2019年度の都立高校一般入試で驚くべき事態が起こった。
◆日比谷高校が2次募集するわけ
まず前提。
都立高校は合格したら、必ず入学する。というルールになっている。
明文化されているわけではないが、区立中学校の先生からも言われただろう。
私立高校が第一志望で都立が第二志望でも構わない。
例えば早稲田実業が第一志望。都立青山高校が第二志望とする。
早稲田実業は2/12が合格発表日なので、早稲田実業に受かっていたら2/22に都立を受けなければ(=欠席すれば)問題ない。
「出願したが受験はしない」というのはOK。
だから私立高校は、都立入試日までに合格発表をするのだ。
しかし、第一志望の私立に受かっていて都立に行くかどうか分からない場合は、原則として都立を受けてはいけない。
または都立に受かったら入学しなければいけない。
都立高校は原則として募集定員分+若干名しか合格者を出さない。
だが日比谷は毎年辞退者が出る。
やむなく定員より多く合格を出しているのだ。2019年度は16名も定員より合格数が多い。
しかし2019年度は21名も辞退者がおり、入学手続きした者は定員より5名少なくなった。
だから2次募集をするはめになったのだ。
なぜこんなに辞退者が出たのか。
理由は2つあると考える。
◆理由1 学習塾のエゴ
ある大手塾では、第一志望の私立・国立(こくりつ)に受かっているのに、出願した日比谷高校の受験を薦めたらしい。
やはり日比谷高校合格の実績は都立の中では別格。いい客寄せパンダになる。
e〇aのように筑駒・開成・日比谷等の最難関校合格を掲げた塾もある。
たしかに「西高校5人」よりも「日比谷高校3人」の方が映えると私も思う。
合格実績を客集めのネタとしか考えていない塾が、ルールを破って中学生・保護者を丸め込み日比谷受験をさせたのだろう。
◆理由2 学芸大附属の暴挙
2019年度から東京学芸大附属高校(以下、附高)は、入学手続き〆切を2/21にした。去年は3/2だったのに。
都立一般入試の前日である。
日比谷が第一志望、附高が第二志望という子も多い。附高に受かった彼らは、いったん附高の入学手続きをする。
しかし、日比谷に受かれば日比谷に行く。神奈川の横浜翠嵐が第一志望の子も同様である。
附高の募集定員は106名。
2018年度は344名の合格者を出していたが、2019年度は160名に激減した。
「例のイジメ問題も風化したし、今年は第一志望が多く受けるだろう」とでも学校関係者は予測したのでしょうか。
だとしたらあほすぎる。
なおうちの塾で附高を受験する子はいない。私が絶対に薦めないからだ(筑附・東工大附属はいます)
そして3/1の都立合格発表日。
日比谷や西に受かった受験生は、次々に附高の入学を辞退する。160名の合格に対し、100名以上辞退したとか。
都立高校は合格後の辞退は許されない。今回のように都立辞退者が出ることで2次募集を実施すれば、人手もカネも必要になる。当然それは都民の税金だ。
なお国立(こくりつ)高校は本来、合格後に辞退しても問題はない。
よって他の国私立高校は多めに合格者を出す。
しかし附高は、高校の説明会で「附高は第一志望の子しか受けないで」ということを言っていた。
ホームページにも「他校の合格等の理由による入学辞退があることは考えてない。」とはっきり書いてある。
なんとのん気なのだろう。誰もが「附高にぜひ入れてください!と思っている」のだと仮定しているのならおめでたい。
受験生は心の中で「都立に落ちたら附高に入るけど、都立受かったらそっちに行く」と思っているのだ。
以下がその全文。
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10 月 6 日(土)に平成 31 年度の生徒募集要項(一般中学生用)(以下、要項と記載)の配付 を開始し、ホームページに公表しました。その後、特に入学手続き完了後のいわゆる「入学辞 退」に関する質問が多く寄せられましたので、改めてご説明いたします。 要項 3 ページの「8. 入学手続き」に、「注意事項 ①入学料が納入された時点で、入学手続 きは完了となります。」とあります。従って、入学料納入後は、要項 4 ページの「9. 入学予定 者オリエンテーションおよび保護者説明会」の「注意事項④」にある「入学手続き完了後、保 護者の転勤にともなう転居等」のやむを得ない事情が生じた場合以外、他校の合格等の理由に よる入学辞退があることは、本校としては考えておりません。
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結果、多くの都立合格者にそっぽを向かれた附高。
あわてて繰り上げ合格を出す事態に。ネットでは「繰り上げ祭り」とも揶揄されていた。
日比谷にも受かっていたが、附高から繰り上げ合格の連絡があったため、ルールを破って日比谷を辞退した者がいたということ。
「家から近い」以外に、日比谷でなく附高を選んだ人はその理由を教えてほしい。本当に。
都立がどん底にあった時の日比谷と、人気のあった頃の附高を比べた大人の意見で決めたなら、恐ろしいことだ。
中高一貫校に途中から入るメリットは、少なくとも大学進学においては1つもない。そう私は考えている。
なお附高は2014年には現役東大合格を32名出したが、2018年は22名。
過去5年間で最低だった。
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