衆院選:「国防軍」戸惑う与那国
2012年12月11日 沖縄タイムス
ミサイル発射に備え、待機する自衛官=10日正午すぎ、与那国町立児童生徒交流センター
【与那国】衆院選の公約で、自衛隊の「国防軍」への改称、集団的自衛権の行使など、憲法の枠を超える主張が目立っている。自衛隊誘致に揺れる与那国町。推進派の町長も含め、強硬路線には戸惑いを隠せない。(阿部岳)
「『軍』には違和感がある。ついていけない」。外間守吉町長は言い切った。「沖縄戦を経験した沖縄の人間として、軍命、総動員とくれば行政が成り立たないことは知っている」
自衛隊誘致の旗振り役を務め、「呼ぶのはあくまで専守防衛の自衛隊」と、住民を説得してきた。「軍が来たら、反対派に『案の定』と言われるでしょう。軍になるなら出て行けとも言えないし…。困ったね」とぼやく。
外間町長自身、国防軍化を掲げる自民党の党員だが、急な選挙で党から公約の説明を受ける場もなく「降って湧いたような話」という。県内の自民党公認4氏も、慎重な姿勢を見せている。集団的自衛権の行使容認は国外で戦闘に加わる可能性があり、自民と日本維新の会が公約している。
「日本軍の所が真っ先にやられたんだよ」。77歳になる前盛桂子さんは振り返る。戦時中、島の最高峰、宇良部岳で監視台作りに駆り出された。戦後67年たって、今度は自衛隊が沿岸監視部隊を置こうとしている。「兵隊じゃなくて自衛隊が来ると思っていたけど、やっぱり兵隊なの? 戦争の準備は怖いねえ」
その宇良部岳のふもとの町立施設に、北朝鮮のミサイルに備えて自衛官約40人が派遣されている。国防軍構想をどう思うか。ある自衛官は「実態は軍なのに、ごまかしがある。本来の名前に戻るだけ」と受け止めている。
戦後、警察予備隊の名で発足した自衛隊は、歩兵を普通科、砲兵を特科と言い換えるなど、軍事色を薄めてきた。軍になればその努力も必要がなくなり、軍法会議の設置も想定される。この自衛官は「一番は、精神的な違いではないか」と話した。
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いちばん近いのは天皇の軍隊「神軍」だろうか。あのアメリカでも「国防」軍である。去年の自衛隊の音楽隊が来た時、自衛隊は軍隊っではない、と言い張って抗議を受けつけなかった校長がいた(普)