えん罪をテーマとする弁護士会のイベント「憲法と人権」の準備のためにと調べていたら、
桜井昌司さんが昨年4月に出版されているのを発見。
さっそく、拝読しました。
20歳で逮捕
49歳で仮釈放
64歳で再審無罪
20歳から49歳までの29年間、普通なら働き、結婚し、子どもを育ててという人生の核となる時期、それを奪われる。
刑事に騙されて虚偽の自白をしてしまい、裁判官に何度も裏切られる。
収監中にご両親もお亡くなりになるが、その死に目にも会えない。
無罪判決を獲得するまでに44年、これまでの人生の半分以上がえん罪との戦い。
その悲しみやや怒りはどれほどのものだったでしょう。
でも、この本の桜井さんは、常に明るく、前向きです。
えん罪との戦いの中で人との出会いがあり、刑務所での読書が人生観を作ってくれた。
刑務所の中で叫びたくなる時には、「俺の上には空がある。広い空が広がる。自由な空がある。」と考えて深呼吸した。
恨みではなく、感謝にあふれています。
桜井さん作詞、作曲の歌はこれまでに何度か聞いたことがありましたが、この本にも桜井さんの詩がいくつも掲載されています。
桜井さんの詩は知的で洗練されているけど、とても優しく、温かく、寄り添ってくれます。
これらの詩が、桜井さんの人生を何よりも語ってくれています。
(私は子どものころから詩を書くのが大苦手でした。自分の内面を出すことが恥ずかしくて、とても文章になどできませんでした。それは今も変わりません。)
優しい気持ちにしてくれる本です。ぜひ、読んでみて下さい。