拓庵思考~妻との日々・映画と音楽の毎日

巴座ホーム社長の私的なつづれ織り【妻にだけ弾くギタリスト 猫6人の父になる】

喝采

2016-04-05 18:40:13 | 日記・エッセイ・コラム

夜の9時をまわっても神田神保町は暖かく....行き交う車のヘッドライトの数も少ない...私と妻の頭の中は感激や嬉しさであふれていた.....

その日は芸人の卵としての息子の最後のライブの夜だった....昼と夜の二公演を観終わり劇場で息子を待つことしばし....いよいよ最後の卒業公演のチケットを渡された。吉本興業は厳しい縦社会なので先輩たちの目を気にしながら神保花月の近くの路地で息子と数十秒会った。

会っていると確かに息子である.....しかし舞台の上にたちライトを浴び拍手喝采をもらっている息子は明らかに芸人である。息子の代のNSC21期生はキャラがたっている芸人がたくさんいる。すごく楽しみである。息子の相方もすごくいいキャラである。私も何回となく劇場に通っているうちに好きな芸人たちが何人か出来た。

ライブの後は妻と感激で満たされている....だからこの夜もそうであったのだ.....私たち夫婦は息子の吉本入りに大賛成した。そして今では、すっかり彼らを応援したりライブを観ることが人生の大切な事柄になっている。妻はひまさえあればNSCのサイトを開き「あっ!今日も写真でてるよ!」と楽しそうに見せてくれる。サイトの中の息子はいつも仲間の中心で笑っている。息子は妻に似て人から好かれ、人気があった.....私のようなクセものではない。

NSC東京の恒例の大ライブで決勝まで残った息子の応援の友人たちはものすごい数だった。残念ながら主席にはなれなかったが会場にいた皆が喝采を送っていた....私も力を込めて拍手喝采をし続けた....親としては言葉にできない感激だった....妻がよく話している『観に来てくださっているお友達やファンのひとりひとりにお礼を申し上げたい』という言葉を私は遅ればせながらかみしめている....本当にそのとうりである.....

そして4月3日卒業公演を迎えた.....そこには自信にあふれた若き芸人たちの思いが形となって観るものたちを感動でつつんでいった....満席の劇場で感激して会場をあとにしたのは私たち夫婦だけではあるまい....感動の喝采が鳴り響く中...すぐ横にいて歌っている息子の姿を直視できず私はずっと舞台を見ていた.....人間とは感動する機能がついた生き物だと思う....本当にこの一年は妻と何回も感激を共有できた....

そして息子はプロの芸人になった。

4月12日~16日 サクラクラシックという舞台に息子たちのコンビ【衝撃デリバリー】が出演する。4月13日はエリック・クラプトンの武道館コンサートの初日である。席はS席を確保できている。だが本年を言えば息子のライブのほうが観たい.....でもクラプトンも70歳を過ぎたのでこれを見納めに行くことにする。スティーブ・ガッドは来るのだろうか....ガッドのドラムはクラプトンのギターより楽しみでもある.....奇しくも武道館と神保町花月は歩いていける距離である....

エリック・クラプトンは私のギター・ヒーローだった....スティーブ・ガッドはドラマーで一番好きな人である....彼らの音楽に魅了されて青春を人生を過ごしてきた。彼らの人生の幕はもうじき下りることになる.....彼らへの鳴り止まぬ喝采とともに.....そして私の中にこんな年齢からときめかせてくれるヒーローが誕生しそうである.....

そう....息子はプロの芸人になった.....

私たちはプロの芸人の親になった......