某掲示板で、たいへん簡素でわかりやすい記事へのリンクを見つけたので。
http://www.asahi.com/international/update/0330/TKY201103300512_01.html
福島第一では、地震発生から津波到達までの1時間はディーゼル発電機で、
その後8時間はバッテリーを使用して冷却系を稼動させていたわけだから、
当初9時間は原子炉の健全性は保たれていたと思われる。
その後、予備電力を使い果たして冷却系が停止→
核燃料の温度が上昇→炉心の水が蒸発→燃料が露出し始めるまで、
最大限に見積もって約3~4時間だろうか。
つまり地震発生からほぼ12時間後辺りから、危機的な状況が始まったと思われる。
翌12日の朝にはすでに燃料棒露出→被覆管損傷→水素発生、
昼前には燃料露出→溶融と事態の悪化が進んでいたと思われる。
ちなみに菅直人首相が福島第一原発を視察したのが、まさにこの12日の朝。
原発の安全性をアピールしたかったんでしょうけどね。
そこで「今それどころじゃないんです!」と言わない東電もねえ~
そうすると地震発生から24時間後の12日午後~夜あたりで、
ここの過去記事に書いたような、
被覆管が溶けて露出した核燃料が原子炉圧力容器の底に沈む→制御棒から離れる→
さらに溶けた燃料が集積→一定密度を超過→局所的に再臨界→圧力容器の底が損傷する
という最悪のシナリオが進行していたのかも。
実際はこの辺りから海水の注入が始まっていたはずなので、
大量の水蒸気発生→炉心内圧力増大→圧力開放弁から放射能拡散とか、
格納容器の圧力増大→圧力調整室破損とか、
最近の高濃度汚染水ダダ漏れに繋がる現象が起こっていたわけだ。
しかし、もしここで海水が注入されていなければ、
原子炉圧力容器溶解(フルメルトダウン)→水蒸気爆発→核燃料爆散×3発
それに加えて、使用済み核燃料プールの水蒸発→(原子炉と同じルート経由)→
使用済み核燃料爆散×4発(最悪6発)で、
完全にチェルノブイリ超えしていたわけで。
ここで原子炉の水蒸気爆発と、原爆水爆等の核爆発の違いを述べておくと、
前者では核燃料がばら撒かれるのに対して、
後者は火薬を使って爆縮させることで、一瞬のうちに核燃料を燃やし尽くす。
つまり、原爆として一瞬で放出されるはずの熱線を、
じわじわと継続して放出させるための装置が原子炉なわけ。
もっとも、用途が違うので燃料の質も中味も別物ではあるのだが。
繰り返しになるが、ワタシが今こうやってあれこれ御託を並べていられるのは、
自衛隊と東京消防庁ハイパーレスキューが決死の注水作業を決行し、
その後も各地の消防署ならびに米軍の応援によって、
注水冷却作業が続行されているからである。
本来なら、冷却と放熱を繰り返す循環冷却であるべきだが、
それが可能になるまでは、現在の「冷水掛け流し作戦」を続けるしかない。
核燃料が溶け込んだ汚染水が流出するのは必然だが、
それが爆散によって空気中に撒き散らされるよりは、
人体への悪影響は軽減される。
原子炉上空の大気流れを止めることは出来ないが、汚染水は貯蔵出来る。
海への流出は止められないだろうが、ある程度は抑制できる。
局所再臨界も、温度が下がれば新たな燃料の沈殿が収まって、やがて収束する。
尚、「廃炉」についてだが、1号機と2号機はともかく、
3号機のフルサーマル用MOX燃料については、
まだ処分法が確立されていないことは以前の記事でも述べた。
つまり廃炉に数十年を要するというのは、
その研究開発期間を含んでいると思ったほうがいい。