ブログ書く順番が前後してしもうたが、3日ほど前の事、渋谷区立松濤美術館「エドワード・ゴーリーを巡る旅」を観たのでございます。
https://shoto-museum.jp/exhibitions/199gorey/
(展示室以外は写真撮影可)
ゴーリー展は、2018年に八王子市夢美術館、2019年に練馬区立美術館でも観ておるが、また原画が観られるとあっては観逃す訳にはいかぬのじゃ。
原画はほぼ全て、印刷する絵本と同じ小さなサイズで描かれており、細いペン先と黒インクのたいそう緻密な描線や、インテリアや衣装や、奇妙な生き物が大好きなのでございます。
韻を踏んだ翻訳もツボなれど、物語は救いのない陰惨なものが多く、子供の頃に読んでおったらトラウマになっていたやも知れぬ。
本展は、ゴーリーハウスで開催されてきた企画展から、「子供」「不思議な生き物」「舞台芸術」などのテーマを軸に、約250点の展示。
作品と松濤美術館の展示空間も、たいそう相性良うござります
構成は以下の通り。気になった作品もリスト順に。
前期・後期で一部展示替えがあり、今は後期じゃよ。
まずは地下の第1会場からじゃ。
【Ⅰ章:ゴーリーと子供】
《ひよこ》
5歳くらいの子供時代のドローイング(鉛筆、色鉛筆、紙)で、とっても可愛い。
他に、青年時代のドローイングもございました。
『不幸な子供』
救いのない絵本で真っ先に浮かぶのがこちら。
少女シャーロットに『小公女』めいた不幸が続き、最後は救われるかと思いきや・・・よよ。
原画は25点展示され、壁紙やカーテンや家具など部屋の描写や、ファッションがツボ。
地下ホールの、『不幸な子供』の大きなパネル(写真撮影可)を載せておくぞよ。
幸せだった頃のシャーロットのアップ。大切なお人形も一緒。
タンスには素敵なお洋服が並んでおる。
『恐るべき赤ん坊』
原画4点。これも救いようのない話で、罪もない赤ちゃんが何ゆえかような目に・・・よよ。
【Ⅱ章:ゴーリーが描く不思議な生き物】
『うろんな客』
原画4点。17年にわたる胡乱な話じゃが、悲惨さは全くありませぬ。
うろんさん(本名は不明)好きゆえ、原画にまた会えて嬉しゅうござります。
外のパネルの写真、うろんさんは左端に座っておるぞよ。
『音叉』
原画7点。家族に疎まれ海に身を投げる少女シオーダが哀れじゃし、虐めた家族も全員謎の死を遂げるが、海の怪物が何やら可愛いし(特にシオーダから身の上話を聞く時の怪物の姿)、怪物と暮らすシオーダも幸せそうだし、勧善懲悪感もあって、『不幸な子供』のような陰惨さは感じませぬ。
音叉が登場する意味は、イマイチよう分からぬがの。
お次はお2階、第2会場へまいるぞよ。
【Ⅲ章:ゴーリーと舞台芸術】
《トウシューズの中にいるニューヨーク・シティ・バレエのネコ》
グリーン、黄色、オレンジのグラデーションという、ゴーリーにしてはカラフルな背景。
トゥシューズと、シューズから覗くネコはモノトーン。
『金箔のコウモリ』
原画29点。バレエを題材にした作品。
ゴーリーは、ニューヨーク・シティ・バレエ団の全公演を観る為にニューヨークに住んでいたほど、バレエを愛しておったのじゃ。
少女モーディーはバレエの修行を積み、バレリーナとなって名声を博すが、単調な生活と孤独は変わらず、ラストもやはり・・・
最初のページの絵がラストを予感させるのもさすがじゃし、室内などの緻密な描写もツボ。
《無題(妖精のようなバレリーナ)》
Ogdred Mude(ゴーリーのアナグラム)によるオリジナル作品。
エレベーター横の案内に、この作品のお写真が。
《ドラキュラ・トイシアター》
原画5点。子供の頃から『ドラキュラ』(ブラム・ストーカー)がお気に入りだったゴーリーは、『ドラキュラ』を元にしたミュージカルのポスター、衣装、舞台装置などのデザインを担当。
2階ロビーに、表紙のパネル(写真撮影可)がございます。
《UNDERCOVER 無題(2020年春夏コレクション)》
ドラキュラ・モチーフのセットアップ。
黒地のコートの柄は、黒ずくめのドラキュラと薄水色のドレスを着た女性と、白とグレーの羽根のような模様。
コートの中の衣装には「???」となってしもうた。
《ミステリー!》
テレビ番組『ミステリー!』シリーズの為に制作されたもので、原画4点の他、約45秒のオープニング・アニメーションが流れておりまする。
思わず見入ってしまうこの映像、番組の知名度を大いに高めたというのも当然じゃろうて。
【Ⅳ章:ゴーリーの本作り】
ゴーリーが使用したペン、ペン先、画材なども展示され、興味深うござります。
『ジャンブリーズ』
原画18点。エドワード・リアの詩にゴーリーが絵をつけた作品ゆえ、陰惨さは全くありませぬ。
10人の男女がふるいの船で旅する話で、まるっとした人々の持ち物とかも謎すぎて楽しい絵。
【Ⅴ章:ケープコッドのコミュニティと象】
《エレファンタモス》
エッチング5点(前・後期合わせて9点)
ゴーリーは60歳を過ぎてから版画制作を始め、28部限定の《エレファンタモス》を発行。
このエッチングだけ観たらば、あの緻密な絵を描くゴーリーだとは全く分からんかった。
たいそう観応えござりました。
会場では絵本も読めまして、地下は立ち読みじゃが、2階では革張りのソファにゆったり座って読めまする。
全部読んだ事ある絵本なれど、ソファで読みふけってしもうた。
1階ロビーの椅子でも少し読めまする。
1階ロビーのゴーリーグッズ売場は、平日の昼間にもかかわらず行列で購入断念。
会期は6月11日まで。ご興味ある方はぜひ。
うろんさんと写真撮影できるコーナーも楽しみにしておったが、残念ながらなかったのじゃ。
寂しいゆえ、八王子市夢美術館と練馬区立美術館でのツーショを貼っておこうかの。
さて、松濤美術館へ行く前に、公園通りのデニーズに寄ったのでございます。
ここでは店舗限定・期間限定の、大好物のあのパフェが頂けるのじゃ。
フレッシュマンゴーのザ・サンデーをお願いいたしまする~!
おお~、大好物のマンゴーがたっぷり入っておる。
フィリピンから空輸されたマンゴーで、たいそう甘いぞよ。
これは毎日でも食べたいのぅ。え~い、おかわりを持ってまいれ~!
★本の話
皆川博子『風配図』
大好きな作家の新刊、素敵な装画はこれまた大好きな伊豫田晃一。
ここでネタばらしはいたしませぬが、戯曲や詩を挟みながら進む物語、一気に読んだのでございます。