すみません、今日も「和裁」のお話はショートです。
写真はとんぼ柄の単です。別に大きなとんぼを探しているわけではないのですが、
オークションでみつけるとつい…。
単なのですが、単用の帯で色の合うのがなかったので、袷仕様です。
ちりめんで、ブルーっぽいとんぼは絞り、そのほかは部分的に縫い取りです。
縫い取りのとんぼは、羽の中に萩の花の模様入り。
近くで見るとこんなとんぼ。
てろん と しゃりん の間ぐらいで着易そうです。
サイズもピッタリで、袖に一箇所だけちょっと汚れがありますが、
一度丸洗いに出してさっぱりすれば、そのまま着られそうです。
古着でサイズピッタリというのはなかなかありません、珍しいことです。
さて、今日は縫い方のお話なんですが、ちょっとショート目でごめんなさい。
和裁の運針、これはもうひたすら「やる」しかないわけで、
じっとしてて上手になる方法はありません。
まずは指にあった指貫を使うこと、たいがい練習は晒に木綿糸…が普通です。
決まりごとにあまりこだわらなくてもいいので、
縫いやすいと思う長さの針で、やってみましょう。
運針で大事なのは「まっすぐ」ということと「針目が揃う」ということ。
学校で運針の稽古に使われる布には、赤い線が引いてありませんでしたか?
まっすぐ、ということは、たとえば布はし対してに平行にまっすぐ、
ということと、もうひとつは「針目の一目ずつ」がまっすぐ、ということです。
全体にちゃんと赤い線の上を縫えていても、ひと目ずつが斜めで、
たとえばカタカナの「ハ」の字のように目が並んではいけません。
目もまっすぐ、縫った全体の線もまっすぐ、です。
右手で針を刺して進めながら、その手の内側で縫えたたところを
どんどんたぐってゆく、左手は上下させて、針が深く入る助けをしながら、
布を送り込む、これだけのことなのですが、やはり慣れるしかありません。
それから、たとえば50センチくらい縫うとしますね、
そのとき一度にどんどん50センチ続けて針を運ぶのはムリです。
右手でたぐった布がギャザーがよってきます。これをさーっとしごきます。
このとき、針は布からはずしません。何目か縫ったままでいいのです。
針を布から全部出してしまうと、次に布に針をいれるときに、
微妙に角度がかわるからです。ひたすら針は刺しっ放しで縫ってしごいて、前へ。
50センチ全部縫ったところで、初めて針をだして、
一番うしろから、逆にしごいて布目を落ち着かせ、
縫ったところのどこにもギャザーがよらないように広げるわけです。
わかりにくいので写真をば…
わかりやすいように太い針を使い針目も大きくしました。
まず縫っていくと右側にギャザーがより始めます。
針はそのままで、右にしごきます。
またギャザーができます。
これをまた右にしごく…終わりまできちんとしごくのは最後でいいので、
縫うのにジャマにならないようにちょこちょこ右におくるわけです。
しごく、という表現もあれば「糸こき」という言い方もあります。
実は私はポリの糸をつかったときだけは、ときとぎ針を全部だしてしまいます。
なんたってポリ糸というのは、自分で勝手に撚りをかけてくれちゃうので、
長いところを縫うと、糸がくりくりと撚れてしまう…。
そこで一度針を抜いてぶらさげてやると、針がクルクルと回って糸が戻る、
なんともめんどくさいのですが、それでも下着などはポリのほうが
洗濯でも縮まないし、すべりがいいのでついつい使ってしまいます。
練習には「木綿糸」をどーぞ。
もうひとつ、肌じゅばんで使う「耳ぐけ」、きょうはこれの絵を描いてみました。
「みみ」というのは「布の耳」のこと、織りの端っこですからほつれてきません。
それをそのまま表布にとめつける方法です。
右側から左側に向けて縫います。
①で、布に針を入れ向こうまで通します。図ではわかりやすいように
布を離して描いてありますが、実際にはピッタリついているわけですから、
①で針を通すと向こうに突き出ます、そまま一目縫って内側に戻ります。
これが②です。点線は布の向こう側に出ている「目」です。
そのまま①の目の横に出し、また一目縫います。
このとき、針は向こうの布を突き通さず、③のように、
手前の布の内側にそわせるようにして、そのまま針を出します。
これがまた①にもどったことになるわけです。
*また一目縫って、布の向こう側に出し一目縫って手前に出し、
*一目縫ってそれを向こうにださず、内側を滑らせ、
*手前側で一目縫って向こうに出し… の繰り返し。
こうすると、表側はひと目の縫い目がぽつぽつとちょっと離れて表にでて、
裏側は、二目の縫い目が離れてでる、という形(図)になります。
縫い目は、表側はできるだけ小さい針目がよく、
内側は少々大きくても大丈夫です。中に沿わせて隠してしまう間隔は、
1.5~2.5センチという記述が多いのですが、私はめんどくさいので
浴衣なんか3センチくらいにしちゃって…そういえばしかられた…かな?
なにしろ縫い方ひとつとっても「本縫いはぐし縫いともいう」とあったり、
ぐし縫いは袖の丸みなどで使う、とか並縫いといういいかたもあったり。
結局、そういうことが初心者にとっては混乱の元なのですよね。
要するに「この部分を縫うときはこういう縫い方」という形で覚えてしまえば、
本でもぐしでも並でもいいわけです。とりあえずふつーの運針、
そしてちょっと特殊な「みみぐけ」、覚えてください。
写真はとんぼ柄の単です。別に大きなとんぼを探しているわけではないのですが、
オークションでみつけるとつい…。
単なのですが、単用の帯で色の合うのがなかったので、袷仕様です。
ちりめんで、ブルーっぽいとんぼは絞り、そのほかは部分的に縫い取りです。
縫い取りのとんぼは、羽の中に萩の花の模様入り。
近くで見るとこんなとんぼ。
てろん と しゃりん の間ぐらいで着易そうです。
サイズもピッタリで、袖に一箇所だけちょっと汚れがありますが、
一度丸洗いに出してさっぱりすれば、そのまま着られそうです。
古着でサイズピッタリというのはなかなかありません、珍しいことです。
さて、今日は縫い方のお話なんですが、ちょっとショート目でごめんなさい。
和裁の運針、これはもうひたすら「やる」しかないわけで、
じっとしてて上手になる方法はありません。
まずは指にあった指貫を使うこと、たいがい練習は晒に木綿糸…が普通です。
決まりごとにあまりこだわらなくてもいいので、
縫いやすいと思う長さの針で、やってみましょう。
運針で大事なのは「まっすぐ」ということと「針目が揃う」ということ。
学校で運針の稽古に使われる布には、赤い線が引いてありませんでしたか?
まっすぐ、ということは、たとえば布はし対してに平行にまっすぐ、
ということと、もうひとつは「針目の一目ずつ」がまっすぐ、ということです。
全体にちゃんと赤い線の上を縫えていても、ひと目ずつが斜めで、
たとえばカタカナの「ハ」の字のように目が並んではいけません。
目もまっすぐ、縫った全体の線もまっすぐ、です。
右手で針を刺して進めながら、その手の内側で縫えたたところを
どんどんたぐってゆく、左手は上下させて、針が深く入る助けをしながら、
布を送り込む、これだけのことなのですが、やはり慣れるしかありません。
それから、たとえば50センチくらい縫うとしますね、
そのとき一度にどんどん50センチ続けて針を運ぶのはムリです。
右手でたぐった布がギャザーがよってきます。これをさーっとしごきます。
このとき、針は布からはずしません。何目か縫ったままでいいのです。
針を布から全部出してしまうと、次に布に針をいれるときに、
微妙に角度がかわるからです。ひたすら針は刺しっ放しで縫ってしごいて、前へ。
50センチ全部縫ったところで、初めて針をだして、
一番うしろから、逆にしごいて布目を落ち着かせ、
縫ったところのどこにもギャザーがよらないように広げるわけです。
わかりにくいので写真をば…
わかりやすいように太い針を使い針目も大きくしました。
まず縫っていくと右側にギャザーがより始めます。
針はそのままで、右にしごきます。
またギャザーができます。
これをまた右にしごく…終わりまできちんとしごくのは最後でいいので、
縫うのにジャマにならないようにちょこちょこ右におくるわけです。
しごく、という表現もあれば「糸こき」という言い方もあります。
実は私はポリの糸をつかったときだけは、ときとぎ針を全部だしてしまいます。
なんたってポリ糸というのは、自分で勝手に撚りをかけてくれちゃうので、
長いところを縫うと、糸がくりくりと撚れてしまう…。
そこで一度針を抜いてぶらさげてやると、針がクルクルと回って糸が戻る、
なんともめんどくさいのですが、それでも下着などはポリのほうが
洗濯でも縮まないし、すべりがいいのでついつい使ってしまいます。
練習には「木綿糸」をどーぞ。
もうひとつ、肌じゅばんで使う「耳ぐけ」、きょうはこれの絵を描いてみました。
「みみ」というのは「布の耳」のこと、織りの端っこですからほつれてきません。
それをそのまま表布にとめつける方法です。
右側から左側に向けて縫います。
①で、布に針を入れ向こうまで通します。図ではわかりやすいように
布を離して描いてありますが、実際にはピッタリついているわけですから、
①で針を通すと向こうに突き出ます、そまま一目縫って内側に戻ります。
これが②です。点線は布の向こう側に出ている「目」です。
そのまま①の目の横に出し、また一目縫います。
このとき、針は向こうの布を突き通さず、③のように、
手前の布の内側にそわせるようにして、そのまま針を出します。
これがまた①にもどったことになるわけです。
*また一目縫って、布の向こう側に出し一目縫って手前に出し、
*一目縫ってそれを向こうにださず、内側を滑らせ、
*手前側で一目縫って向こうに出し… の繰り返し。
こうすると、表側はひと目の縫い目がぽつぽつとちょっと離れて表にでて、
裏側は、二目の縫い目が離れてでる、という形(図)になります。
縫い目は、表側はできるだけ小さい針目がよく、
内側は少々大きくても大丈夫です。中に沿わせて隠してしまう間隔は、
1.5~2.5センチという記述が多いのですが、私はめんどくさいので
浴衣なんか3センチくらいにしちゃって…そういえばしかられた…かな?
なにしろ縫い方ひとつとっても「本縫いはぐし縫いともいう」とあったり、
ぐし縫いは袖の丸みなどで使う、とか並縫いといういいかたもあったり。
結局、そういうことが初心者にとっては混乱の元なのですよね。
要するに「この部分を縫うときはこういう縫い方」という形で覚えてしまえば、
本でもぐしでも並でもいいわけです。とりあえずふつーの運針、
そしてちょっと特殊な「みみぐけ」、覚えてください。
本当によく分かる図だ事と感心します。
以前に見せてもらったとんぼ柄もリアルで大きな
とんぼだったですが、このとんぼも結構大きい
とんぼ柄ですね。
こちのお着物も縫い取りお召しなのでしょうか?
とんぼさんに教えて頂いて初めて知ったお着物なので興味あります~!
棒衿とバチ衿とかも最初 解らなかったです><
小さい頃から聞いていれば また話は別なのでしょうね。
運針、針に少し残しておかないと、次の針目がナナメになります。仰るとおりです。なかなか本にはそこまで書いてありません、当たり前のことなのかしら(メ_メ
イラストほめていただいてうれしいですー。
毎回「これでわかるかなぁ」と心配なんです。
とんぼ柄はけっこうあるんですが、
カオがかわいいのやこわいのや、いろいろです。
このとんぼは縫い取りの中に「寄り目」のコが
いたりして楽しいです。
くう様
これは縫い取り「ちりめん」です。
地模様が流水風です。単向きに織られたもので、
普通のちりめんより薄くてシャッキリ感があります。
縫い取りは「漆」とも呼ばれて、白生地で織るときに
模様文だけ別の「杼」を使って金銀糸や漆の糸を
織り込むものですが、そういう糸は、
地色を染めても染まらないので、あとで
こんなふうに模様の部分だけ別糸が見えるわけです。
zizi様
元々が、和裁は親子の伝承でしたから、
地域地方でやることは同じでも名前が違ったり、
作り方そのものが違ったり…。ややこしいことです。
縫い方そのものは、私ははじめて針仕事をした
10歳くらいのときに「こうするんやで」と、
教わりました。当たり前のこと、というより、
「縫い物の知恵」なんでしょうね。
昔はきっといつの間にか知っていた…
というような状況だったと思います。
ところで、みみぐけですが、糸目を目立たせないように、
しっかり2枚の布を留めつける箇所に使いますよね。
単に、しっかりと閉じ合わせるのなら、半返しか、
本返しで縫う方法もありますけど、みみぐけは、やはり、
糸目を目立たせない為というのが、大きな理由では。
40年以上大昔、ご近所の和裁の得意な方から、
浴衣と単衣の縫い方を教えていただいたきりで、
それ以降、着物類、縫っていませんので、うろ覚えですけど。(^^)
ハイ、そのとおりです。
みみぐけは布のみみを使いますから、
ほかの折りこむところより薄く仕上がります、
できるだけたいらに、縫い目はできるだけ小さく
が基本です。ですから表は小さくと書きましたが、
このあたりのレクチャーは
どちらかというと初心者対象ですから、
内側は表の目よりちょっと位大きくなっても…
という意味なんですけど…。
わかりづらい説明でしたかねぇ。
1センチ越えるようじゃ困りますけどねぇ。
という意味です。
初心者といえど大人の場合、理由を示されたほうが、
飲み込みが早かろうかと思います。
大人になって始める習い事、理由を説明されると、
かなり判り易い、覚えやすいのを痛感してますので。(^^)
あらまぁそれはご心配いただきましてすみません。
読解力ないものですから勘違いいたしました。
いよいよ本格的に縫う段階で、
とじもくけも少しずつ説明する予定です。
右に送って糸こきをするとか、
珍しいくけなどがあるんだというお話をして、
いよいよ縫うところまできたら、
ひとつひとつの目的など書くつもりでいるのですが、
さてどうなりますやら。
また書き落としなどございましたら、
応援よろしくお願いいたします。