桜だより、はまだ早いのですが…

「虎んく・るーむ」の方に、桜の開花予報のことを書いたのですが、
天気予報で、来週はグーンと暖かくなるとか。開花予想はあたるんですかねぇ。
暖かくなってくれるのはありがたいのですが、
それでなくともぼぉ～っとしているのに、よけいぼぉ～っとしたくなる…。
今やろうと思ったことを、振り向くと忘れている、
そんなあたしは春のうららかさの中で、振り向くことも忘れたり…。
まぁ、そこかしこがさまざまに彩られるのはそれでも嬉しいことです。

写真は振袖の柄部分、とてもいい柄なんですが、身頃一枚分しかありません。
全部あったらステキな振袖だと思います。
これ、全く使われていません、残りはどうしちゃったんでしょうねぇ。
地色は真っ赤でも朱でもなく、紅殻に近い暗みのある朱です。
こちらは前の一番華やかな部分、御所車ですね。


　　　　　


これしかないので、昔風の姿見のほこり除けとか、長めのタペとか、
そんなことを考えていたのですが、やっぱり手付けずで残っています。

こちらも振袖の前の一部、地色は写ってないのですが薄いクリーム色です。
そのため、全体を見ると葉のグリーンの濃淡がよけいに鮮やかに見えます。
こちらはたぶんですが、ほぼパーツは揃っているはず、にしても「ハデ」…。


　　　　　


自分が着る着ないは別として(着られまへんがな)、大ぶりのカトレア、
華やかな色とハッキリしたグリーン、なんともモダーンですねぇ。
これだけ見ていると、確かに華やかさでは圧巻です。
こちらは袖の部分、刺繍がないほうがスッキリして見えます。


　　　　　


最近の振袖はこういった傾向の柄が多いように思います。
しかし先の桜柄と見比べると、やはり着物には古典的なモチーフのほうが
なんといいますか、私としてはキモチ的に落ち着くんですよね。
現代の振袖は「現代風」と言うのも、もちろんアリかと思いますが、
成人式のときにも書きましたけれど、まずは古典を知ってから、
幅広い中でのチョイスをしてほしいと思うのです。

大手と言われた「無理矢理商法」の呉服店が、さんざ倒産しました。
安く大量に、は結局そこそこのものしか生みません。
買う側は買う側で、目の前に出されたものしか知りません。
互いの勉強不足が、結局は「着物」の首を絞め、
職人さんたちを廃業に追い込んでいます。
日本には、本当にいいものがたくさんあるのです。

先日、全く着物に関係のないお客様がいらしたのですが、
部屋の中の着物やお福ちゃんをご覧になって、自然と着物のお話しになりました。
その方のお嬢様が、あと少しで成人式なのだそうで、
すでに成人式の振袖のお知らせなどがきているそうです。
私は余計なお世話かと思いながらも、今の若い方は着物をご存知ないから、
ついつい洋装感覚でお選びになられるけど、きれいかわいいだけで選ぶと、
みんな横並びですよ、できれば古典柄もご覧になってからお選びください、
とそんなことを申しました。するとかのご婦人が、
「私のがあるんだけど、いくらなんでもねぇ」とおっしゃるのです。
私思わず、それでいってくださいっ！…

来年振袖を誂える予定の方、送られてくるダイレクトメールばかりでなく、
お母さんの古い振袖や、古着屋さんの古い振袖など見て、
古来よりの色柄を見てみてください。
選択するのはそれからにしても、遅くはないと思います。