ここは確か着物ブログだったはず?と思うほど、まあ着物話題がなくてすみませんでした。
ブログを書くのが体力勝負だとはねぇ、というようなここしばらくの私でした。
とはいうものの、まだ「本」を写してのお話です。
着物関係の古本の中でも、見ていて面白いのは戦前か戦後すぐのもの。
写真の本は昭和26年のものです。
これはあの宇野千代さんが創刊した「スタイル」というファッション雑誌の臨時増刊号です。
まあ広げると話題に事欠かない、楽しい本なのですが、今日は「当時の帯締め」。
この時期は、帯締めの太いものが見られる時期です。結び方もそれまでとは違う主張のある結び方。
なんか斜めって見えて、一緒に首が斜めにかしげます~。
ところで着物のほうの説明も…表紙を開けると…三点とも宇野千代さんデザイン。
説明によれば「この春パリに発つときに、特別にデザインしたもの…」
いやぁ、まだ私がおむつしていた時期に、すでに世界へ…すごいですね。
しかも、このトップを飾る写真は、永遠の美女「原節子さん」ですよ~。
昔の印刷なのではっきりしませんが…
年代から行くと、東京物語の少し前です。
私は原さんがお母さん役を演じた「ノンちゃん雲に乗る」の映画を見た記憶があります。
製作年数は1955年ですので、たぶん映画好きだった実父に連れられてだと思うのですが、
私の印象に残ったのは、お母さんの原さんではなく、お姫様みたいにきれいだった鰐淵晴子さんでした。
さて、この着物の説明には「日本の着物の伝統美がわかるように、フランス風な好みにも合うように…」、
とあります。今この着物があったら着たい、と思うような色柄だと思っています。
もうひとつはページ真ん中のこれ。それぞれ上の左の着物の八掛です。
これは「目につかない裏にも、こういう工夫をするのが着物の床しいところだ」というような説明。
「床しい」なんて、今ほとんど使われない表現ですね。
「青葉城恋唄」で「瀬音ゆかしき 杜の都」という歌詞がありました。
どんな意味?いや、これは難しいですね。
辞書には「気品や情緒に心惹かれる」とか「昔をしのばせる」とあります。
要するにでしゃばっていない静かな美しさのことを言うのだと思います。
お話戻して「太い帯締め」、ここまで来ると「なんでここまで太いかね」と思ってしまうのですが…。
これなんかは、本来「アクセント」といった位置づけの帯締めを、
たまにゃ主役とならべたっていいじゃん、みたいな?とりあえず着物と色合いがあってますからねぇ。
ちなみにこれは同じく写真がはきりしないのですが「長谷川裕見子さん」。
上の帯締めは真ん中の着物です。
二時間ドラマの帝王、船越栄一郎さんのお母さんですね。この写真をみて気が付いたのですが、
時代劇の女優さんでしたけど、けっこういかり肩だったんですね。
右の着物は、いかり肩を目立たせないデザインですね。
こちらは「淡島千景さん」、最初の帯締め写真、真ん中の着物ですが、好きですねぇこういう着物。
着物にも帯にも色が少ないと、こんな帯締めはほんとに「効き色」になりますね。
これだとこの太さは、これくらいでもいいかなあなんて思ってしまいます。
この本には、工夫着物のことも書かれています。
一つは上下を分けて着るタイプ、もうひとつは子供の着物と同じ、揚げを作る方法。
着丈の足りないものや、逆に大きすぎる普段着にも使える作りです。
そして、私が「やーっぱりはぎれで作ろう!」と、またも妄想の塊をひとつ増やしたのがこれ。
なんかもう、こういうのをひょいと引っかけて、ちょっとそこまで…好きですー。
着物話題と言っても、どうということもないおしゃべりになりましたが、
こういう本を開いて「時間旅行」をすると、ほんとにいろいろな発見があります。
昔の婦人雑誌の和装付録本は、どちらかというと一般受け、といいますか、
当然、購入者の年代層などを考慮してのものですから、しかたないのですが、
派手なものはやたら洋装をおいかけていたり、地味なものはあまりにも一般的すぎたり…。
それはそれで、購入層にはあっているのでしょうけれど、いまいち距離を置いてみてしまいます。
「スタイル」は、何物にもとらわれない彼女が作った本ですから、
ちょっと視点も違うし、出てくる話もけっこうグローバルだったりします。
探してもなかなか見つからない本ですので、お宝になりました。
もう一冊ありますので、またいずれ・・・。
結び方も色々ですね。
船越栄一郎さんのお父さんは知っていましたが、
お母さんは初めて知りました。
先日、昭和時代の時代劇を見ていたら、帯締めの結び目の向きが、今と逆向きでしたので不思議に思っていたのですが、こうして昔の本を見るとやはり現在とは逆向きですね。
とっても興味深いです。
こなに太いと、体まで太く見えないかと、きになりました。
昔ウールの帯締めって、こんなでしたわ。
長谷川さん、すでになくなられましたが、
晩年もおきれいでした。
はじめまして。コメントありがとうございます。
実は帯締めの正式な締め方は、今でも変わっていません。
ただ「気にしなくなってしまった」のでしょうね。
こういう古い着物本がたくさんあるのですが、
きちんと昔どおりもあれば、反対もあります。
同じページなのに、5人写っていて、3人反対…なんて。
本来は、この写真と反対、が正式です。
熨斗袋の「結び切り」の方を見るとよくわかりますが、
結び目は、あれが正式ですから。
こんな時代もあったのかとびっくり。
なんとなく着物は変わらないと思っていても実は流行があるんですねえ~
とんぼさんのところで昔の雑誌の面白さを教えて頂きました。
古本屋さんへいったときは気を付けて探してみるのですがナカナカ面白い本に遭遇しません。
歴史は繰り返す…といいます。
そのうち腰痛ベルトみたいな帯締めがでてくるかも?
和装本の古いのは、なかなかありません。たまに状態がいいと、
10000円越えるものもあって、びっくりです。
小説の「生きていく私」を読んでいたのでスタイルの存在は知っていましたが、実際に中身を見たのは初めてです。
宇野千代さんの着物といえば桜のイメージが強かったので、それ以外の着物は凄く新鮮です。
縞の着物もいいですね~。
コメントありがとうございます。
この本の古本はなかなかみつからなくて。
同時代の着物本より、モダンさといますか、
先駆者というカンジが、とてもします。
ちゃんと古いものを踏まえてのお話なので、
納得できる記事が多いですよ。
縞は私も好きです。いいですねぇ。