ティモコのお客様

ようこそ♪ティモコ・ザ・ワールドへ

さよなら、音姫さま

2012年08月30日 13時08分23秒 | ティモコなエッセイ


  ※男性と上品なマダ~ム及びお食事中の方はご遠慮下さい。



ティモコはいい年をして、ウエイトレスの仕事をしています。
ババートレスと呼びたきゃ呼んでよろしい。
お店はでっかいオフィスビル内にあるので、お客様の大半はビルで働くサラリーマンかOLです。
延々立ちっぱなしの仕事なので、最近左の足の裏に魚の目らしきものができ、
これがまた痛いの痛くないのって…
違う方向に行ってしまいました。魚の目はどうでも良かった…いや、どうでも良くはないです。痛いです。

ところで。
女性の皆さんなら『音姫』をご存知ですよね。
公共の女子トイレに設置されている音消しのアレです。
「用を足してる時の音なんて恥ずかしくって他人に聞かれたくないわ~
というデリケートな女心、もしくは「周囲の方へのエチケット」という気配り心を理解し、二度流しという反エコにストップをかけた、画期的な擬音装置であります。
会社のトイレにもありましたが、取り付けが悪かったのか“音姫落下事件”なる
ものがあり、現在は便座横のせせらぎボタンが活躍中。
近年では流水音のアプリまで出ており、今や日本の女子トイレはこれナシには
語れません。
繊細なティモコも(本当です)ありがたく利用させてもらってますが、反面、いつも疑問に思ってしまうのです。

“これって、本当に必要なモノ?”

食って出す。
生物たるものの自然の摂理です。健康に生きている証です。
老いも若きも男も女も、どんなにカッコつけてても、皆出すもん出してるんです。
じゃなきゃお腹がポンポンになって、しまいにゃパーンとなってしまいます。
“私の体は私のためにきちんと働いてくれている
誇らしく思って当然、恥ずかしがるなんて以ての外ではありませんか

とかなんとか常に考えつつも、繊細すぎるあまり(本当ですってば!)その場に
誰も居なくても擬音ボタンに手を伸ばしてしまうワタクシ…
だって誰か来たらイヤだし…って、これはもうある種の病気です。

こんなことでは、いか~んと思っていたある日、休憩中に洗面所でグルーミングをしていたら、顔見知りの受付嬢○○さんが。
「あ、こんにちは~」と○○さん。「じょ~も~(どーも)」とティモコ。
数名いる受付嬢の中でもひと際美しく、知的な感じの漂う品のいいお嬢さま
です。若い頃のティモコにそっくりです。…はい、ごめんなさい。

私は歯磨き中(接客業ですゆえ)だったので、呑気に鏡に向かってシャコシャコ
していましたら、個室に入って行った○○さんの方からすごい音が。


じょばばばばばばばばばばばばばばばばば~んガラガラジャー!!!

…………   

スッキリした○○さんはドアを軽快に閉め、颯爽とティモコの隣に来て、
「今日も暑いですね~」と極上の笑顔で微笑みながら手を洗い、「お先に~」とハイヒールの音をカッカッと響かせながら去って行きました。

ティモコはつい開けっ放しにしてた口から歯磨き粉を垂れ流しながら、鏡の中のスマートな後姿をボー然と見送ってました。

…かかかっ…カッコイイイ~!!!

カッコ良すぎです
彼女は私が歯を磨いているのを目撃してるワケだから、そうすぐには去らないと分かっていたはず。
承知の上の、音姫(ではないが…)なんかにゃ頼らない潔さです

私の彼女への好感度はみるみるアップしこんな当たり前で当然なことを、いちいち気にかけていた自分がたまらなく恥ずかしくなりました

ついここまで読んでしまった優しくてデリケートな女性の皆さん
今こそ勇気を振り絞る時です
さあ、一緒に叫びましょう

さよなら、音姫さま。
今までありがとう。



…な~んて。未だにデパートとか駅とかのトイレに入ると、真っ先に探してしまうティモコなのでした…