ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ちょっとだけ…

2007-03-23 19:55:36 | 着物・古布

すみません。本日も時間がなくて、「さわり」だけ??
とりあえず写真は、このたびのHP作成のために撮ったものの一枚、
手組みひも 陽花様のページのご紹介に、私が購入させていただいた帯締めを
実際締めてみると、こういう感じですよ、という写真です。
この茶色は注文で組んでいただいたもの「菊唐組」です。
色あわせとか、トリミングとか、いろいろ悩みながらやっています。
ちなみに締めている帯は、これまたもらいもので、「作り帯」、
着尺で羽織と作り帯を作ったものだそうです。とーぜん両方いただいてます。

さて、肌じゅばんを縫う、ということは、作るものは和裁の中では
とてもカンタンなもの、というのはお話いたしました。
それでも「和裁」ですから、洋裁と違うところがたくさんあります。

まず、現代の洋裁は「ミシン」が中心(着るものの場合です)。
手縫いのところは限られています。和裁ではどこもかしこも手縫いです。
ミシンで縫わないのは、基本的に「解いて縫い直すもの」であるからです。
以前にも書きましたが、着物はどこも縫い代を裁ち落としません。
すべて中に収めてあるので、解いて広げてつなげれば元の一反に戻ります。
傷んだところを取り除いていって、残った長さでできるものに作り変える、
これを繰り返して、ハギレになっても使ったわけですね。
そのためには、便利なミシンではありますが、着物には向かないのです。

ミシンの縫い目は2本の糸で布を交互に挟みます。針目も正確で小さいです。
これを解くと、まず糸を切っていくのがたいへんです。
それと針も太く更に一本の針に一本の糸ではなく、下糸を引き上げますから、
二本の糸が一度に通るので針目が大きくなります。
ミシン縫いの着物を解いた縫い目は「切手の切り離し線」のように、
ブツブツと針穴が並び、古いものになると、まさに切手のごとく、
その線どおりに切れてしまいます。

着物の特性を生かすためには、やはり手縫い、が一番なのです。
ただ、これもいつも言うことですが、着物というものは、
その時代の流れ、暮らしぶりによって変化していくものです。
「使い捨て文化」は肯定する気にはなりませんが、だからといって
昔のようにさらしがぼろぼろになるまでつないで…というのは、
今の暮らしの中では、難しいでしょう。
何度でも解いて使う、というのは、繰り回し(リフォーム・リサイクル)の
ワザを持っていてこそできること、だからです。
昔のように使いまわさなくても、無駄にしないことはできます。
それさえ心に留めておけば、私はウールや浴衣などはミシンでもいいと思います。
解くとき大変なのさえ忘れないようにして、そのまま気倒す、
いよいよになったらがんばって解く、そのあとはまた新しいことを考える、
そういうやり方でもいいと思います。
江戸時代は、新品の反物を買う、仕立ててもらって着る、などというのは
ごく一部の裕福な階級で、庶民は新品の反物なんて一生に一度か二度…
そんな暮らしだったわけです。
昔のように「3枚しかないのをとっかえひっかえ毎日着る」わけではなく、
経済的にも豊かになり、安いものもたくさん出回っています。
少しずつ、枚数を増やしていける、時にはキヨブタでいいもの買っちゃう!
そういう暮らしなら、そういう中での節約や工夫をしていく、
それが「平成という時代の着物ライフ」だと思います。

さて、説明が長くなりましたが、要するに肌じゅばん程度なら、
ミシンでジャカジャカでもいいと思います。ただ、最初からそれをやると、
「実はね…」というところがわかりません。
これが一番怖いのです。肌じゅばんに限らず、着物のことは、
きちんと伝わることが途中で途切れました。
だからこそ、途切れた部分を一度つないでから先に進むことが
大切なことではないか、と私はいつも思っています。
ですから、とにかく一枚、なんとか手縫いで全部やってみましょう。
ちゃんと理解して、縫い方も覚えたら、次からは面倒なところはミシンで、
それでもいいと思います。その人が次の人に教えるときも、
「ほんとはこうするのよ」からはじまってくれれば、
「伝わるべきことは伝わってゆく」と思います。
つまり「基本を知れば自信持って応用ができる」ということです。

ではいよいよ…ですが、まだまだ説明ですよぉ。
和裁と洋裁の違うところはまだあります。
縫い方、といいますか、「ステッチ」そのもののことです。
たとえば洋裁を手縫いでする場合(ホームソーイング程度と考えてください)
まず「ぐし縫い」、これはミシンでやればOK、それと裾あげの「まつり」、
少なくともこれだけ知っていれば、なんとか形にはなります。
とじとか星止め、というのもありますが、それは知らなくてもなんとかなります。
洋裁でさまざまなステッチが使われるのは「ししゅう」です。
それで模様を作っていきますね。
和裁の場合は、ミシン使わないわけで、布をつなぎ合わせるだけでも
「ぐし縫い」「すくい縫い」「本返し」「半返し」…。
これに「くけ縫い」が入ります。「三つ折ぐけ」「耳ぐけ」
「まつりぐけ」「千鳥がけ」…。
さまざまな独特の縫い方があり、それを縫う場所によって使い分けます。
たとえば、肩当布のはじは「伏せ縫い」して、身頃にとじつけるときは、
背縫いのところにちょっとだけ千鳥がけ、身頃に全体をつけるのは「おりぐけ」
また、身頃の脇の部分をぐし縫いで縫い合わせたら、
縫い代部分は「耳ぐけ」で縫い付けます。肌じゅばんの裾は「三つ折ぐけ」です。
このほかにも「とめ方」もいろいろ使って丈夫に作ります。
(こういうことについては、本によってちょっとずつ違う場合もあります)

ここまできたら「やだ、めんどくさそう」と思うかもしれませんが、
そんなに大変な専門技術ではありません。だれでも練習すればできることで、
慣れると早くきれいにできる…というだけの話です。
まずはちょっとしたはぎれでいいですから、それでそれぞれの縫い方を
やってみることをお勧めします。20センチ角くらいのさらしを2枚用意して、
それぞれの縫い方やくけ方をやってみると、またひとつ、先が見えます。

時間がなくなりました。明日はこの続きの予定です。
実際の縫い方をやってみましょうね。



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3 コメント

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Unknown (陽花)
2007-03-23 21:21:06
アラッ、見覚えのある帯締めと思ったら
やっぱり「菊唐組」でした。
着尺で羽織と作り帯ですか・・・いいですね。
私も以前着尺で羽織を作ったんですが、残っている
生地を何にしようかとおもっていたのです。
縮緬生地も作り帯にしたら締めやすいですものね。
真似しようかな~!
返信する
帯締め、 (ぶり)
2007-03-23 21:57:04
本結びではあるけれど。
平たい帯締めの場合、片方を回りこませる時、
裏返していないので、ちょこっといびつなのが
いつも気になります。(^^)
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-03-23 23:02:14
陽花様
これをくださったひとは、よくなさるみたいです。
着物にはハデかなと思うような着尺でも、
羽織なら着られるからと…。
私も反物あるのでやってみようかな、
あっ羽織が縫えないやん!

ぶりねぇ様
アドヴァイスありがとうございました。
ぶりねぇさまのようにいつもスキなく
着物を着ていない私は、こういうところで
性格ばれますね。
いつも全体像ばかり気にして、
ババッとやってしまう。ほでーさん相手の
他装ですから、きをつけなきゃいけないのに、
ぼでーさんはなんも文句いわないので、
ついおざなりでした、以後気をつけます。
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