Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

谷崎潤一郎の恋文 千葉俊二編 (中央公論社)

2015-03-10 10:32:45 | 日記
「盲目物語」や「春琴抄」「細雪」などの名作のモデルになった美貌の姉妹との書簡集です。佐藤春夫との細君譲渡事件も仰天ですが「御寮さんの侍女になります。一生あなた様にお仕え申すことが出来ましたら、たとえ身を亡ぼしてもそれが私には無上の幸せでございます」などと凡人が考えると気持ちが悪くなるような文面がずっと続きます。「盲目物語」や「春琴抄」が生まれた元はここからと思われるような書面です。こうして美貌の姉妹が傍にいるから傑作が書けると明言している。彼女たちに会わないと本が書けないと嘆く書簡などもあり、研究者には貴重な資料だそうです。
製本教室の仲間Oさんは昭和34年頃伝あって谷崎潤一郎の秘書の採用面接を受けたそうです。熱海の鳴沢で夫妻に合い、Oさんは細身だったので「秘書には重い物も持って貰いたいから」とチャンスは消えた。松子夫人からOさんへの”詫びと遊びにいらっしゃい”の自筆の手紙を見せてもらった。Oさんは新派の俳優梅島昇を父に持っていて若かりし頃はとても美人です。もし彼女が秘書になっていたら、また違った物語が書かれていたかも知れない(なあ~んて)。書簡集の中に「神戸の行きつけのレストランより熱海のモンブランのステーキの方が美味しい」と書いているがモンブラン(Oさんの遠戚)は熱海で今も健在で連れて行ってくださった。熱海は多くの文人墨客が居を構えた事で知られていますが、歴史が生き生きと伝わってきて面白い。