今回は常磐道を南下、富岡から川内を抜けて、滝根〜平田西まであぶくま高原道路。 約2時間半で棚倉町に到着。といっても鐘鋳神社は浅川駅のすぐ近く
一色鐘鋳神社(棚倉町)
石工:小林和平
建立年:昭和9年(1934年)
棚倉町一色は和平さんの妻ナカさんの生まれ故郷。石川町の石都々古和気神社(昭和5年)、古殿町の古殿八幡神社(昭和7年)に続く飛翔獅子で「和平の三大狛犬」。
阿形の狛犬は筋骨隆々で威厳のある顔、尾はくるくると渦巻き、大輪の花も。吽形の狛犬には2頭の子獅子が寄り添っている。
杉木立の中にある神社はひっそりとしていて、鳥居も灯篭も狛犬もみんな苔むしている。今日は日ざしがあって暖かいはずなのに、ここは空気がひんやり… 顔に日が当たって、まぶしいよ!とでも言っているような可愛らしい子獅子だった。
八槻都々古別神社(棚倉町)
御祭神:日本武尊、味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)
石工:小松利平(留蔵、力蔵)
建立年:天保11年(1840年)
厳かな雰囲気の奥州一宮 八槻都々古別神社。境内には、銘は刻まれていないが小松利平がつくったと推定される狛犬が奉納されている。
石段の上に台石が二段、その上に猫脚に支えられた台座と狛犬がのっている。阿形の狛犬の表情は凜々しい。吽形の狛犬の表情は優しく、じゃれついて母獅子を見上げている子獅子が可愛らしい。
熊野神社(鮫川村)
石工:小松寅吉
建立年:明治31年(1898年)
熊野神社は田んぼに面した静かな山の中にある。案内板がなかったらたどり着けないような…
川田神社に続き、寅吉2作目の飛翔獅子。この後、村社鹿島神社で飛翔スタイルが完成される。小松寅吉の三大飛翔獅子の一つ。
阿形の狛犬の目力の強さ、今時のモデルさんみたいに顔は少し小さめ。吽形の狛犬には乳房がついている。2頭の子獅子は親獅子に寄り添いながらじゃれあって楽しそうな笑顔。
あたりは樹齢何百年というような大きな杉木立で囲まれ、苔むした灯篭と狛犬たちも静かに時間を刻んでいるよう…
八幡神社(鮫川村)
御祭神:誉田別命(ほんだわけのみこと)
石工:野田平業
建立年:年代不明
道路から見上げるように鳥居が建てられ、その手前に一対のどっしりとした狛犬。野田平業の最高傑作。
阿形の狛犬は口を大きく開けて勇ましい表情、足元まで尾が流れている。やんちゃそうな顔をしている子獅子だから父獅子と一緒にいるの? 吽形の狛犬の足元には見事な透かし彫りの毬。中はくり抜かれ、その中に玉が入っている。玉をつつくとコロコロと動いてビックリ!
鳥居から山の上の方に伸びている急な長い石段を上ると、建て替えたばかりなのか総ガラス張りのきれいな社殿が鎮座していた。
古殿八幡神社(古殿町)
御祭神:誉田別命
石工:小林和平
建立年:昭和7年(1932年)
源頼義が東蝦夷追討の際に祈誓したことに由来して1064年に建立された。
阿形の狛犬は後ろ足を蹴り上げ雲の上に乗っている飛翔獅子、尾は渦巻き状で背中まで伸びている。大輪の牡丹が華やか。
吽形の狛犬は優しい表情、母獅子の胸元に一頭と顔の脇にもう一頭の子獅子が寄り添っている。子獅子も雲に乗り花をくわえて何やら得意げな表情。
随身門には随身像と狛犬が安置されている。見上げるくらい大きな灯篭の間を通って階段を上ると灯りのともった立派な社殿があり、壁面に流鏑馬の弓が奉納されていた。
石都々古和気神社(石川町)
石工:小林和平、大竹俊吉
建立年:昭和14年(1939年)
石都々古和気神社の南側を流れる北須川の橋を渡ったところに御仮屋があり、一対の狛犬が奉納されている。
阿形の狛犬は筋骨隆々、吽形の狛犬の足下には玉遊びをする子獅子。
石工:小林和平
建立年:昭和5年(1930年)
阿形の狛犬は躍動感あふれる力強い飛翔獅子、後ろ足を蹴り上げ雲に乗っている。吽形の狛犬は母獅子と三頭の子獅子たち。母獅子の足元にじゃれあう二頭の子獅子、顔の横に笑顔の子獅子。母獅子が三頭の子獅子を優しく見守っている。
小松利平:棚倉の八槻都々古別神社
小松寅吉:中島の川田神社、鮫川の熊野神社、そして白河の村社鹿島神社
小林和平:石川の石都々古和気神社、棚倉の棚倉八幡神社、そして一色鐘鋳神社
昭和に入って野田平業:白河の湖南神社、鮫川の八幡神社
石工の方々それぞれの人生があって、個性豊かな素晴らしい狛犬たちが生まれて…
県南がもう少し近かったら、私はもっとたくさんの神社の狛犬たちに会いたくて巡り歩くんだろうなと思う…