[2024年8月7日 更新]
かつて、中学2年生に「都立高校入試に文法問題はどのくらい出ますか」と聞かれた。
「実際に過去問を見て、自分で確かめなさい」とぶっきらぼうに私は答えて、過去問題集を見せた。
でも内心は「入試傾向を知った上で勉強していこう」という姿勢にひどく感心したものである。
皆さんもぜひ、自分で調べた上で入試傾向をつかんでもらいたい。
その上で、専門家の意見を聞き、自分の考えとのズレを修正しよう。
"調べる&考える"という行動は絶対にしておくべき。「何でも聞いたほうが早い」という思考は捨てること。
何も考えずただ聞くということは、相手の時間を奪っていることに気づくべきだ。
都立に限らず、公立高校の入試問題は前年から大きく変化することは少ない。
都立ではマークシート導入、自由英作文でなくメールの返信を3つの英文で書く形式にここ3~4年で変わった。
都立高校入試では2023年度入試からスピーキングテストを正式活用する。
2022年4月に中3になる学年の子からである。
◆都立の英語長文の語数は
年度 | 大問3 | 大問4 | 計 | 平均点 |
2024 | 630 | 648 | 1278 | 66.9 |
2023 | 613 | 730 | 1343 | 62.8 |
2022 | 639 | 657 | 1296 | 61.1 |
2021 | 557 | 695 | 1252 | 54.1 |
2020 | 553 | 751 | 1304 | 54.7 |
2019 | 571 | 694 | 1265 | 54.4 |
2018 | 438 | 672 | 1110 | 68.0 |
2017 | 406 | 657 | 1063 | 57.8 |
2016 | 472 | 607 | 1079 | 57.4 |
2015 | 452 | 586 | 1038 | 63.4 |
2014 | 438 | 608 | 1046 | 53.7 |
2013 | 481 | 578 | 1059 | 62.3 |
2012 | 511 | 654 | 1165 | 58.1 |
2011 | 396 | 641 | 1037 | 58.9 |
2010 | 392 | 633 | 1025 | 49.9 |
2009 | 386 | 649 | 1035 | 54.2 |
2008 | 448 | 599 | 1047 | 50.8 |
2007 | 447 | 607 | 1054 | 56.0 |
過去18年分の語数(word数)をまとめたものがこの表。
問の選択肢などは数えていない。本文のみの語数である。
かつては大問3と大問4で例年、1050前後の語数だった。
2012年度だけ100語ほど多かったが、2013年には戻っている。
2018年度に1100語を超えたが、問題自体が易しかったため過去最高の平均点を記録した。
そして2019年度、前年の平均点から「2019年度は難化するだろう」という予想通り英語の入試は難しかった。
その一つとして長文の語数が、過去に類を見ないほど増えたのだ。
2022年度以降、大問3は語数600を超えるようになった。
その一方で平均点は上昇。問題が易しくなったという面もあるが、受験生のレベルが上がっていることもあるのだろう。
◆英語長文の語数増はトレンド
しかし、この変化はまったくもって想定内。
高校入試に限らず、大学入試でも長文化は進んでいる。
2019年度センター試験英語の総語数は約4200。かつては4000未満であったが近年は4000語を下回ることはない。
都立英語も2020年度入試は高すぎた平均点を下げる狙いもあり、さらに語数は増え1300語を超えた。
2022年度、大問3の会話文の語数がついに過去最多となる。15年で約1.5倍になった。
リスニングで10分超を使うので、それ以外を解くのには40分弱しかない。
都立高校入試で「読むスピード」は間違いなく必須。
ある市の調査によると、中3の平均読解スピードは48~56 WPM。
WPMとはWords Per Minute の略で、1分間に何語読めるかを数値化したもの。
数が大きいほど「読むのが速い」ということになる。
読むだけなら70 WPM前後にはなるが、「読んで問題を解く」ということになると当然スピードは落ちる。
平均の50 WPMだとすると、都立入試の大問3と4の長文を読むだけで25分かかる。
残り15分で大問2の英文も読み、3つの英作文もやって、さらに大問3と大問4の長文問題も解かねばならない。
「平均のスピードでは、都立入試英語は最後まで終わらない」ことが分かる。
自分のWPMを知りたければ、以下サイトですぐ測定できる。もちろん無料。
中3の現時点で英語長文を読みなれておく必要はない。
だが可能なら教科書以外の英文を読むようにしておきたい。
普通なら頭が英語脳になっていないので、英文を読むときにラグが生じる。
そのラグが出ないように、普段から少しでも読むクセをつけよう。
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