ミト―からホーチミンへ帰る途中、すごい光景を目撃したとです。
ツアーのオプションで、クチトンネルやメコン川クルーズを楽しんできた後だったので、小さな送迎バスの中では、ほとんどの人が疲れてウトウトしておりました。
私は貪欲なので、意地でもベトナムの風景をこの目に焼き付けねば~と、今にも閉じそうな瞼を必死にこじ開け、窓の外を眺めていたら…
えっ…?!
血?!
エッチではございませんよ。
広い大きな道路の真ん中に、血が飛び散っているではありませんか!
ベトナムはバイク天国です。
二人乗りどころか、三人も四人も、赤ちゃんまでも平気で乗せて、バーバー道路をかっ飛ばしております。
その数はおびただしく、バイク同士はスレッスレで、よく事故が起きないものだとヒヤヒヤしておりました。
しかし、やはり…
どう見ても事故です。
歩道(ていうか隅っこ)に寄せられた車の周りには人だかりができ、血の飛び散った先には、これも数人に囲まれた、バイクにまたがったおじさんが!
渋滞気味とはいえ、走っているバスの中からなので、詳しくはわかりませんが、多分に乗用車とバイクが接触した様子。
怪我はしているけど、バイクのおじさんはもう起き上がっているし、乗用車も破損している感じはナシ。
大きな事故じゃなかったみたい、ああ、良かった。
と、よくよく目を凝らして見たらば…
あれっ?笑ってる…?!
乗用車の周りの人達は、それぞれ立ったりしゃがんだりして、談笑しているし、おじさんはといえば、腕から血を流しながら、バイクにまたがったまま、
くわえタバコで、自分で自分の腕に白っぽい布をグルグルと巻きつけている!!!
考えてもみて下さい。
車にぶつかって血を流している人間が、事故現場で、自分で自分の止血をしてるんです。
平然と落ち着いて。タバコを吸いながら。
しかもそれを皆、フツーに見て…いや、ヨソ向いてるし!
ちょこっと車が擦ったくらいで警察沙汰になる日本とのあまりの違いに、驚いたけれども、同時に、あっぱれ!と感心してしまいました。
以来、小さなことでクヨクヨしてくると、あのおじさんを思い出し、あの素晴らしいパワーを分けてもらっています。
“平気平気、このくらい。大したことじゃないさ。”
≪ベトナム・ホーチミン郊外 2011・7月≫