介護で苦労を背負う人とそうじゃない人

高齢の認知症の母親をひとりでみている男の人がいる。

彼の兄は私の元カレの友達。
彼の義姉さんは私の高校のクラスメイト。
高校生の頃はよくＷデートをした。


母が老健にいた頃、新しい入所者さんの
名字を目にし、余りないものだったので気になった。
その女性に付き添う息子さんを見たときに
私の知ってる人の兄弟だと確信した。

「〇〇さん、お兄さんは〇〇さんじゃないですか？」

「はい、そうです。」

と会話が始まった。
聞けばお兄さんが全く介護に協力してくれないという。
義姉さん（私のクラスメイト）も全く無視するのだと。

二人の結婚式以来だから私は30年会っていない。
ま、どちらかというと面倒なことを嫌うタイプだった彼女・・・


縋るような気持ちだったのだろう。
私に二人に話をしてみてくれないかと言ってきた。
よそ様の介護問題に口を出したところで上手くいくわけもないのだが・・・
弟さんのキモチは何も言わずに連絡を取った。
会話の中で義母さんのことは全く眼中にない感じで
それは、夫（兄）も同じだった。
お金がないと言いながら、
自分の家を持ち、子供も私立に通わせている。
実家の隣に家を建てたらしい。

弟さんに申し訳ないけど私の力では何もしてあげることはできないと伝えた。
お兄さんの気持ちを変えることはできないけど、
今現在、介護にかかる費用をせめて少なくする方法（世帯分離や限度額の申請など）
と3か月を素直に受け入れていたので、老健に少しでも長くいられる裏技を教えた。


うちの母が老健を退所し入院など繰り返し日々が過ぎた。
もう５年の時が流れていた。


今日、いきなり彼から電話があった。



相変わらず、一人でお母さんをみている。
教えてもらった通りに世帯分離をして少し楽になったと
お母さんの年金は知れている、足りないものを補てんするけど
全く足りない。自分も食べていかないといけない。
付き合っていた彼女がいたけど介護が始まって
お金も時間もないから結婚もできず、別れたと。
お兄さんも相変わらずで、もう諦めたと
次に会うときには母親と別れるときだろうと・・・


介護は人とお金だ。
親が貯蓄でもしていれば子供の負担は少なくて済むし
精神的にも楽だと思う。
兄弟が協力してくれれば、体の負担が減る。


「聞くことしかできないけど、いつでも電話かけてきて」

私自身、友達に恵まれていて良く愚痴をきいてもらったから
とても気持ちが楽になった。


同じ兄弟でも違うんだな・・・