写真は手持ちの昼夜、ちと渋めですが、今の時代、私でも十分締められます。
なんか「唐草の風呂敷」みたい??
むりやり?この前の「帯締め使わない角出し」にしてみました。ちと硬かったです。
こんな感じの帯です。
表、きれいに見えますがちょっとこんなシミもあるんです。
裏はなんともかわいい小菊柄。
昼夜帯、今は裏表が違うものはみんなそう言っているようですが、
本来は、読んで字のごとく、裏と表で昼と夜のように対照的な色のもの。
元々は白黒の帯(特に裏が黒繻子)のものを、クジラの色になぞらえて「鯨帯」といいました。
呼び方もいろいろ今はごっちゃになっていますが、とりあえず、形態は「袋帯」のなかにはいる「腹合わせ帯」。
腹合わせの中には、昼夜のように裏が濃い、と言うものもあれば、
同系同士で全く違う色柄、リバーシブルでどちらも使える、というものもあります。
上の帯なども十分両面使えます。
最初からの帯ではなく、二本の帯のいいほうをとって縫い合わせる、という繰り回しもあります。
その時代その時代で使われるものは、その時の暮らしの中で、「便利」なほうに流れます。
着物の丈や袖丈、帯の幅や長さ、そして全てのものの形…これが変化するのは当たり前のことです。
帯は、元々丸帯であった…といいますが、実は厚手の立派な丸帯は、ダレもが締めていたわけではありません。
江戸から明治にかけて庶民が締めてていたのは、この「腹合わせ」がけっこう多いのです。
古い「昼夜」をお持ちの方はご存知だと思いますが、たいがい「芯があるのかないのか」わからない柔らかさです。
これは締め方も今とは違っていたし、日常的に厚手で硬い帯など締めているのは動きにくいということも
あったと思います。また、締め方も300種といわれるくらい、いろいろありましたから、
締め方に合わせての硬さや幅も必要だったわけです。
で、ちょっとアンティークな「昼夜帯」は今でも残っていますが、気をつけるのは「柄付け」です。
引き抜きで結ぶことを目的として染めてあるものは、普通のおたいこに締めようとすると、
柄ががちゃんと出ません。途中で柄がひっくり返っているところもありますし。
この前の「角出し」に使った帯がそうです。
引き抜きの結び方は、このブログではほかに「ひっかけ」をご紹介していますが、
角出し以外はあまり今結ばれることはないと思います。
できれば普通の袋帯と同じように結べる帯をお選び下さい。
腹合わせ、という意味は「おなかをあわせる」、つまり二枚の別の帯を合わせる…もあるのですが、
実は「おなかの寸法に合わせる」という意味が主だといいます。
これは「帯幅を変えて締める」ということです。帯の幅は、今は標準が固定している感がありますが、
本来「基準」があって、「自由」があります。礼装はともかく、普段帯なら変えてもかまわないわけです。
例えばこちらの腹合わせ帯、裏は表にあわせた繻子、昼夜帯と言うにはちと色が似通ってますが。
この帯、締めるとき、例えば幅の狭い柄を出すときは、普通に半分に折って締めるとこんな感じ。
(帯の柄メインなので、全部「のっけて置いただけ」でちゃんと締めてません。ごめんなさいです)
反対側の柄の広い方を出すと、半分ならこんなですが…
ちょっとバランスとって、柄を真ん中に持ってくると、こうなります。
当然、前帯の幅は少し広くなりますね。こんなお遊びもしていたわけです。
手持ちの「昼夜」です。一方付けの柄ではありますが、さかさまになっても「おかしい」とは感じませんから、
引き抜きにも使えます。この程度のアールデコは、若い方に締めていただきたいですね。
これは裏が「元・丸帯」、繰り回しの腹合わせですね。実際はもう少し地が黄色っぽいです。
アンティークな帯を買うときは、合う着物があるかどうかよく色柄を考えてください。
いかにも…の古いものは、新しい時代の着物とは相性が合わないときがあります。
あまり帯ばかりアンティークでも…ということです。ちょっとクラシカル…程度の柄が使いやすいです。
さて…この帯の行く先も考えないと…。
楽しめていいですね。
腹合わせがお腹の寸法に合わせるだとは
知りませんでした。
大きな柄ですが、けっこう何にでも合いそうですね。
昔の人って、いろんなこと考えてたんですね。
オシャレだなぁと思います。