totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

Y先生は、そう話していた

2010-02-14 16:57:35 | 学級づくり

今年も感動のうちに長縄集会が終わった。

前回紹介したIS先生のクラスが優勝した。私は都合で見られなかったが、いつもはクールなIS先生が涙ぐんだとの話を聞き、やったね!!とうれしく思った。

また、○先生が、526回の跳躍を目の当たりにして、「これはすごい。」「3分間に換算すると・・・・だから・・・。」とインターネットで各種大会の記録を探し、あらためてすごい記録だとおっしゃっていた。

 

さて、私は低学年の部の司会だったので、低学年の部の様子を観察していた。

友達が跳ぶのを応援したり、数えたりして見守る子どもたちの表情。なんと純真な生き生きした顔立ちだろう。


結果発表の際には、「私のクラスが1番でありますように。」と願っている姿が見られ、とってもかわいかった。

 

さて、その中でも私の注目したのはこのクラス(2-2)だ。

このクラスには書写でお邪魔している。1時間の授業を終えるといつも、とてもいい気持ちでクラスを後にする。
思いつきで行う私の拙い指導が、彼らの真剣な食らいつきで、上等な授業に変化させられてしまうのだ。
自分の授業の腕が上がったような錯覚に陥る。

例えば、「星」という字を黒板に書き、そこに上記のような赤丸を書き入れる。

「この字のような文字は、全て同じ大きさの○が入らないといけません。」
と私がいう。
すると彼らは、「星」を書いた後、私のと同じように○を書き入れる。
その○のまん丸なこと・・・・ 
たかが遊びのはずの○なのに、ものすごく丁寧なまん丸なのである。
うかつなことは言えないとこちらの身が引き締まる。

1時間、しーんとして、真剣に一つ一つの字形に挑戦する。
さぞ疲れただろうと思い
「大変だったね。疲れたでしょう?」
と聞くと
「あ~、楽しかった。」
「うん、今日の書写、とっても楽しかった。」
「先生、また来週もきてね~っ。」

そんなクラスなのだ。


2-2は、見事1~3年生の部で、2位になった。

 

この日の放課後、この2-2の担任Y先生が大桑先生と熱く語っていた。おもしろそうだったので、話の輪に勝手に入り込んでみた。

Y先生のクラスは、もともとは全然長縄が跳べなかった。
互いにけんかをしたり、跳べない子を非難したり、昼休みに練習をするはずだったのに来ないで遊んでいる子がいたり....そんな状態だった。

Y先生は、こんなクラス状態では良い記録は出ないと感じた。
Y先生は、子どもたちに
「長縄をやる気があるのか。」
と聞いてみた。
口々に「頑張る。」というものの、それだけでは何も変わらないと感じた。

互いの不満・本音を徹底的に出し合わせ、何か心の大元に揺さぶりをかけたいと考えた。


そこで、長縄について普段思っていることを、ワークシートに書かせ、それを全て読み上げることにした。

Y先生は、おそらく、
「○君はいつもふざけている。」
「△さんは、ぜんぜん練習しない。」
「□さんは、声をださない。」
などの、不平不満がたくさん書かれていると思っていた。

しかし、読み出して見ると、ちがったのだ。

それぞれが、不平・不満があるはずなのに、子どもたちの見ていたものはもっと違う部分だったのだ。

弱い子、下手な子、ずるい子の、それでもその中で頑張っているちょっとしたことをY先生以上によく見ていて、その良い面のみを、指摘しているのだ。


「わたしが引っかかっても、大丈夫?」って言ってくれる。
「頑張っている。」たしかに、どのワークシートにも、良い言葉が載っている。

 

Y先生に、このワークシートの中で一番うれしかったのはどれかと聞いてみた。

Y先生は、このワークシートを選んだ。これは、裏にまでぎっしり思いが書いてある。

拡大してみると...


「あんちゃん」も「かほりさん」もどちらも、長縄は苦手です。
だから「かほりさん」は「あんちゃん」を頼りにしているのです。
他のうまい子に合わせようと思っても、なかなかうまくいきません。でも、目の前で自分と同じぐらいの「あんちゃん」が跳べると、自分もなんだか跳べそうな気がするのです。

とY先生はこのワークシートを見ながら解説する。その辺りの細かいことはよく分からないが、Y先生にも分からない多くの物語があり、それを皆の前で読み上げることで、Y先生にもクラスの子どもたちにもその一人一人の物語が共有できたのだ。

 

その後、長縄のチーム分けを行う話し合いをすると、
「強いチーム、弱いチームにはしない。」
「上手な子が、得意でない子をサポートする。」
「うまいチームがあったとしたら、もう一つのチームの分まで頑張る。」
などの、共通意識ができあがった。

私は、いい記録がでたことはとてもうれしいけれど、この互いの良いところを認め合うシートがもっとうれしい。

Y先生は、そう話していた。

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