プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ ケイト・チャールズ「死のさだめ」

2023年12月05日 | ◇読んだ本の感想。
舞台がイギリス。教会建築。――という道具立ては好きで、面白くは読んだんだけど、
大きな疑問がある。
これ、事件が起きるの遅すぎませんか?

冒頭、事件が起きたことを示唆するプロローグが2ページあるが、
実際に事件が起こるのは340ページ。約500ページの小説の340ページですよ。
わたしは、ミステリの本体は捜査の部分にあるものだと思っているのだが……
捜査部分は100ページ程度。それだと物足りないなあ。
前菜がいくら凝っていて美味しくても、肉料理がサイコロステーキ1個では不満でしょう?
そういう物足りなさを感じる。

そして、この人の3作品全部で感じたことだが、時々主人公やヒロインが
突然バカになったり嫌な人になったりするのよね。
いやいやいや、そこまで向こう見ずなことをする必要性がないやろ、と思ったり、
男に言い寄られた時には、恋人がいるとはっきり言え!と思ったりする。
何を思わせぶりにやっとんねん!
そのわりには主人公もヒロインのことも、基本的には善人型に書きたがってるのよね。
善人型に書くなら書くで、一貫性を持たせて欲しいものなのだが。

日本語への翻訳は多分3冊で終わり。本国ではさらに何作かは出ているはずだが。
最寄りの図書館にないだけかもしれないけど。
まあイギリスの教会制なんていうのはあまり馴染みがないところで、
それを延々読まされるのが嫌だった人も多かったに違いない。

面白かったですけどね。欠点はあったが、美点もあった。
わたしにとっては前述の通り、舞台がイギリス。教会建築。
ジャンルとしてはこういうのありがたいのよね。もっと読みたい。

英国ミステリは多々あるけど、どれが面白いかという情報がなかなかなかなくて……
近年の英国ミステリで評価が高いのは、しっかりしすぎているものが多くて、
コージー系を読みたいわたしには少し疲れる。




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