宮古島への地上発射型迎撃ミサイルパトリオット
(PAC3)の配備に反対する声明
朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」という)が「人工衛星」打ち上げのロケットを、12月10日から22日の間に発射すると発表しました。北朝鮮が本年4月に続いて今回も発射を計画していることは、世界の強い批判と懸念の声を全く無視するもので到底許されるものではありません。
北朝鮮の発射計画は、2009年6月12日の国連安全保障理事会決議1874号に違反するものです。同決議は2009年5月25日に実施された北朝鮮の核実験を強く非難するとともに「北
朝鮮に対し、いかなる核実験又は弾道ミサイル技術を使用した発射もこれ以上実施しないことを要求する」と述べています。すなわち、「人工衛星」であろうが、「弾道ミサイル技術を使用した
発射」の中止を求めているものです。
北朝鮮は、国連安保理決議を遵守し、国際社会の責任ある一員としての道を進み、直ちに発射計画を中止するよう強く求めるものです。
同時に、同決議は各国に「緊張を悪化させるおそれのあるいかなる行動も差し控えること」と「事態の平和的、外交的かつ政治的解決を図ること」を求めています。これは、「ミサイル発射に対して軍事的対応をしない」ように各国が対応しなければならないことです。
ところが日本政府は、このロケットを迎撃するために地上発射型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)を沖縄島2箇所、宮古島、石垣島の4箇所に配備し、迎撃ミサイルを装備したイージス艦を海上に配備しました。これは、まさに安保理決議に反する「軍事的対応」そのものであり、政府の対応は直ちにやめるべきです。
イージス艦が打ちもらしたミサイルを地上で迎撃するPAC3の性能は射程距離が20キロしかなく、ロケットの発射失敗や事故によってその一部が、どこにいつ落下することを予測することは困難であり、迎撃は難しいと専門家も指摘しています。「万全な対応」にはならないことは明確です。「万全な対応」をとるのは、軍事的対応ではなく、国連安保理決議にあるように、「平和的、外交的かつ政治的解決を図ること」しかありません。
政府は、「ミサイルの脅威」や危機感を煽り国民に不安を抱かせることなく、外交努力を尽くし、冷静な対応をすべきです。 さらに、陸上自衛隊は、本年の4月と同様に、調整連絡を任務とす
る自衛隊員を市役所に配置するとしていますが、私たちがその時抗議したように、市役所を軍事的に利用すべきではありません。
こうした自衛隊の動きは、南西諸島への自衛隊増強の「地ならし」と戦時体制作りの軍事訓練のねらいがあると言わざるをえません。
次世代に平和な宮古島を継ぐことを希求する私たちは、このような地上発射型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)の配備に断固として反対し、政府がただちに計画を中止することを求めるものです。
2012年12月7日
宮古平和運動連絡協議会
共同代表 星野 勉
上地 照子