
本来、帯は後ろで、見えない状態のまま結びます。
でも、前で結んでクルリと回す…方が、ラクなんですよね。
私も、体太くなるわ、手は後ろに行きづらくなるわ、ついでに今頃になって五十肩?
10年も遅れてどーすんのって…というわけで、もっぱら「回して」ます。
前で結んで回すのが苦手な人の理由には、いろいろあると思いますが、
大きく分けると
* 回すと着崩れる(ような気がする…も含めて)。
* うまく回せない。
* それ以前に結んでるとわからなくなる。
最後の「結んでるとわからなくなる」…これが一番ヤッカイです。これからいってみましょう。
帯結びをうしろでやるときは見えませんから、手や体の感覚とアタマの中での「想像」でやりますね。
回数着ていると、次は何をするか、何をどこに持っていくか、みんな手や体が覚えてくれるわけです。
帯も回数締めることで、自然と手が覚えますし、見えなくても頭のなかでもちゃんとわかって結べます。
これがなぜ前になると、締めにくいと感じるか…単純なことで、普通に背中で結ぶときは、
左手で『手』になる方を受け持ち、右手で『たれ』になるほうを受け持ちます。
これを前で結ぶと、左手で『たれ』を、右手で『手』を受け持つことになるのです。
更に後ろなら見ないでやる作業を、目の前で見下ろしながらやる…これが混乱の元、です。
あれっ、どっちに曲げるんだっけ…とか。
これをスンナリやるには、前でも後ろでも「左手の仕事は左手に、右手の仕事は右手に」
ついでに、あまりのぞきこんでやらない…と私は思って、それでやっているわけです。
つまり、いつもと逆に回す…んですね。
うっそぉ…と思うかもしれませんが、手が覚えている、という感覚です。
とはいえ、この方法、みんなが「なるほど、やりやすいわ」というか、といわれたら私も困ります。
過去に教えた友人たちには、ほとんど「なるほどねぇ」と納得されましたが…。
あくまで「人によりけり」…のことだと思ってください。
とりあえず、普通に半幅帯で「貝ノ口」を締めてみましょう。
写真は「あなた」にかわっての視線で撮ってみました。
最初に手になるほうを左肩にかけて長さを決めます。(ちと長くズレましたすみません)
始まりの後姿。
また上から見ます。垂れになるほうを右の脇から左へ。つまり「前で見て、左まわり」です。
再度後ろ。一気に省略して結びのところ。左が「手」右が「たれ」ですね。
右側のたれをおろして長さを決め、左側に向けて「くの字」に折りあげます。
左の「手」を中を通して右上に上げます。(形がわかるようにですので大きさなどは無視してください)
さて、今度は前結びで締めて上と同じように結べるよう、やってみます。
最初に肩に掛けるところ、本来は「左の前から後ろ」ですから、前後が変わると「右の後ろから前」になります。
そして、このまま巻きますから、こうすると、後ろ結びと同じ「右から左へ」の「左まわり」です。
ここからは連続、二回まわして結びました。
くの字におりあげて
手を通します。
これであとは全体を、クルリとまわすわけです。まわすと、同じ向きに仕上がります。
黄色の手が左下から右上、ですね。下の写真が、最初から後ろで結んだ場合。
例えば、右手にお箸左手にお茶碗を持って、後ろでお茶碗の真ん中をお箸でつついてみてください。
右利きの人なら、見えなくてもちゃんと持ってできますね。
これを上の帯結びのように前でやる…と考えてみてください。
そのままお箸とお茶碗だけが、グルリとまわって前にくることになります。
お箸が左に来てお茶碗が右に来ますね。左手にはお箸、右手にはお茶碗になります。やりにくくなるでしょ。
だから、前に持ってきたとき、手に合わせてお箸と茶碗を入れ替えたらいいんじゃないか…ということなんです。
やってみましょう。
まず肩に掛けるところから逆です。また上から目線。
普通に結ぶときの形を入れ替えて、右肩の後ろから前、を、左肩の後ろから前、にします。
こうすると、巻き方も「左脇から右へ」の右回りにかわります。(あ…衿の崩れはご勘弁を)
二回巻いて結ぶと、手が左、たれが右に来ます。下は前から見たところ。
たれを右手で「くの字」に折りあげて、左手で「手」を差し込みます。
仕上がりはこちら。逆になりましたね。下がいつもの左周り。(形の崩れはお許しを)
写真で見ていると「だからなんなの」ですが、これ実際やってみてください。
実際やるときは、あまり帯をしっかり見ないで手に任せる感じで…。
しょっちゅう締めている人ほど、迷うことなく、すんなり手が動くと思います。
但し、貝ノ口でわかるように、右に向けてまわすことになるので、向きが逆になります。
おたいこの場合、仕上がりの「手」の出る方向が左から右ではなく、右から左になります。
また、名古屋帯だと「前帯の柄」が、いつもの柄の裏側(中側)の柄になります。
柄がいつもと変わる場合、もしくはなくなる場合もあります。
元々名古屋帯は、前帯のところにはほとんど両方に柄が入ってますよね。
あれはどちらでも結べるということです。
締め方として逆周りでいいのか…これは問題ありません。
元々帯結びには「関東巻き」「関西巻き」があって、最初に手を肩にかけるとき、
左肩にかけて、前に回した帯を左へ左へと巻くのが関東、右肩にかけて右へ右へと巻くのが関西。
この違いの発祥については、調べていませんのでごめんなさいです。
今では関西でも「関東巻き」がほとんどですが、関東巻きは「歌舞伎巻き」、関西巻きは「太秦巻き」とも言います。
「太秦巻き」と言うのは、いわずと知れた京都太秦撮影所のこと。
つまり、太秦では今でも伝統的に関西巻き、なので、時代劇の役者さんの帯はみんな「右巻き」。
女性だとわかりにくいのですが、男性の着流しや旅人などの「貝ノ口」「片ばさみ」などの「手」の出方が逆です。
時代劇みたら探してみてください。江戸巻きなら、関西以外のところでの製作…ということがわかります。
反対向きにするだけでラクになる…ほんと??いや、実際には統計を取ったわけでもないのでわかりませんが、
原理として「手が仕事をする」というのは、自分でも驚くくらい、ちゃんと役割分担しているのです。
洋服のファスナーでも、背中アキの服のファスナーと、前アキのジャンパーなどのファスナー、
どちらも右手であけやすい向きに、なってます。
並べて置いてみると、ファスナーにかぶさるほうの布は、左右逆になっていますでしょ。
やってみて「あーほんとだ」と、言ってくださる方が、一人くらいいてくださるとありがたいのですが。
次回は「ほかの『まわすの苦手』な理由」について、考えてみましょう。
前結びだったので、半幅帯で結ぶ
結び方はほとんど前で結んで
クルッとまわしています。
最初の癖って恐ろしい?・・・と
思います。
ありがとうございます。
上から目線の
写真はもとても分かりやすく
感激です。
これだけの説明、大変ですよね。
感謝・感謝です。
どうにか結ぶ事が出来たのですが
その際にも自分で結んだ時の上から目線の写真が無いのが不思議でした。
ご存知の通り かなり不器用なもので
でも お太鼓の前結び本が無いのはなぜだろう
じっくり 読んで 試してみます
帯の関西巻きと関東巻き
サスペンスドラマの中で ヒントとして出て来ましたよ
半幅帯は前で結んでクルリですが
普通の帯を前結びした時の枕ってでうなってるのでしょうか?
専用の枕があるんでしょうか?
前で出来たお太鼓の形が背中に到着した時にも何も結び直したりせずにビシッバシッと決まっているのでしょうか?
あぁ続きが待ちどうしいです!
私、母がちょっと左利きでしたから、
どっちも締められて当たり前…みたいなところがあったんです。
最初に習ったことって、そのまま体に染み付きますよね。
私はかえってどっちもやるばっかりに「どっちだっけ」をやってます。
うまくわかりやすい説明になっているかどうか…と、
書いた後でも心配しています。
わかりにくいところがありましたら、またいってください。
前結び、ラクですよねぇ。
私、最近になって肩がいたんで、前結びでも
まわすときにうしろへ手をやるのに
うーっとなってます。
これ以上のラク…は、二部式しかないのかなぁなどと
悲観的になってます。
私、着付けの本を見るたびに、どうして上からのと前からのと
両方の写真が載っていないのかと、フシギに思っています。
向かい合わせのものって、左右がわかりにくいんですよね。
おたいこ、これからやりますので。
ドラマのヒント…死体の帯結びが逆だったので…とか?
山村美沙のシリーズかなー。
少しはわかりやすいですかしら。
おたいこもこれからやりますが、
帯枕も少し緩め位で結んで、回した後もう一度結びなおします。
ちょっとしたコツと工夫…程度ですが、いっしょけんめ書きますね。