先日、古い足袋が出てきまして…いやもう汚れてて、普段履きにもっ…ってのが捨てられない…。
左のまだ新しいものと比べると…です。漂白も何回かしましたけどねぇ。
隠してますけど、裏も汚いし、かかともちと擦り切れてます。
で、思い切って…と考えながら足袋に手を突っ込んでいてふと思いました。
「そういえば、足袋の先に『干し糸』がなくなったのはいつごろだろ」…。
これを聞いて「あぁそういえばそうねぇ」と思ったかたは、私と同年…。
足袋の中の干し糸…まだついてるの、あるのかなぁ…。
昔の足袋は、裏返すと親指の先と、残り4本入れるところの先に、糸が縫い付けてありました。
実物がありませんので写真にお絵かきで…。
なんのためにこんなものがついているのかと言いますと、この糸で足袋をぶらさげて、
物干し竿に通して干したのです。こんなふうに…。
さて、私はずっと「母流」、つまり母がやっていたように、足袋を洗ってきました。
年をとるにしたがって自分流になり、それを続けてきました。
それがあってるとか間違ってるとか、あまり考えたことはなかったのですが、
今回「じゃちっと調べてみよう」と思って、検索の足袋、いや検索の旅をしてみたら…。
いやぁびっくりしたり感心したり…。
まず、多いのが「裏返して洗わないこと」と書いてある…理由のほとんどが「型崩れするから」。
「ゼッタイ裏返さないでください」なんて、書いてある方もいらっしゃいました。
ある方は「裏返した先に糸をつけて干している人もいますが」、やはりダメです…と。
いや、わざわざつけたんじゃなくて、昔のものは最初からついとるのよ…あぁそれも眼にしないから知らないんだなぁと。
う~~じゃ昔の人がやってたのはずっと大間違いなのかー。
足袋を作っているところからして「干し糸」をつけていたということが、マチガイなのかー。
では足袋やさん、或いは足袋を扱っているお店はどうかと、これまた見てみると…
「裏返して」と書いてあるところもあれば、「裏返すな」とは書いてないけれど、洗うときに裏返すとは書いていない、
つまり「洗い方だけの伝授」で、読めば裏返さないことがわかる…です。
さて、なんでこんなことになっているかということを、考えてみました。
先に、母の教えたこと…を書いてみます。
母は洗濯機が家庭に入ってきても、足袋は全部手洗いしていました。
まず、洗面器に洗濯板、そしてブラシ…このブラシの記憶があいまいなのですが、
後年、いわゆる「職人技」なんていわれている「ブラシ」を使っていましたが、
私が子供のころは使い古しの歯ブラシとか、爪ブラシなどを使っていたように思います。
そして「洗濯せっけん」。洗濯機用の「粉せっけん」が出ても、足袋やシャツの部分洗いはこれでした。
まずぬるま湯に足袋をひたし、汚れたところに石鹸を塗りつけて、ブラシでゴシゴシ。
あとは押し洗いのようにして全体を洗い、水を取り替えてすすぐ。
但し、外出用の白足袋は丁寧に、普段履きの別珍足袋などは、裏をブラシでこすって、
あとはただのもみ洗い…というような差はあったと記憶しています。
そして足袋を丸めて水を切る…。
これ、昔の「婦人雑誌」探してやっとみつけました。水分を絞ると同時にシワをとる方法なんですね。
ここには「裏返して干す」とあります。
昔の本にはだいたい「裏返す」って書いてあるんですよ。
母も足袋を裏返して平らに整え、パンパンとたたき(実際にはたたきまくり…)、
それから縫い目を伸ばしてました。木綿糸で縫われたものは、縫い目が縮みますから、
特につま先やかかとの部分は、縫い目をしごいて伸ばすわけです。
この「伸ばすこと」については、以前ご紹介したこの本にも写真入りで載っています。
ちなみにこの本では裏返していませんが「裏返すな」とは書いてありません。
きもののお手入れ&お直し 決定版 ― たたみ方から古よれ着物の再生術まで、 まるごと全部わかります。 |
|
クリエーター情報なし | |
世界文化社 |
よく綿100パーセントのシャツの衿なんか、縫い目伸ばして干しましたよね。あれです。
それから物干し竿のはしっこに、「干し糸」を使ってぶら下げる。
まだ終りません。別珍足袋などはそのまま乾かしてましたが、外出用の白足袋は生乾きのうちに取り込み、
もう一度表に返してアイロン…。そのあとは日のあたるところとか、コタツの季節には
紙(包装紙など)にのせてコタツのなかで、残りの湿気を飛ばしていました。
そうそう、裏返す理由の一つとして母は「変色」をいっていた気がします。
男物は黒足袋でしたから「色がさめてしまうんや」と。
めんどくさ~~~と思います。確かにねぇ。私もここまではやってませーん。
でも、元々昔って今より道具もなかったから、足袋の洗濯に限らず、何でも手数はかかったし、
それが当たり前だったんですよね。
さて、今の足袋洗いはどうでしょうか。
私は、おうち足袋、つまり履き古して自宅用にしたものは、洗濯機でガラガラです。
毎日着物ではありませんから、たまに外出したときにはたいがい新品か、せいぜい2~3回使用のもの。
これはさすがに手洗いします。えーもっとも手抜きする時は、入浴の時履いて洗っちゃう…。
足袋が足の形になりますから、ブラシ洗いがラクなんです。裏はもちろん脱いで洗いますけどね。
これ、型崩れがしなくていいと書いてあるところがありました。
あんまり型崩れって考えたことないんです。大雑把な人間ですからして…。
入浴中にやらないときは、母のやっていたようにブラシ洗い、すすぎ。
あとはクルクル巻いて水気を切って、タオルに挟んでパンパンパンと…。
で、私…今はおでかけ着物が、めったにないので普段足袋ばかりですので手抜きですが、
息子の卒業式の時などにおろした新品は、ちゃんと洗って裏返しました。
考えてみれば…あのころと今では、わずかの間に洗濯機の性能も、洗剤の種類も、
そして素材としての綿の布や糸も、改良されたり、いろいろなものが出てきています。
以前洗濯機が壊れたときに、実家にとってあった古~い洗濯機(脱水機はついてました)を
一時借りましたが、なんたって「木綿・ウール・絹」という種別は書いてあっても、
それは時間が短いというだけで、回転の強さは全部同じでした。
今は回転や水流が違うとか、洗剤そのものも質もよくなり、更にオシャレ着用とか、部分汚れ用とか、
ほんとにいろいろ出ていますからねぇ。
ついでに干すほうも、竿に通さなくても「角ハンガー、小物ハンガー」」なんてものも出てきました。
つま先の糸を竿に通す…なんてこともないわけで…。
そういうことの変化につれて、洗い方も干し方もかわってきて当然…なんでしょうね。
ただ、そういうことを踏まえても「型崩れするから裏返さない」と言うのは、私はそこまで悩まないなぁ、です。
母の言ったこと、やっていたことが、やっぱり染み付いているのでしょうね。
母は「木綿は水にぬれると、かとう(硬く)なんねん。ちょっと湿ってるうちに、こないして裏返したら、
(生地が)もまれて、やらこう(柔らかく)なんねん。どうせ火のし(アイロン)でシワのばしするしな」と。
これ、私は息子のタオルで実感しています。息子は食事や顔、体の清拭など、
毎日のようにハンドタオル(30cm角くらいの)を1日で10枚以上使います。
しばらく使ったものは、洗うと乾いたときゴワゴワします。柔軟剤は使いません。
吸湿するタイプ…とあってもダメ。コップで飲み物を飲ませるとき、コップの下にタオルをあてがいますが、
柔軟剤を使ったものは、水分がこぼれたとき、一瞬はじくんです。これで下へ流れてしまう。
だから柔軟剤ナシで、かわりにたたんで引き出しにしまうとき、1枚ずつ「二方向の対角線に引っ張る」、
「半分に折ってはしからクルクル巻く」「最後に雑巾絞りの要領でぎゅっとねじる」をやります。
これでゴワつきがとれます。更に使うときにもう一度、ハンカチを洗うときのようにごしごしともみます。
これだと、水が一滴垂れただけでもすっと吸い取ってくれます。
つまり「もみもみ」することで、布がこなれるんですよね。
足袋を裏返す動作は、一度足袋をローラーにかけるようにもむことになりますから、硬さがとれるわけです。
母もおそらくは祖母のやっていたことを、そのまま踏襲していたのだと思います。
それを今、私がやっているわけですね。
「型崩れがする」というのは、変な形になる…ということなのでしょうか。
呉服屋さんが「いい足袋(いわゆるメーカー品ということ)は、しっかりしているから、
多少どっか伸びたまま乾いたりしても、履けばちゃんと足になじんで元にもどるものよ」と言っていました。
私、やっすーい足袋で失敗したことがあるのですが、よくよく見れば縫製からしていい加減で、
履く前から崩れていました。
だいたい私なんか…足の形が悪いから、洗う前に履いただけで型崩れしとるしぃ…?!
というわけで、当たり前にやってきたことを「裏返さない」と、いわれて、あららと思っています。
まぁお好みですから、自分が納得できる方法で洗えばいいと思います。
ただ、なんにしても最近は便利すぎて、あぁやってこうやって…というと「手間がかかる」と敬遠される。
足袋の洗濯だけを言うのでなく、かつて母のように、自分で解いて、自分で洗い張り伸子張りをして、
自分で縫って…という暮らしをしていたら、暮らしの中の作業何でも手間がかかって、それが当たり前だったわけです。
スイッチポンでなんでも動く今の時代、普段用だからと、ネットに入れて洗濯機にポン…の自分は、
「水流、オシャレ着用にしてあるし、脱水はかけないからね」なんて、言い訳のように思いながら…。
後ろめたいんですよねぇ、そういう意味での働き者の女性を知っている年代としては…。
さて、あなたは足袋をどうやって洗っていますか?
こちら、過去の足袋関係記事です。よろしかったら合わせてご覧下さい。
足袋についての記事
シワなく履いてね の記事はこちら
足の形と足袋については こちら
いい足袋履こうね の記事は こちら
ブラシでゴシゴシ手洗いしますが、
そのあとは洗濯機に入れもう一度
洗います。
干す時に縫い目を伸ばし、パンパンと
形を整えて裏返さずに干しています。
私も昔の足袋に糸が渡っていたの
覚えています。
裏返すのも一苦労でした。
自分の洗い方で、不都合がなければ、
それでいいとおもうんです。
きものビギナーが、ブログをあちこち見て、
「~ではいけない」とか「ゼッタイしない」とか
そんなふうに書かれていると、
思い込んでしまうかなーとか。
そんなことを思いました。
ダイジなことは、ブラシ洗いしないと取れない汚れがある、とか、
つま先を洗濯ばさみで止めると、まんま跡がつくとか。
そういうことだと思うんですよね。
おおむね、似たようなものですよね。
「いけない」「しない」と書かれると、
ちょっと首を傾げます。
糸、ありましたよね。
裏返し作業は、手が小さかった私にもまわってきましたが、
けっこう力がいるんですよね。
冬なんか手が冷たくて…そんなことまで思い出しました。
糸の付いた足袋。
そして ブルーの石鹸
年に片手で数えられる程度の着物着用頻度。
最近では ストレッチ素材の入った足袋を履いているので
そのまま 洗濯機にポン
裏が汚れていたら 洗剤をなすりつけて もみ込んで
やっぱり 洗濯機にポン
苦手なアイロンも不要
でも 正装の時だけは昔ながらの足袋です。
手持ちの綿の足袋3組に手を突っ込んで確認しましたが
糸の形跡はありませんでした。
お誂えだと 糸が付いているのかしら?
値段につられて購入した物は結局ダメでした。
これなら普通に1足買った方がよかったなあと反省。
毎日足袋をはいていた時期があったのですが、ある方の足袋の裏はいつもキレイーーどうやって洗うんだろうと思っていたらやはり洗濯板でごしごしと言うことでしたね。
私はもっぱらストレッチタイプでしたーこれだと楽ですが白さがどうもねと思います。
着物を着ない人の家にも、一足や二足はあるものです。
そういうところには「ひもつき」あるかもですね。
ストレッチ系は歩き方ひどい私、ダメです。
すぐズッコケて草履から足が落ちる…。
今は物干しに通すという干し方がなくなってますから、
お誂えの時は「つけて」って言ったら、つけてくれるかもですね。
誂えてみたいよぅ…。
ほんとに「安物」で凝りました。
足袋で失敗した旅の話…安物の裏ツルツル足袋で、
歩くと草履がすっ飛ぶ…。
やっぱせめて福助にしなきゃです。
ストレッチの白は「青い白」ですよね。あれは独特です。
ブロードの物ばかりなので普通に洗濯機でネットに入れて洗っていますが、足袋ってこんなに人目を集め、扱いも手のかかる物なんだなとしみじみ思いました。
この事ひとつとっても着物離れが何故なのかは納得できる気がします。
私、こないだストレッチ足袋を購入して、それを用いる事にしたんですけど、あれって夏場はどーなん?????
母は冬でも足がぼんやり見えるのが(ふっくらってことです)いやだと、
晒し裏のを履いてました。
夏は麻のたびも持っていますが、シワがきになって…。
シワなくピチッと…が着物のシメ、とは母の言葉です。
ストレッチはやはり蒸れると思うのですが、最近の「伸びる足袋」ですか?
私は完全ストレッチははきません。
ひとつには滑ること、
もうひとつは静電気で着物の裾が汚れること、です。
最近巻爪で、親指の爪を伸ばしているの、普通のたびが痛むのです。
それででしかたなく、「のびる綿足袋」を買いました。
足にピッタリはしますが、履きなれないと、なんかピッタリ感が違うなぁと思っています。