ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

たまには・・・

2006-07-24 21:35:41 | 着物・古布

いつも男物の羽裏ばかりですので、たまには「女物」を・・。
こちらは「陶器柄」、お皿のもようですね。これで幅いっぱい、大柄です。
女物の羽裏は「額裏」はほとんどなく、小紋柄がほとんど。
こちらは「色紙」、ピンク部分がわずかに色あせています。





こちらは地紙





女物の羽裏は、総じてかなり「派手」です。
一番下のものも、地色は薄い緑ですので地味なほうですが、
柄は華やか。大体こんな感じで、羽織を脱ぐと、
男物のとは違った意味で、ハッとするような色合いです。

何度も書いていますが、最近の羽裏はとにかく「おとなしめ」が主流。
色も白や薄いピンク、或いはそのぼかしとか・・。
せいぜい白地に花柄が散っているとか・・・。
中年以上になると薄いグリーンや水色など。しかも染め柄はほとんどなく
ほとんどがよくある地紋・・なんとも面白みがありません。
いつからこんな風になってしまったのでしょうか。
同時に色目が薄くなったのが「じゅばん」、染めもあまりハデなものはなく
薄いピンクやベージュ、クリームなど。

これは、まず「繰り回し」ということをしなくなったこと、
それと洋装の影響ではないかと思っています。
繰り回し、つまりリフォーム・リサイクルをすると、
いやでも「着物がじゅばん」になることが多く、色物柄物になります。
そういう状態ですから、元々襦袢として作られるときも、
袂からこぼれる色は濃くてもハデでもかまわなかったわけです。
どうせほとんど見えないわけですから、奇抜な柄も使われました。
それが、そういう繰り回しをしなくなったことで、
襦袢は襦袢として別物になり、洋装で言うところの「下着」のイメージで
淡い色が多くなったのではないでしょうか。そんな気がします。
また、羽裏についても、洋装の裏地と同じように「目立たないもの」とか
「おとなしいもの」になっていたようです。

襦袢、羽裏というだけでなく、大正から昭和にかけては、
江戸時代とはうってかわって外側もハデになっていきました。
大きな柄や、今「大正ロマン」などと呼ばれているモダンな柄、
また銘仙に至っては、ほんとにこれ着たのだろうかと思うようなポップな色柄。
それが時代の流れで、特に戦争の影響もあり、
「色柄」どころか「華美なものは一切だめ」・・というようなことになり、
一度、華やかな装いそのものが、世間から姿を消しました。
ようやく世の中が収まったときからは、洋装文化台頭、
その影響もあってモダン、スマート、シャープ・・といったことが嗜好され、
今のようになっていったものと思います。
着物本来の「柄に柄」「色に色」といった、およそ洋装では難しい組み合わせが
どこかへ消えてしまいました。ジミな羽織の裏に、眼の覚めるような羽裏、
娘らしい華やかな羽織に、更にこれでもかというほどの華美な羽裏・・
そういうもののよさが「よさ」でなくなり、こなせる着方が忘れられました。

呉服屋さんに並ぶ「羽裏」の、ぼ~っとした色柄をみるたび、
せめて何枚かでもいいから、もっとこぅはでぇとか、いきぃとかないのかっ!
あっ失礼・・そう思ってしまう私です。


昨夜から今日午前中にかけて、ブログのメンテがあり、
時間がある間に、書き込みができませんでしたので、
本日も短め・・ですみません。









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3 コメント

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Unknown (陽花)
2006-07-24 23:37:58
ほんとうにビックリして目が覚める

ような色、柄の羽裏、こういうのって

今は売っていないから貴重ですね。

見えないところに派手な色、柄を

使って楽しむなんて昔のほうが

おしゃれ上手ですね。
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Unknown (Fujipi)
2006-07-25 10:51:43
一番下の羽裏、地の色が良い色ですね。羽裏を派手にしてしゃなりしゃなり歩きたいです。でも、羽織はまだ一枚も持っていません(泣)
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-07-25 19:26:13
陽花様

まだまだ使える羽裏もあるので、

使いたい方がいらしたら、お譲りする予定です。

ほんとに華やかで、オシャレですねぇ。

伝えたい「技」だと思うんですが・・。



Fujipi様

しっとりした色合いなのに、ちょいと華やか・・。

いいですよね。羽織きてくださーい。

ちょいと長めので・・。
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