ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

コレがなんだかわかる方は、もう少ないかと…。

2012-06-26 19:12:20 | 着物・古布

 

これは「国民服儀禮章(こくみんふくぎれいしょう)」というもの。

もうきれいな状態ではなかなか出るまい、と思って入手しました。

 

国民服も、今知る人はずいぶん減っていると思います。

国民服について、はこちらに、記事があります。

要するに、戦時中男性に対して「みんなこういうの着なさいよ」と決められた服です。

改まった席には「礼服」として着られました。

これは勅令、といって会議にかけずに天皇が直接決めること、として決まった政令ですが、

発布されても、一度に全員が着始めたわけではなく、徐々に広がり、

戦争がはげしくなってから、みな着るようになりました。

戦意高揚といいますか、そういう意味もあったわけですが、実際物資不足が深刻になってきたとき、

みんなおソロで…というのは、経済などを考えても都合がよかったわけです。

 

さて、この「国民服儀禮章」は、国民服を「礼服」として着用するときに胸に着けるもの。

過去記事の写真はまだ加工がうまくできませんで、撮りなおしました。

本の表紙です。ペラペラの小冊子ですが、作り方が書いてあります。

とてものことに簡単ソーイングではできませぬ…。

この写真の向かって左が「甲號(号)」、右が「乙號」、甲の方が襟を止めてあの「章」をつければ、

礼装になるタイプ、乙は、いわば一般着、です。

 

         

 

そしてこちらが、この「甲號」で礼装に装ったもの。

下がこの「章」ですね。胸ボタンにつ押して、右胸に飾る…。トップ写真のものは真ん中に「家紋」が入っています。

 

         

 

箱のフタにも書いてあります「八紘一宇」とはなんぞや…。

これ、とても難しいので、ものすごく大雑把に言いますと、元々は日本書紀の中の文から作られた「言葉」。

天下をひとつにして「一家」のように…というような意味なのですが、

結局戦争においては、日本の戦争目的を現すといいますか、うまく戦争に使われてしまった…

つまり「アジアという国をみんなまとめて、一家のように…で、その父親は日本だよ」みたいな。

この箱の中には小さな説明書が入っておりまして、最初にはこんなことが書いてあります。

 

          

 

単なるグループ・バッジじゃないよ、といっているわけですが、何かにむかって心をひとつにする…

それそのものは、今の時代にこそほしい思いではありますが、戦争のため…であってはなりません。

組紐の飾りとしては、なかなかのものですが、こういうものが二度とできないほうが、いいですね。

毎年、終戦記念日ごろに、いろいろ書かせていただいていますが、

珍しいものが手に入りましたので、書かせていただきました。

           


コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 久しぶりに父話題 | トップ | 歌舞伎にまつわる柄のじゅばん »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とんぼ)
2012-06-27 15:39:39
アゲハ様

国が定める服と言うのは、だいたい似通うものです。

私は戦後生まれですが、まだまだリアルタイムで、
戦争の話を聞いてきました。
今は平和すぎて、特に最近は「ダレでもいいから」と殺したり、
あまりにも身勝手です。
苦しい時期を耐えて、がんばってこの国の礎になってくれた先人たち、
焼け野原からここまで復興してくれた人たちは、
今を見て嘆くでしょうね。申し訳ないことです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-06-27 15:34:15
えみこ様

一握りの人間たちの考えで、国民が右往左往…。
つらい歴史ですが、ちゃんとそれを見なければいけませんね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-06-27 15:32:54
惠様

こんなときも、親の昔話は役に立ちますわ。
「国防色」なんて母が色喪母から教わりました。
その母は、高齢になって「迷彩柄」が、お気に入りでしたわ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-06-27 15:30:58
陽花様

つらくていやな時代ではありますが、なんというか、
危機感のせいでしょうか、人が今よりどこかぴしっとしていた気がします。
もうあってほしくないことですが、こんな組紐での飾りはいいなぁと。
返信する
なんか (アゲハ)
2012-06-27 08:47:36
日本の人っていうより北の(あちらの人)って感じでやだわ。

でも、戦争の間は仕方なかったんですね。
忍ばなければならない時代をしのんでこられた人達のお陰で、今の平和があるんですから。

(あんまり平和過ぎるのもダラケてしまうのか、自分より若い人らの言動にはムカムカしますが)

                             
返信する
これはもう… (えみこ)
2012-06-27 06:23:05
アンタッチャブルというか
戦勝国から見れば
相手国の「黒歴史」でしょう。
八の曲解をめぐって、どれだけの人々が…。
封印された言葉です。
胸が痛みます。
返信する
Unknown ()
2012-06-26 22:35:49
へぇ・・・ほぅ・・・ふぅーん
今日も ただただ 感心して読ませて頂きました。
返信する
Unknown (陽花)
2012-06-26 19:51:53
刀の下げ緒から帯締めに・・とは
よく聞きますが、国民服儀禮章が
組紐で出来ているのは知りません
でした。
昔の人は難しい言葉を使いますね。
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事