50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「ただいまあ」

2016-02-25 20:23:58 | 小説
「ただいまあ」
と道江の声が表のドアの音から始まっている。「今日はお魚が安かった。大きい鯛よお、あなた」
「鯛」
幸男は寝た両足に勢いをつけて、すっくと立ちあがる。テレビの前で動かない春子がいる。

(「おしのび」つづく)