稲核の風穴を訪れた。今年は稲核を含めこのエリアに何度となく足を運んでいる。来るたびに思うのは山々の急さである。冬場ということもあって、梓川右岸は急な山に遮られて、なかなか陽が当たらない。もちろん陽が当たらなければ「寒い」だろうと思って珍しく厚着をしてやってきたが、日影でもそれほど寒さを感じない1日だった。朝から夕方まで、ほぼ1日ここで過ごした。きっと日当たりが悪いから、暮らしている人の中には、ここを嫌う人もいるのかもしれない。そう思わせる原点は、わたしの生家にある。わたしの生家も谷の中にあって、確かに右岸側に家があった。しかし稲核ほど山は接近していなかった。したがって日当たりが悪いとも思わなかったが、この季節になれば午後3時といえば陽が陰った。したがって日当たりの良い今の住処に居を移した際には、日当たりの良さに満足したものだ。しかし、けしてその満足は長くは続かなかった。日当たりが良い反面、「風が強い」。こんなに風の強いところは、これまでの自分の生活ではイメージできなかったもの。やはり、住んでみないと解からないことは多い。
ということで、稲核を歩いてみると、無住の家屋が見られる。町の中でもそうした家はあるし、もちろん農村部にもある。けして珍しいものでもないが、日当たりは障壁になるのだろう。
さて、写真の風穴は、稲核にある風穴群の中でも、突出型である。斜面より石積みが出ているから、わたしはそう呼ぶ。山からの風を利用するから突出型でも同じ効用はあるのだろうが、埋没型より風はどうなんだろう、などと思った。今は屋根がないが、この後修復して風穴として利用されるという。ところで、この斜面を歩けば歩くほどに、山そのものが瓦礫の山、という感じ。石ころにこと欠かない。
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