ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

わらしべ長者…にはなれないなぁ

2015-10-05 00:37:33 | 着物・古布

 

写真はその「わらしべ」の元「藁束」の現物です。

わらしべ長者のお話では、観音様の言葉に従って、転んだ時に手にしたわらしべを持って…

そのあと、ブンブンうるさいアブをわらしべに結び付けて…という順序。

まぁこの辺にはアブもいませんし、いたところで私はそれを捕まえてなんてことはできないし…

やっぱ地道に行くのが一番…。

 

などというつまらない前フリはともかく、先日京都からきたイトコが「約束の藁束」を

たーんと持ってきてくれました。なんと二束で一束は一抱えあります。

元々あれこれ作りたいなぁと思っていて、例えばリースとか、タペストリーの中の素材とか、

そうそう藁人形も…えぇーっ、あ、でも調べたら「売ってました」…怖いことです。

で、届いたのはいいんですが、まだ新しくて、入れてあったポリ袋の内側にくもりが…。

そのまま置いておけば、いい肥料になる…では困りますので、

お天気のいい日は、玄関先で「藁干し」してます。ほとんどカラカラになりました。

 

イトコの話では、最近の農業機械はおりこうさんで、稲刈りをしつつ、同時に刈った稲を脱穀し、

更に残った藁束をザクザクと切り刻んで、今稲刈りの済んだ後ろ側の田んぼに、

バラバラとまき散らす…そのまま肥料になるわけですね。

なので「藁がほしい」と言ったら「昔の機械を使っている農家があるから頼んでおいてあげる」と

この夏前から「予約」しておいてくれたのだとか。

最近は藁なわも、むしろも、わらじも…用がありませんからねぇ。

 

で、こちらが藁のアップ。ジグザグしているところにお米の粒が付いていたわけです。

 

            

 

いくつか籾も残っていたので丁寧にとっておきました。来年は稲作する?

これを束にしたものが「稲穂箒」というもの。実がたくさん付いているものもあり、

「実子(ぬいご)箒」ともいうそうです。神棚のお掃除はこれでしたね。

写真をネットでお借りしてきました。

これは手作りとのこと、昔は家に大きいもの小さいもの、1本くらいはあったものです。

   

           

 

実はこれ、繭から糸をひきだすときにも使われます。

湯につけた繭の表面を、この箒のミニサイズでちょいちょいとなでると、

このちくちくとしたでっぱりに、糸の端がひつかかってばらけ、

そこから「正緒」(繭から糸を出す最初の1本)を探り出すわけです。

確か「索緒箒」と言ったと思います。索緒は、糸の最初のところを探るという意味です。

 

それから「洗い屋」という職業があります。古い家屋がある京都では、まだまだ健在です。

「洗い」というだけあって、家一軒から箪笥など、なんでも洗う…という仕事です。

この仕事にも稲穂箒は欠かせないものだそうです。昔ながらの京壁や建具などの掃除には

柔らかすぎず固すぎずのこれが一番いいのだとか。

 

ただのまっすぐな素材より、ジグザグしている小さなでこぼこが、モノを引っかけて拾いやすいので、

小さいものは、例えばパンくずを掃き寄せるなどにも便利です。

今は箒で掃除をすることもなくなりましたし、いろいろな素材が出てきて「静電気」でゴミを集めるとか

新しい箒もたくさんあります。でも、自然素材を相手に使うには、やはり自然素材がいいなぁと

私なんかは思っています。はい、ウチにはフツーの箒もあって、けっこう使っています。

 

余談ですが、江戸時代、旅をするにはわらじでした。

丈夫なものではありますが、長旅では当然紐が切れたりしますから、旅する人は必ず

予備を腰につるして歩きました。そして宿場や途中の茶店には「わらじ」を売っており、

そこで履き替えた人は、履き古したわらじをすぐそばの決まった場所に捨ててゆく…。

捨てられて山になったわらじは、雨が降り、発酵していい肥料になるわけです。

その肥料は、近くの田んぼに撒かれ、またそれで稲ができ、稲刈りがすんだら、

藁束を叩いて柔らかくして、夜なべ仕事にわらじを作る…完全リサイクルですね。

 

さて、稲刈りもすっかり終わったでしょうか。

キレイに晴れた空の下で藁を広げながら、昔、母の実家の広い土間で、

伯父が縄を綯ったりしていたのを思い出していたら、

道行く人に「めずらしいものがありますねぇ」と声を掛けられました。

ほんと…私もこんなにたくさんの藁束を見たのは久しぶりでした。

お米がおいしい季節だわぁ…あ、やっぱり話はそこへゆく…天高くとんぼも肥ゆる秋…。


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2 コメント

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Unknown (陽花)
2015-10-07 11:05:01
いつもお米を分けてもらっているお家も
もうすぐ稲刈りです。
家庭菜園で使うので藁も籾がらも頂いています。
テレビで繭の糸とり見ていたはずなのに気が
つきませんでした。
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Unknown (とんぼ)
2015-10-09 13:19:18
陽花様

おそくなってすみません。
イマドキは、藁束もやたらとない…
そういうご時世なのですね。
お正月のお飾りとか、神棚にとか、
ほんの一束ほしいと思っても、
手芸材料で買わなきゃならないですから。
たくさんもらってびっくりしています。
畑には、霜よけにいいですよね。
私も余ったら細かく切って、鉢植えや庭の木の
根元に撒こうと思います。
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