ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

古い羽織を解いてみたら

2009-11-09 17:30:06 | 着物・古布
普通は木綿の衿芯が使われるんですが、こんな絣木綿が入ってました。
羽織もけっこう古いもので、羽裏をはずした後、
「衿」を例の「帯の裏地にどうだろか」…と思って洗ってみました。
でもねぇ…まんず縮んだこと縮んだこと…。
まぁお召しでしたから縮むだろうとは思っていたんですが、
なんだって「あんた、半衿だったの?」っていうくらいに縮みました。
だもんで、久しぶりに「伸子トンネル」になるほど細かく打ちました。


    


さすが伸子、ちゃんと幅はある程度出たんですけどね…
干してからわかるダメージってあるんですよー。
羽織だったときに見落とした小さい穴とか…これは穴じゃなくて、
なんというか「織ムラ」みたいな感じで、よーく見ると、
なんとなく横にダンダラの太い縞…黒なんですが、濃いところと薄いところと…。
おめしではありますが、元々上質品ではなかったようです。
でも、帯の裏にしてしまったらきっとわからないと思います。
ちょっとヒケもあるので、普通の帯より細くなるか半幅か…ですね。

「絣」のほうですが、こういう風に「はぎれ」を利用して衿芯にするのは、
古い着物ではよく見ますが、たいがいははぎれのツギツギ…か、
無地木綿の足りない分だけ柄のはぎれ、というのが多いです。
これは丸々、一枚で使われていまして腰紐とか、
前掛けの紐くらいには、十分使えます。いいものみっけた?!
これだけありましたー。


  


柄のアップです。赤い色が入っていませんから、
野良仕事にも年季が入りつつある「中堅どころ」の女性のものかしらん。
途中でついでありませんから、着物だったものでしょうねぇ。


  


とりあえず洗いました。衿本体のお召しは、そりゃあもぉ汚れていまして、
つけた水が、昔見た「雨上がりの水たまり」みたいなまっ茶色になりましたが、
この衿芯の木綿のほうは、もう青い水は出ませんでした。
それだけ使い込まれて、洗いざらしってことですね。
薄くはなっていますが、状態は悪くありません。
というわけで、本日も「伸子と張り板」並んでお仕事してもらいました。


     


今はモノもお金も豊ですから何でもありますし、
着物自体の「繰り回し」のわざも、
和裁をする人や着物を好む人以外は、あまり知られていません。
衿を解いたら、通常は木綿の芯がでてくるところが、
こんな絣木綿が出てきたり、じみ~な着物の掛け衿はずしたら、
とても華やかな錦紗が出てきたり…これもまた楽しいものですが、
昔の人の「思い」や「わざ」を感じます。
昔の人は「キマリごとはキマリごと」として、
それができるときはそれでする。でもできないときは、工夫する。
その工夫は「えっ?」というようなものであっても、状態であっても、
「着物」として、或いは「羽織」として、「帯」として、
ちゃんと通用するものであれば、気にしない。
このおおらかなところと、しぶといところ、律儀なところ…いいなぁと思います。

とかく「マニュアル」時代で、マニュアルにないことはわからない、とか
書いてないからしちゃいけないとか…そういうことの多い時代ですが、
ハズす楽しみを味わうことも、たまにはいいんじゃないかと思います。
必要は発明の母、といいますが、ないときはこれでいこう…という
昔の人の知恵や思いつきは、このエコの時代にも、十分使えるワザですねぇ。

この絣、藍染無地とか会津木綿とかの前掛けの紐にしたら、
いけると思いませんか?
 

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2 コメント

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Unknown (とんぼ)
2009-11-09 18:05:56
陽花様
母もそうでしたが、洗ってアイロンした
古い布がいっぱい入っている箱がありました。
何かするときは、そこから使えるものを
さがして使ったんですよね。
「もったいない」は、いい心がけだと思います。

たすきがけの紐もかわいくていいですね。
はしっこに赤い糸房をつけましょか。
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Unknown (陽花)
2009-11-09 17:48:01
縫う事を十分に知っていないと出来ない技
ですね。創意工夫が出来るほど昔の人は
手仕事をされていたんですね。

絣木綿、本当に前掛けの紐やたすき掛けの
紐などに素敵ですね。
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