50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

パチパチパチ。手を叩く春子がいて、何かしら・・・

2016-02-20 11:04:16 | 小説
パチパチパチ。手を叩く春子がいて、何かしらひんやりと背筋に下がる。幸男は股に幼い鼓動のような居心地の、背筋の恥じらいを忘れさせる肌ざわりを感じている。何も幸男らの日常を理恵は壊したいわけでないだろう。そんな思いを強く抱く時、「チビが悪い犬たちに勝ちました。皆で力をあわせたからです。いつもなかよくしていたから」とテレビの声を無意識的に耳にする。幸男は今日のあの夏子から、頭の隅でうずくまる一種の悔しさを残している。
「話さなければこっちが危なくなる」

(「おしのび」つづく)