【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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会社に課税される税金の事務作業(会社を設立したら直ちに作業開始!)

2015-08-25 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社を設立した瞬間から様々な税金が課税されます。会社に課税される税金のほとんどが、いわゆる「申告納税制」ですので、会社を設立したならば「申告」するための事務作業を始めなければなりません。また、申告納税制においては、税務関連役所は申告の義務を連絡はしてくれません。申告納税制においては、納税者自身で申告の義務を認識しなければならないのです。税務関連役所が連絡してくるのは、申告の義務を果たすべき期限が過ぎてからです。

申告納税制においては納税者の甘えは許されません。「知らなかったから(役所が連絡してくれなかったから)」は通用しないのです。以下において、会社を設立して事業を開始した人を対象に、会社に課税される税金の事務作業の説明をさせていただきます。参考にしていただければ幸いです。

■法人税

会社が儲かれば、法人税(国税)、事業税(都道府県税)、都道府県民税、市町村民税が課税されます(ここでは、まとめて法人税といいます)。ここでの「儲け」とは「利益」のことです。利益は「収益-費用」として計算されます。会社は自ら利益を計算しなければなりません。この計算作業は決算と呼ばれ、事業年度という1年ごとの単位で行います。

決算作業をするには、収益と費用を集計するための記帳(帳簿作成)という作業を常日頃からしておかなければなりません。この作業が大変です。預金通帳や領収書などの基礎資料の整理保存は当然として、複式簿記という専門的知識が必要な事務作業が必要となります。

会社は法人税が課税されなくても申告をしなければなりません。要するに、「儲かっていないこと=利益が生じていないこと」も申告をしなければならないのです。このことを知らない人が少なからずいます。ご注意ください!

■消費税

会社は消費税(国税および地方税)を納めなければなりません(売上規模と設立後の年数によって納税義務が免除される場合があります)。会社は販売の際に消費税を受け取り、仕入や諸経費を支払う際に消費税を支払います。会社が税務署に納める消費税は、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた額です。消費税も法人税と同様、原則として事業年度ごとに自ら計算して申告と納税を行います。

税務署に納める消費税の計算は、法人税の課税の対象である利益の計算と並行して行います。受け取った消費税は売上をはじめとする収益から計算します。(収益を消費税込で把握している場合には収益の8(消費税率)/108(税込価格)となります。) 支払った消費税は仕入をはじめとする費用から計算します。(費用を消費税込で把握している場合には、集計した費用合計の8/108となります。)ただし、すべての収益と費用が消費税の課税対象となるわけではないので対象外の収益や費用は除外しておく必要があります(例えば、給料や利息には消費税は課税されません)。また、収益や費用以外にも消費税の課税対象となるものがあるので注意が必要です(例えば、設備投資に際しては消費税を支払いますが設備投資の全額が費用とはなりません)。

■源泉徴収

会社には源泉徴収義務というものがあります。この義務は、会社がその役員や従業員に給与(給料、賞与など)を支払う際に所得税(国税)を源泉徴収し(天引きし)、それを税務署に納めるというものです。なお、源泉徴収同様、役員や従業員の住民税(都道府県民税と市町村民税)も天引きし市町村役所に納めなければなりません(都道府県民税も市町村役所に納める)。

■固定資産税、自動車税、印紙税

これらは個人(すべての個人)と同じです。会社として不動産を所有していれば固定資産税が、自動車を所有していれば自動車税が、一定の契約書を作成すれば印紙税が、それぞれ課税されます。

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★設立届を速やかに提出する
会社の税金に関する事務作業が遅れ、最悪の場合、申告が期限に間に合わない人の共通点は、設立届を提出していないということです。設立届を提出しておけば、税務関連役所から申告などに関する連絡が送られてきます。ですから、設立届は必ず提出してください!