
漢字の宿題指導(3)
漢字の宿題指導について、過去2回私の実践を載せた。
どのクラスでも必ず漢字の宿題が出ている。しかし、膨大な量の宿題を担任は全てを見おおせない。ざっと見て誤字を探し、そのきれいさや、正確さをもとに点数を付けたり、花丸を付けたりしている。
わたしのクラスの子ども達の漢字帳は、おそらくそのどのクラスにも負けない、目を見張るぐらい美しいノートだったと思う。
その理由は、「ていねい」「誤字がない」という2つの観点だけではなく、多くの観点で漢字ノートを評価したからだと思っている。つまり、漢字ノートの評価を、「切る」「分ける」のである。
すると、それまで「誤字がない」ノートとして処理されていたノートが、もっと細かいところを評価し、だめな点はだめと指導されるようになる。指導されればされるほど、文字は正確になり、字は丁寧になる。
昨日助勤に入ったクラスの漢字ノートを写真に撮らせてもらった。私なら、こんなふうに、朱を入れるだろうと思いまとめてみた。
↑こういうノートがあれば、「急ぎすぎです。もっとゆっくり書けば、見違えるようにきれいになる可能性があります。」と朱を入れます。
↑これも、「急いでいます。20分かけて書きなさい。」と書きます。ちょこちょこっと、ものの5分か10分で書いたから、止め、はね、はらいがめちゃくちゃ、線も不安定です。
↑「急いでいます。鉛筆が丸くなっています。鉛筆をしっかり削りなさい。これでは、細かいところが正確に書けません。」
↑「一番下の棒(5画目)のが曲がっています。まっすぐ長く書くと安定します。」
↑「画と画の間に隙間があります。急いだ証拠です。」
↑「くねくねしています。急いでいます。」
↑「しんにょうの形が変です。私の赤鉛筆を3回なぞって練習しなさい。」
↑「はねの向きが違います。書き直して見せなさい。」
↑「変化の変が□からはみ出しています。□から1mm小さい□いっぱいに、ちょうど接するように書きなさい。」
↑「払いがだめ。最後まで気を抜かないこと。」
↑「払いがだめ。急いで書いた証拠です。」
↑「ひらがなも手を抜かない。これでは読めません。」
↑「右下がりになっています。日本の字は、右上がりでないとバランスがとれません。」
↑「ペケ。間違いです。」
↑「害の字が、縦に細長い。□より1mm小さい□いっぱいに、書くときれいです。」
↑「薄くて見えません。」
↑「続け文字はだめ。口がZみたいに見えてしまいます。折れの部分では、一瞬鉛筆を止めて、カクッと折れてしっかり□にしましょう。」
↑「関の1画目、6画目が短いです。下まで長く伸ばしましょう。」
↑「筆圧が弱いので、せんがクニャクニャしています。」
↑「漫画字です。きれいではありません。書写の時間のように、入りや止めを意識してつけるのです。」
↑「漫画字です。もともと上手なのだから、もっと習字みたいに書けば、読みやすくなります。」
そして、このぐらい書いてあれば、「ていねい」と見なします。
このぐらい、くどくどと細かく指摘します。細かく分けて要求することで、自分の何が悪いかが具体的に理解できます。すると、それぞれが癖を変えようと努力します。
こんな指導をすると、教師は時間がかかり苦しいです。
でも、しばらくすると、指摘するところが無いぐらいきれいな文字を書いて来るようになります。
丁寧に書くためには、かなりの時間が必要になります。
それだけ漢字を覚えます。
↓これは、わたしのクラスの漢字ノートです。
ここまでくると、こんな風に朱を入れます。
「クラスで2番目にきれいなノートです。」
すると、必ず休み時間になると私のところにやってきます。
「一番は、だれ。」
「どうすると、一番の人みたいにきれいになれるの?」
時間をかけて、丁寧に書いたノートには愛着があります。
自信もあります。
もっと良くなりたいという、欲があります。
そこをくすぐるのです。
互いにノートを見せ合い、
「私は5番だった。」
「ぼくは3番だよ。いいでしょ!」
と話し合います。
そのうちに、皆のノートを集め、一番から20番までずっと教室に並べて比べます。
そして
「確かに、一番のノートが一番きれいだ~。」
「どれどれ、確かに、こんだけきれいなら、一番だよね。他のノートがかなわない。」
「このぐらい書ければ一番なのね。よ~し、明日は....。」
つまり、まず「切る」「分ける」で一部にしぼって丁寧に学んだら、次は「広げる」「つなげる」で全体を見るのです。そのバランスが大事です。
ところで、こうした評価をしても、どうにもこうにも形が整わない子がいます。
そんな子には、赤鉛筆で、うすくお手本を「3行」書いておき
「今日の宿題だよ。先生の赤の上を、はみ出さないようになぞっておいで。そして、その続きは、それと同じように大きく、ゆっくり続けてごらん。」
と話して帰します。
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