totoroの小道

「挑戦することで、きっといいことがある」  http://www.geocities.jp/totoroguide/ 

北風が先か 太陽が先かⅡ

2008-05-21 05:32:26 | 学級づくり

2時間続きの図工の、休み時間のことです。職員室から戻ってくると、なにやら教室の空気が変です。ベランダの出入り口で、なにか言い合っている子ども達がいます。

一人の男の子が、ベランダに出て閉じこもっています。みんなは「早く入ってこい。」と言っています。私は、担任ではないので、子ども達の人間関係が詳しくは分かりません。「ベランダは、出るところではない。すぐに入ってきなさい!」と大きな声でしかるのは簡単です。

「先生に、まかせてごらん。」と集まっている子ども達を席に戻し、私一人窓からベランダに出ます。Aさんの横に座り、Aさんを観察します。涙ぐんでいます。そして、興奮して怒っています。

そこで、「悲しいことがあったんだね。」と聞いてみます。「うん。」とうなずきます。「怒れることもあったんだね。」と聞いてみます。「うん。」とうなずきます。

そして「トランプをぼくが遊んでいたのに、ちくしょう!!あいつら!!。」と私に向かって怒ります。「トランプで遊びたかったんだね。」と相づちを打ちます。「そうだよ。ぼくが一人で、トランプを1から並べて遊んでいたのに、みんなが来て『僕らも使う。』って......。」とさらに怒ります。

「一人で遊びたかったのに、一人でトランプを使えなくなっちゃったんだね。」

どうやら、自分一人でトランプで遊ぼうとしたようです。Aさんにしたら、おれが最初に使い始めたのだから、おれだけで使えばいいのだと思ったようです。それを、他の子達がいっしょに遊び始めたのが怒れたのです。

それも、一理あると思います。

そこで、もう少し聞いてみます。「そのトランプは、Aさんの物なの?」「ちがう。」「クラスみんなで使う物なの?」と聞いてみます。「そうだ。」と答えが返ってきます。

これで、みんなの言い分も、おそらく見当がつきます。みんなの物なのだから、独り占めするなと言いたいのでしょう。

 

もう、授業が始まる時刻です。授業を始めなければなりません。でも、Aさんはこのままでは素直に授業に集中しそうもありません。もう一度確認します。「一人でトランプで遊びたかったんだね。」「うん、1から13までそろえて並べたいんだ。」と答えます。

なるほど、それなら、そんなに時間はかからないだろうと感じます。そこでこうします。

「みんなには、上手に話すから、後ろで安心して一人でカードを並べて遊んでごらん。でも5分だけだよ。5分たったら、片付けて静かにさっと授業に戻っておいで。」

 

授業を始めます。教室の後ろで、Aさんは同じ数字のカードを集め始めます。ものの1~2分もするとカードはきれいに並べたようです。

まだ5分たっていないのに、Aさんが自分の席に戻り、作品作りに取り組み始めます。「先生、ほら、きれいな模様でしょ。」「うん、すごいね。この模様は、模様がきれいだけでなくて、色もよく合ってるよ。ほら、こうして回してみると、色が混ざっておもしろいでしょ。」と話します。タイヤを回しながら、さらにどの色で塗ろうか考えはじめ、次のタイヤに取り組みます。

気がつくと席を離れ、先ほど険悪だった友達のところへ行き、「ここはね、ここにこう通して.....。」と作り方を教え、手伝っています。

仲直りも自分の方から完了できたようです。

 


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