観光客は普通、空港から船でまっすぐここにくるらしい。広場の横の船着場にはあの有名な両端をつまみ上げたような真っ黒なゴンドラやお客さんはみな立ったままの水上バス、小ぶりな水上タクシーとさまざまなボートが集まっていた。
死んだ街なんてとんでもない。今なお世界中からこのヴェニスを見たくって人々が集まる町なのだった。
広場にあるドウオモの中に入り高い高い天井の絵を見上げると後ろに倒れそうになる。
さすがに歩きつかれたのでサンマルコ広場でベンチに座って休憩する。
ちょうどお昼時なのか遠足できている子供たち(といっても、イタリア人やらアメリカ人やら、中学生か高校生か見分けはつかないが)も階段に座り込んでお弁当のパンを食べている。
我々 も朝食 時に余分めにもらっ と いたパンとチーズとペットボトルの水で軽い昼食にする。
いろんな肌の色いろんな顔の子供たちがふざけながら楽しそうに食べている様子を見ているとこちらまで楽しくなり穏やかな時間が流れていった。
4時ごろホテルに引き上げる。お風呂に入って休憩してテレビを見ながらラウラさんを待っていると、約束より早く迎えに来てくれた。
イタリアだからまあ約束の時間の30分は遅れるだろうと部屋でテレビを見ていたら7時15分前だった。
「時間に正確ですね?」と聞いたら、「時間にルーズなのは、南部の人たちです。北部では時間は守ります」という返事、イタリアといっても、一枚岩ではない様子。
ベニスのレストランだというので、「また行くの?」と思ったが顔には出さなかった。今度はバスでベニスまで行く。
バスを降りてから又徒歩で、リアルト橋を渡り彼女がベニス大学に通っていたとき下宿していたアパートや、ベニスで一番由緒あるホテルの案内を聞きながらレストランに着いた。
外から店を覗いても入り口は5メートル幅のガラス張りで高いレジしか見えないがその奥から左の部屋に入るとずっと広く奥まであるテーブルはお客さんでいっぱいだった。
「ここは地元の人しか来ない、お いしくて 高くない店です。」
天井は高く明るく清潔でシンプルな造りの店内でさあ食べるぞと気張って生ハム、モッツァレラチーズとトマト、前菜もう1皿、ニョッキ、4種のチーズのピザ、ハム のピザ、を頼んだ。が量が多すぎて、頑張ってもピザは半分しか食べられない。おいしいだけに残念だった。料金は、1皿1000円見当で安かった。
しゃべりながら食べるしゃべりながら食べる。私も神戸のおばちゃんだからよくしゃべるほうだが、若いイタリア人のラウラ嬢も負けずにしゃべる。勿論日本語で。
「私はワインもコーヒーも飲みません。だから日本に行ったとき、お店に入ればすぐコップの水が出てくる。ただで。とってもいい国です」
ヴェネチア大学日本語学科で習った日本語は流暢で、なのに我々のために伊日辞典まで持ってきてテーブルの上に置き言葉に詰まるとすぐ辞書を引く彼女は勉強家の優等生なのであろう。
日本語のみならず、ドイツ語フランス語、スペインには1年間住んでいたからもちろん、職場はアメリカ系の会社なので一日中英語で暮らし家に帰って夫とイタリア語を使うという。5本の指で足りない言語を使うというのだ。私の持っていたイタリア人とはえらい、イメージが違う。イタリア人って、陽気でみんなワインを水代わりに飲む人種だとばかり思っていたのに、、、、。
ミラノの北で育った彼女は、イタリア南部(つまり、私が持っていたイタリア人のイメージ、ええかげんかマフィアか)を明らかに嫌っていました。別の国の人たちですとさえ、言っていました。
好奇心大せいな人生の歩み方だからこんな異国の旅行者にも、興味を持ってくれたのかなと、なんの取柄も無い私は彼女と知り合えたことに感謝する。
とくに、これから社会に出ようとする息子にはすばらしい刺激になってくれたと思う。彼女は、日本語を学ぶためにこのヴェネチア大学に来、ヴェネチア生まれのご主人と去年の春結婚し、日本に1ヶ月新婚旅行に行ってきたという日本通である。桜をみるために日本に行きました。今度もう一度行く機会があれば是非もみじの季節に行きたいです。
「じゃあクロサワやミフネもお好き?」というと、「カネシロタケシが好きです。」「カネシロ?」
「本は三島ですか?塩野七生はご存知?」というと「吉本ばななが好き、彼女がヴェネチア大学に来たとき会いました。」
「金城武」も「吉本ばなな」も我々は、名前だけしか知りません。 興味の対象は世代のギャップをうめることができない。
それでも、頑張って話していると、ダンテの「神曲」に話題がうつり、こちらでは、中学生になると「神曲」の詩を暗誦できます。その詩は街のあちこちで見掛けますとのこと。
ダンテの「神曲」??確かロダンの彫刻「考える人」が地獄の門の一部であったよなぁ?もっと勉強してからくればよかったとちょっと後悔しました。
そんな中々充実した食事の後、ライトアップされたサンマルコ広場を案内してくれた。
ヴェネチアだけは、とっても治安がいいのです。特に夜は、夜中までお店も広場も電気を点けて美しいです。
でも、このロマンチックな散歩を楽しめるのは、高いホテルに泊まっている人だけなんですよ。
だって車の入れないこの町は、遅くなると帰る足がないですから、、、。
確かに、サンマルコ広場周辺は、遅い時間にもかかわらず、ゆったりと食後の散歩を楽しむ人たちが行き来していました。
われわれは、彼女のおかげで、もうけものの夜の優雅な散歩を楽しみました。
そして町の端の唯一のパーキングに迎えに来てくれた御主人の車でホテルまで送ってもらった。
そこで、自分達が飲むために、トランクに入れて日本から持ってきた、2リットル入りのお茶のペットボトルを2本進呈すると、
「大好きです。これはこちらに売っていません。」と大喜びしていただいた。部屋に帰ると12時過ぎだった。
おわり。
追記
これで、終わりますが、ツトム君がイタリア旅行の写真を送ってくれました。
夜の街と仮面をつけたお嬢さんの写真です。
確かに街中の至る所に仮面を売っていました。旅行の時は知らなかったのですが、一時衰退したこの街は12世紀ごろから18世紀ごろにこの街で行われていた「仮面のお祭り」を1979年から復活したことが町興しになったようです。
2月下旬から3月初めに2週間かけて行われるカーニバルは年々盛んになり、国外からも
仮装大会出場のため、衣装をつくり、工夫をこらして、参加されているそうです。
まあ、ディズニーランドの拡大バージョンなんじゃあないですか。
真面目なラウラさんは、そのことは、全く教えてくれませんでした。
ツトム君の写真追加・・説明はコメントでくださるそうです。よろしく。
フィレンツェ風Tボーン
ラフランスサラダ
マリゲリータ
メディチ家のお城
フィレンツェの街並み
夜のドゥオーモと街並み
アルテミオ・フランキサッカー場
皆様はいっぱい心のこもったチョコをいただいておられるでしょう。でも日頃のお礼に管理者からです。受け取ってくださいね。