京都コングレスは3月12日(金)に閉幕しました。
新型コロナウィルスの感染者を出すことなく6日間の日程が終わったようです。
多くのサイドイベントがあり、とても興味を惹かれたのですが、スケジュールの都合で参加できずとても残念でした。
しかし、参加した3つのサイドイベントはいずれもとても有意義で、面白いものでした。
死刑廃止、被害者支援の両サイドイベントでの海外スピーカーがいずれも、EUとオーストラリアからであったということも、何か示唆するものがあるように感じました。
EU、オーストラリアはいずれも死刑廃止国です。
そして、いずれの国・地域も、被害者支援の面でも世界をリードしています。
日本で、死刑廃止を言うと、被害者はどうなるんだ!遺族の気持ちを考えたら死刑廃止なんてありえない!と強い反発があります。
死刑廃止と被害者支援は対立する、相反する考えだと捉えられている面があります。
しかし、EUやオーストラリアでは、死刑も廃止され、被害者支援も先進的で充実しています。
死刑廃止と被害者保護、被害者支援は決して対立するものではなく、重要な人権課題として両立するものであることを、京都コングレスのサイドイベントが象徴しているものと感じました。
カルロス・ゴーン氏の事件を受けて、取調べに弁護士の立会いが認められない、長期の身体拘束、接見禁止、人質司法など、日本の刑事司法が国際的に批判されています。
これに対して、法務省としては、その火消しに躍起になっており、京都コングレスでもあちこちでそういう場面が見られました。
京都コングレスのための日本政府意見書のパンフにわざわざコラムが追記されていました。
しかし、世界中の刑事司法分野の専門家が、犯罪防止・刑事司法分野の諸課題について議論しつつ、その知見を共有し、コミュニケーションを図ることで,様々な分野における国際協力を促進し,より安全な世界を目指して協働するという目的を真に達成しようと思うのであれば、自らの刑事司法制度を謙虚にとらえ、内外の意見に耳を傾け、諸外国の制度に学ぶ姿勢が何よりも重要だろうと思います。
京都コングレスが、これからの刑事司法にとって意味のあるものとするため、ここに集まった多くの知見を現実の刑事司法制度の取り入れ、実践していくことが必要であり、弁護士会、弁護士もその一助を担っていく立場にあります。
死刑廃止、被害者支援、取調べの立会い、逮捕段階の被疑者国選など、京都コングレスを契機として、日本の刑事司法制度が改善、発展していくことを願うとともに、私もそこで働きたいと思います。
京都コングレスを受けて、2021.3.13、日弁連は、国際弁護士連盟(UIA)および駐日欧州連合代表部とともに、"Joint Message to Aim for the Abolishment of the Death Penalty in All Countries and Regions of the World" (世界のあらゆる国と地域での死刑廃止を目指す共同メッセージ)を発表しました。
日本において死刑制度廃止に向けての流れは着実に進み始めており、いずれ廃止されるでしょう。
これからは日本の死刑廃止ではなく、世界のあらゆる国と地域での死刑廃止のため取り組んでいくべき時代になりました。