
短縄集会が行われた。
全校児童の入場はとても整然としてよかった。
しかし、周りにいる保護者のざわめきが伝染し、少しずつ騒がしくなる。
騒がしくなると、ちょっとぐらい話してもいいかなという雰囲気が生まれる。
さらにざわついてくる。
しかし、ここから体育主任が静けさにこだわった。
「競技を始めるときに、まず笛で合図します。そうしたら、静かに待ちなさい。」
「選手は、少しでもいい記録をだそうと集中しているのです。」
「こんなに、ざわついていたら、選手の集中がとぎれます。」
記録の挑戦が終わると、56年生が手際よくその記録用紙を集め、ステージに届ける。
ステージの上には集計係の先生方がいて、手際よくコンピュータに打ち込んでいく。
その一連の作業が一段落すると、
「ピッピーっ。」
体育主任の笛の音が体育館に響く。
しかし、ざわつきは消えない。
体育主任は
「笛がなったら、静かにしなさいと言ったではないか。静かにしなさい。」
と言いたい。
しかし、何も言わずステージの上で仁王立ちして待つ。
一部の子ども達は、そんな体育主任を見て考える。
「どうして、次の競技をはじめないのか?」
と。
そして
「そういえば、先ほど、「笛がなったら静かに待つ。』と指示されたことに気付く。
一部の子ども達が、まず静かになる。
それを感じた、その周りの子ども達も雰囲気を察し、静かになる。
動きは鈍いが、しだいに静寂は体育館に広がり、
し~ん
となる。
その瞬間を逃さずに、
「よ~い、ぴ~っ。」
体育主任が始まりの笛を吹く。
これを、何度もしつこく続ける。
「静かにしなさい。」
と、大きな声で怒鳴れば、どんなに楽だろうと体育主任は思う。
しかし、子ども達が考え、学習することを信じて、
体育主任は何度でも、子ども達を試す。
4度だろうか、5度だろうか?
繰り返す内に、子ども達は
笛の音を意識するようになる。
笛の音がすると、潮が引くようにざわつきが消えていく。
すると、それまでうるさかった保護者も考える。
私たちのおしゃべりが、この場に不似合いだと。
上級生が下級生の縄の回数の記録をとる。
心の中で
「引っかかるな。」
「足が、低くなってきたぞ。もう少し高く跳べ!!」
と、一心にアドバイスを送りながら。
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