ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

白紬で漂白実験

2014-06-06 20:15:23 | 着物・古布

 

まず、汚れの写真。

 

        

  

まずは衿の汚れですが、とりあえずベンジン。

ベンジンは古いものはとれません。とりあえずどのくらいの反応があるか…です。 

これはさすがに「まったく変化ナシ」…そりゃ無理だよね。周囲の薄汚れも変化ありませんでした。

        

次に、ちょっとだけ洗剤つけて、ガッシガッシと水洗い。 

これも変化ナシ。多少周りの薄い汚れがそういえばスッキリしたかしら…程度です。

これは、いつも洗い張りをするときの方法ですが、やるなら…の注意を書きますと、

まず縮まないことはわかっていても、もうひとつ「色落ち・色移り」があります。

専門店では、落ちた色がまた元の生地に戻ってしまわないように、

長い洗濯台の上で、水をたっぷり流しながら手早く洗い、どんどんおくっていき、

またたっぷりの水の中に泳がせます。

つまりは、洗面器やたらいのため水に入れてごしょごしょでは、出た色が生地を染めてしまうわけです。

私は色落ちするものは、お風呂場で水を流しながら…ですが、それでもわずかなたまり水で、

生地が重なった部分で、色移りがあります。なので、色落ちしそうなものは、やめておいた方が無難です。

 

次は「液体の方のワイドハイター」、つまり過酸化水素の方ですね。

これも、ほとんど変化はありませんでした。今回は書いてある通り「ひどい汚れは直づけ」…で。

ねっとりした液を直につけて、爪ブラシでゴシゴシとやりましたが、あんまり変わりませんでした。

 

そして最後に「やっちゃいけない粉末のワイドハイター」、試してみました。

規定より少し濃いめの液を作り、20分つけましたが…これもほとんど変わりなし。

まぁなんとなーく薄くなったといえば、薄くなったかな…程度です。

 

おまけとして、絶対色使っちゃいけないはずの塩素系「ハイター」で…。

これは、柄の色が抜けるだろうと思ったのですが、20分つけても、絣柄は落ちませんでした。

そして、実はこれが一番「ちょっと落ちたな」と感じました。

でもこの程度です。

 

    

 

元々この汚れは、素人がどうやってもきれいに落ちる汚れではありません。

時間が経っていますので、プロに任せるレベルであり、そのプロでもてこずる程度のもの。

少しでも変わるかどうかと、もうひとつは「汚れていない地」の部分の変化です。

地の部分がどの程度キレイになるか分かれば、こんなシミがない着物なら、これで洗えば…の

目安にもなるかと思います。なので、シミ部分だけでなく、地の部分も見たのですが、

何も汚れていないところは、確かにさっぱりしました。でも元々のようにはなりませんでした。

元々というのは、縫い目の中にはいっていた「まったく汚れていない元々の地」のことです。

 

さて、わかったのは「ここまで古い汚れは家庭では落ちない」ということ。

そりゃもうやる前から承知ですが、逆に言えば、汚れはこまめに洗うなら落ちる…ということです。

そして「地」の部分ですが、これはさすがにダメージのないところは、元よりはきれいになりました。

つまり…全体にダメージなければ、液体ワイドハイターで、少しはさっぱりする…と言えます。

ワイドハイターは、今回「部分洗い」の方法でやりましたが、

元々薄めたものを毎回の洗濯に使うと、黄ばみ黒ずみが防げる…というものです。

なんとなくすっきりしないかな、というものについて、洗濯液に入れて使うことで、

さっぱりするのでは、と思います。

帯などをつけ置きするなら、全体にゆきわたるように、時々かき混ぜたりは必要かと思います。

 

昔の人が、様々な小道具を用意して、脱いだら時間をおかずに手入れしていたということは、

結局「ほっとくと落ちなくなる」を知っていたからで、悉皆は確かにお金がかかるけれど、

汚れを見つけたら、できるだけ早くプロに任せることですね。

そして「もしダメになってもいいわ」なら、ダメ元で、ワイドハイターの粉末を使うか、

塩素系ハイターの薄い目の液につけるか…ですね。

何度も言うようですが、こういう作業のすべては「自己責任」です。

まず、使おうとするものの「薬剤の性質」を、しっかり読むこと。

商品説明って、そんなにこまごまとは書いてありません。

そして「使えません」と書いてあるのは、何かあったら困りますから「×」としておいたほうが、

クレームが来ないからですよね。実際には「やってみなけりゃわからない」ものもあるのです。

そして、同じ絹という素材でも、糸のレベルや織り方、柄として使われているものの染料などによっても

結果は違ってきます。

今回、塩素系を使ったにもかかわらず、紺絣の色は、全く落ちませんでした。

 

最後に、家庭用の洗剤として出回っているもの(洗濯だけでなく台所なども含めて)も、

酸性系、アルカリ性系があります。ポットの中を洗うなどの「クエン酸」は弱酸性、

よく使われる重曹は弱アルカリ性です。最近私も使っている「セスキ炭酸ソーダ」はごく弱いアルカリ性です。

それぞれの性質には、それぞれの得意分野があります。

セスキは、元々油汚れに強く、毎日の洗濯にも使えます。

 

市販されている洗濯洗剤は、最近は「汚れは落ちて当たり前」、みたいな状況で、

香りづけの方にちからを入れているようで…。

柔軟剤などは、やわらかくなるより、どれだけいい香りかを競っているようです。

臭くてかなわない…と思うものもありますけどねぇ。

 

今回、あのヒザあたりの薄汚れもやりたかったのですが、範囲が広いので洗ったら

伸子張りしないと…なのにこの大雨ですからして…。

次の晴れをねらって、またご報告したいと思います。

衿汚れよりは、薄い汚れが広範囲…なので、ひょっとして少しでもきれいになったら、

使えるところが多くなる…と、ちょっぴり期待しているのですが。

 

梅雨に入ったとはいうものの、いきなり大雨です。梅雨の末期は大雨がありますけど、

はじまったとたんにこれですか…です。

おまけに今年は長梅雨の予想ですと…さぁ、いっしょにジメってないで、

からっとがんばりまっしょい!

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (じじ)
2014-06-06 21:52:16
やっちゃいましたよ。銘仙の着物。
重なった部分が色落ちしてました。
ダメもとでしたのですがね。やっぱ。
黄ばんでいるし、でも何か使えるかとまだ捨てきらないでいます。だから溜まるんです。
縮みの代え襟洗ったけどこれ全部は落ちませんでした。
で、汚れた部分を中に持ってきました。分からない(シメシメ♪)
入梅したとはいっても雨少なめ。本格的な雨は来週からかなあ。今のうちにせっせお洗濯です。
返信する
Unknown (tomo)
2014-06-07 00:25:47
私も塩素系漂白剤を小千谷縮に原液をかけました(笑)
ちょっときれいになっているので
また後日ご報告。
同じもののbefor afterが画像で残せていないので。

100均の塩素系漂白剤はどうやらちょっと薄い気がします。
以前大手のハイターをこぼしてしまって
速攻に生地の色が抜けてしまったのですが
今回100均の漂白剤では紺色の小千谷の色は抜けませんでした。

洋服の仕事をしていますが微妙な素材はすぐドライ表示にします。
クレームになるのが面倒なので。
でも自分は乱暴に扱ってしまいますが。
自己責任ですのでどこにもクレームしたりはしませんが一人でへこみます。
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Unknown ()
2014-06-07 00:31:51
実験 お疲れ様でした。
そして
公表 ありがとうございました。

麻の長襦袢
汗取り用にシャツを下に着ていたので
シャツの部分が無かった
後襟ぐりの箇所が汗に濡れていたので
洗いたい!
と思ったものの 翌日は大雨
帰宅したその日のうちのお手入れが
肝心ですねぇ・・・
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Unknown (とんぼ)
2014-06-07 17:19:28
じじ様

私もまだそんなにわかってなくて、
えーいやっちゃえ、で銘仙を…。
元々水玉柄でしたが、よけいな水玉が増えてちゃって…。

しろうとのやることは限界があるものですね。
ダメ元資料はいろいろありますので、
これからもトライしてみようと思います。
こちらは昨日からまぁ降るわ降るわです。
仕方ないと思いつつ、また長袖出してきました。
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Unknown (とんぼ)
2014-06-07 17:22:37
tomo様

私も「いっぺんやってみよ」はあります。
塩素系は、強いと生地そのものをいためますので、
きれいになりましたら弱りました…がありますね。

昔は単純に自然素材しかありませんでしたが、
最近は化繊にしても自然素材にしても、
種類が増えて大変です。
ナンタラ加工だの、何々性だの、
ボケてられないわと思って、ルーペで覗いて読んでます。
読んでもわかんなかったりしてますけど…。
うっかりダメにしたものは、句の持っていきどころもなく、
へこみますよね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-06-07 17:23:50
惠様

お天気の関係で、広範囲のものが試せてなくて…。
夏の汗ジミは気になりますね。
まぁ当日でなくても数日中なら、ですよ。
お天気待ってやってみてください。
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