですね☆ (明仙)
2009-07-01 01:16:25
とんぼさんの更新を見て、早速着物箪笥の中身を取り替えました(笑。夏は、お気に入りの絽と、祖母にもらった紬があるので楽しみです☆

私と二人暮らしの祖母も最近認知症が進んできて、やはり夜中に様子がおかしくなります。できるだけ、身内に認知症の方がいる方々と情報交換をするように心がけているのですですが、どういうときはこう対応すればいいとか、こういう便利な商品が売ってるとか、これからもいろいろUPしてくださいね。
やっぱり、認知症の方には、ポジティブに、温かく見守るのが一番なんですねぇ…。
返信する
きくちいまさん流じんべいさん (sachi)
2009-07-01 07:49:28
きくちいまさんが、赤ちゃんのじんべいさんのつくり方を紹介されています。
http://www.imappage.net/jinbei/index.html

手拭い2枚でできるということで、私は身近に赤ちゃんはいないのですが、手拭いが好きなので、いつかつくってみようかなと思っています。
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Unknown (ゆん)
2009-07-01 08:35:29
おはようございます

 …胴着ですよね・それは…

 市販されている赤ちゃんの服って、カジュアルものは襟もとバイアスで、本当に肌着と形が同じですね。
 たかが襟一本のことでも、「表へ出るときは」という周りの大人の気の持ちようを、子供は肌から覚えていくんじゃないかと今回の記事を読んで振り返りました。

 今、末っ子は、毎晩じんべさんを着ては、「ちょ~ちょ結び」のお稽古してます。せっかくの湯あがりなのに、額に汗してます(笑
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-07-01 21:15:29
陽花様
「知らない人もいる」ということも、
また「胴着だ」ということも、
どっちも思いつかないヒトばかり
そういう年代なのでしょうね。
なんか寂しい気がします。
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Unknown (とんぼ)
2009-07-01 21:45:41
明仙様
認知症は、時間も長い介護になりますし、
本当にたいへんです。
ご自分がお体壊さないように、
きをつけてくださいね。
私は、息子が障害がありますし、
いろいろ福祉についての情報はありますので
何かあったらご質問ください。
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Unknown (とんぼ)
2009-07-01 21:47:16
sachi様
いまさんは「月刊アレコレ」で、いつも
お目にかかって?ます。
かわいいですね、あれは原型ってことですね。
あれに必要なのは「腹掛け」、
これも今はもうみなくなりましたね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-07-01 21:49:26
ゆん様
季節感がなくなってきたように、
メリハリとかハレとケとか、
そういう境目がうやむやになって行くのは、
寂しいですね。
ちょーちょ結び、がんばれMちゃん!
返信する
Unknown (Unknown)
2009-07-02 00:11:46
 あの本の和裁士さんは、
 私のお教室の先生です!

 技法紹介を含め充実したページですよね!
 
 >「あけび」ちゃん
 昔、近所のおうちのを盗み食いした
小学生時代がよみがえりました。
返信する
Unknown (明仙)
2009-07-02 00:41:43
ありがとうございます。
とんぼさんこそお身体、無理なさいませんように☆
返信する

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