ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

包みの文化

2006-08-28 21:45:42 | 着物・古布

写真は今年の主人への誕生日プレゼント、はじめてだー「ぐっちのねくたいー」
ネットでブランド品のバーゲンがあったので、まだ3ヶ月も先なんですが、
買って隠してあります。

日本では「結び」の文化とともに、「包み」の文化も、
独自のものを生み出し、それは今も連綿と受け継がれています。
元々「物を包む」ということは「暮らし」というものが始まれば、
誰が考えずとも、自然に発祥するものとは思います。
それぞれの国で、その地域で、暮らしの中で「包めるもの」にものを包む・・。
そして「包む」ということは、ただ保存する、運ぶという目的だけでなく、
何かに捧げる、供える、贈る・・ということにも使われ、
日本人は、そのどれにも「心遣い」と「美しさ」をこめてきました。

私たちが何かを贈るとき「のし紙」をかけたり、
お金を贈るとき「のし袋」を使ったりします。
あの紙や袋は、最初から「のし紙・のし袋」だったわけではありません。
そもそも「のし」というもの自体が最初は「お供え物・贈り物」でした。
「のし」は「のしあわび」のこと、あわびをかつら剥きにし、たたいて伸ばし、
天日に干したもの・・です。あわびは今でも高級食材ですが、
獲るのに手間がかかり、あさりや蜆などのように一度に大量に取れず、
また栄養価が高くて味がよく、乾燥させることで保存がきく・・ということから、
たいへん貴重なものとして、昔から「神への供物」「高貴な人への贈答品」として
価値あるものとされていました。。戦国時代には、戦の時の贈り物として使われ、
戦場での食品として使われたり致しました。時代がさがってきて、
戦がなくなると「のしあわび」は長寿健康といった祈りをこめたものとして
祝儀の品として使われるようになり、やがてそれを字や絵としてあらわし、
贈り物に添えて、誠意や感謝、お祝いなどの気持ちをこめる、
という形にかわってきたわけです。

のし袋のほうは、昔からあったわけではなく時代がずーーーっとさがってから。
「お金」を送る(贈る)こと自体は、昔からありましたが、
昔のお金は「お札」ではありませんから、袋ではなく「包み」でした。
また、まとまったお金(小判・延べ板など)を贈るのは、裕福な階層でしたが、
明治以降庶民にも「贈答」という習慣がひろがりはじめたため、
新たに考えだされたものが「のし袋」です。

さて、この「のし紙」「のし袋」ですが、じっくり見たことありますか?
スタンダードなタイプのものでいうと、まず「のし」にあたるものは、
右側上にあるタテに長い六角形に折られたもの。
あれは「折のし」といわれ、のし紙のし袋が使われるようになって
デザインされたものですが、印刷されたものだと、上のほうから
ちょろっと顔をだしている黄色いもの、貼り付けのしの場合は、
真ん中に通してある薄茶色とか黄色の細い紙・・あれが「のしあわび」です。
水引は、元々は白い和紙に包み、それを白いこよりで結んでいたのですが、
「贈答」ということが一般的になったときに「水引」でしばる・・
というのが通例化しました。水引は和紙のこよりを縒りが戻らないように、
水糊でかためたことから「水引」とよばれるようになったものです。
この水引は「3・5・7本」という奇数が基本、通常は5本で、
3本は省略型、7本は「より丁寧に」という意味で使われます。
ちょっとした「お礼」程度では3本、結婚式などには7本・・などと
使い分けるわけですね。最近は結婚式などでは豪華なものが多く、
10本というのがありますが、それは「9」は「苦」に通じるともいわれ、
忌み嫌われることもあるため、5本が2組・・として10本・・というわけ。
神道では奇数が陽の数字といわれ、よく「三・五・七」という数字が使われます。
願掛けをして、満願の日は「三・七・二十一日目」・・とか。
そういうところから、水引の本数もきめられたのでしょうね。
更に水引は左が薄い色、右が濃い色」と決められています。
もうひとつ、これは、もう20代の頃ですが、お祝い事で祝儀袋を
たくさんいただいたことがありました。母の身内は関西に集中しているため
ほとんどが「現金書留」で送ってきたのですが、そのとききがついたこと、
関東と関西では、のし袋のし紙にも違いがあります。
まず、関東は「たとう折り」、関西は「ふろしき折り」です。
こちらがその写真、左がよく見る「たとう折り」右が「ふろしき折り」です。





これは、ちょっとおもしろい話がありまして、昔「金子(きんす)」を包むとき、
紙を二枚使い「中包み」と「外包み」にし、更に包み方も中は「ふろしき包み」、
外は「たとう包み」と決められていたのだそうです。
その中包みが関西流、外包みが関東流として定着したものだそうです。
更に、これはあとになって調べてへぇーと思ったのですが、
別のときにもらった祝儀袋では、右上の「のし」が、
蝶結びの「輪」の部分から離れていました。関東ではのしに輪がかかっています。
これは、関西は「輪」が離れ、関東では「輪」がかかるのだそうです。
昔は金品を贈る場合、相手の地域の習慣や、その家のしきたりなどを重んじて、
そちら流にする・・ということもあったのでしょうね。
最近は情報も瞬時に流れ、あまり地方性などを重視することがなくなってきて、
全国共通・・なんていうことにもなっているのでしょうし、
また贈るほうなども、相手に合わせるというよりも「こっち流」で贈る・・
ということりほうが当たり前になってきていると思います。
私のところにも、母方の身内の不祝儀に対しての返礼で贈られてきたものには
「満中陰」の文字やら「粗供養」の文字が見えます。
こちらで言うところの四十九日の忌明けや、法事のお返しの「志」ですね。
いずれにしても、昔から「人にものを贈るときには心をこめて」が当たり前。
最近ではしきたりを残しつつ、ありきたりののし袋ではなく
水引細工の美しいものや、友禅和紙などがはいったものなど、
さまざまなものがでています。これもまた時代の流れなのでしょうが、
のしとか水引とか、そういうものの表す意味は、
わかっていてほしいものだと思います。

ところで、これは私ごとですが、私はちょっとしたプレゼントは
できるだけラッピングも自分でやるようにしています。
遠くへ贈るものについては、きれいさより「水濡れや破損」を思いますから、
そうそうラッピングに凝るわけにもいきませんが、
身近な人へのお誕生日とかクリスマスとか、ちょっとしたお礼とか・・
そういうものは、けっこうこっちゃったりするほうです。
写真は、古い友人への「ちょっとしたお礼」です。

彼女は2~3ヶ月かに一度くらい、実家への行き帰りに立ち寄ってくれるのですが
いつも手作りのクッキーやパン、ヨーグルトなど届けてくれるのです。
いつも突然で、忙しい人ですから玄関先での立ち話、
それで「今度きたら」と作っておいたもの、ブログでつかえるかな・・と
写真にとっておいたものです。





包装紙ではなく「タオル」です。中には「ちょっといい石鹸」が入っています。
後ろはこんな感じ・・。(リボンは写真のためにはずしました)





ほんとは赤いリボンが良かったのですが、手元にありませんで、
クリスマス用の金色のもの(誰かからのプレゼントのをとっておいたもの)。
ちょっとした工夫で、当たり前の紙袋をシャレた形にしたり、
リボンのかわりにわざと荷造り用の麻ひもを使ったり・・。
タオルやハンカチを包装紙代わりに使うと「それもプレゼント」になりますし、
ゴミがでませせんから、けっこうこのテは使っています。
来月は「敬老の日」もありますし、あまりお金を使わずに、
こまかいものをハンカチでまとめて・・なんてのも、楽しいと思います。

最初の写真のネクタイですが、あんまり早く買いすぎて、
いいかげん「包装」がヨレてきました。
「ぐっち」ってのを見せたいと思い、パッケージごと隠しといたんですが、
やっぱり包装しなおしを考えています。とーちゃんのマグカップが、
もち手のところちょっとヒビはいってきたので、大き目のマグカップに
ネクタイをクルクルと丸めていれて、透明のセロハン袋で青いリボン、
「ほらカップだよ」と渡して驚いてもらおうかと・・でもねぇ・・
結婚して何回かネクタイ贈ったんだけど、気に入られたためしがない・・。
もしこれも気に入らないっていったら「切ってパッチワークにつかっちゃうぞ!」

明日は、もう少し「のし」のお話と「究極の包みわざ??」、
ふろしきについて書かせていただこうと思っています。









コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 結び・包みの文化 | トップ | 包みの文化 その2 »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とんぼ)
2006-08-29 14:50:50
空朱様

ははは、おんなじでーす。

とーちゃんのもうひとつの趣味は「釣り」、

もんのすごい矛盾ですよね。

本人だけが感じていない矛盾・・。

グッピー見ながら刺身で一杯・・フシギだぁ。
返信する
餌をやるのも食べるのも (空朱)
2006-08-29 14:13:48
うちの亭主もおさかなが好き。

毎日せっせと世話をしてます。

そしてきれいな水槽を背に、

お刺身をつつくのも大好きです。

ちーとも矛盾しないみたい。



返信する
Unknown (とんぼ)
2006-08-29 12:16:00
Fujipi様

「マチガイ」をお知らせいただきまして、ありがとうございました。

「崎陽軒のシウマイ」いいですねぇ。ウチでは以前、もう考えあぐねまして、お互い好きなものを自分で選ぼう・・とやったら、いきなりなんたらいう「熱帯魚」の水槽セット、何万とか・・。たかがメダカになんじゃーっ・・「めだかじゃないよぉ、グッピーとねぇ・・・」「グッピーもヒッピーもあるかぁ!」と、やっぱり予算をしっかり決めました。シウマイ・・いいなぁ。



蜆子様

目わずらい・・とうかがっておりましたが、大丈夫ですか?針仕事もパソコンも、ほんとに目が疲れます。私もときどき余りに目がクシャクシャとして仕事にならないときがあります。お互い、大事にしましょうね。
返信する
心を包む (蜆子)
2006-08-29 09:38:48
今年私誕生日に息子からipodをもらいました。8月28日、息子の誕生日、気合をいれてペアのクッションを作りました。(こんなの彼女からもらうものじゃないの?いないからかあちゃんが作らなきゃならないじゃないのと突っ込みをいれながら)全面刺繍の手のこんだの、仕上がったら力つき、現物そのまんま、心粋を包むのを忘れてました。

只今、目がまたしてもおかしくなりました。こまかいことに目は使うのはやはり駄目でした。でも手の仕事って夢中になってしまうことがありますね。
返信する
うらやましいです (Fujipi)
2006-08-29 08:46:40
 私も主人が「これがいい」と言うので近年は毎年「崎陽軒のシュウマイ」です(爆)



 熨斗袋のお話、興味深く読ませていただきました。同じ日本の関東と関西でも意味の持たせ方など変化があって楽しいです。





 PS 熨斗袋の写真の下、8行目がどちらも「関西」になってます。片方は「関東」ではないでしょうか?
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-08-29 01:05:47
陽花様

いえいえ、そんなあまーいお話では

ございませんで、タイをつるためのナントカ

なんでございますよぉ。

それにしても「ヘタにモノくれるより、

お金がいーわ」なぁんて言うように

なっちゃいましたね。

ジサマはいまだに、クリスマスになると

バサマに「シクラメン」の鉢を

贈っています。もうゥン十年です。
返信する
Unknown (陽花)
2006-08-28 22:41:06
あら~ラブラブですね~。

いいですね、夫婦でプレゼントを贈るのは・・・

うちは、私が1月、主人が2月生まれなので

プレゼントする年もしない年も主人次第です。



返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事