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本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

フィギュアスケート 全日本選手権 2014 女子。

2014年12月29日 | フィギュアスケート。
最初に言うけどね。映った人全て、かなり良かったよ。明確に瑕疵が見えたのはせいぜい1人か2人。
転倒ももしかして映った人の中では、いなかったんじゃない?
それってすごくないすか?どんだけレベルが高いんだ。

全員について感想を述べたいわけではなくて、感想を持った人についてだけ(なるべく少人数に)
コメントしたいだけなのだが、なんだか多分全員に一言感想を持った。
出てくる人出てくる人、みないいんだもの。

いや、13歳14歳の人たちはほんとみんな上手かった。わたしがよく感じる、
“きちんとまとまってるけど、むしろ今後ののびしろが不安”という上手さじゃなくて、
伸び伸び滑っていてキレイ。という人たちに見えた。
ほぼ全員良かったよ、とまとめた上で、言いたいことを。




今回の村上佳菜子の得点は、わたしにとってはオオゲサに言えば激震ですね。
本人が全く気付かず満面の笑み、コーチ陣も気付かず、観客もスタンディングオベーションというなら、
どうしてこうなった?

解説の荒川静香も意外そうだった。
それまで普通に流れて来て、村上佳菜子の得点の時から急に回転に厳しくなった。
「4分の1回転不足という範囲はあるはずですが……」と
(これはジャッジに対する不満ではないので、これを咎めることはするなよ、連盟よ。
厳しいジャッジを厳しいと誰か教えてくれる人がいなくなったら、見ている人のストレスは増大する)

それまでは特に目につかず、村上佳菜子の時に急に厳しくなるジャッジってどうなんですかね?
わたしはおおむね陰謀史観的なので、連盟は村上佳菜子を切ったんだな、と思った。
浅田真央がいなくなって、大きなスターが消えた。わたしの周りのフィギュアファンも
「張り合いがなくなったね」と言っている。男子はユヅルという大きな星がいるが、女子は(やはり)小粒だ。
その現状を打開するために、もうベテランといえる村上より新しい世代をフィーチャーし、
一般人気を繋ぎとめようという。

国内大会で、しかもシーズン中盤のこの時期なんだから、だんだん点数が出やすくなっている筈なのに、
特にこれといったミスがないのにあそこまでがっつり下げられると、何を見ていいかわからなくなる。
まあわたしはジャンプの種類さえ見分けられないレベルだが、解説、コーチ陣までが疑問に思う点数の厳しさだと
一般人は一体何を見ればいいのか。

若手用の採点とベテラン用の採点があったとしか思えないね。
若手たちは全体的に素晴らしかったけど、それはあくまで若手として(経験不足のなかでの)素晴らしさであって、
表現力とか曲の繋ぎとか、ベテランと比較したら段違いに足りないもの。
今井遥だって、わたしは正直そんなに好きなスケーターじゃないけど、
ここ去年くらいから力強さが出てきて、メリハリもついてきた。
大きな失敗もなかったし、後輩たちに軒並み道を譲って10位になる演技ではなかった。
まあ5位以下は、ほぼ差のない点数だから仕方ないのかもしれないが。


樋口ワカバ、あんだけ放送的にハードルを上げて来て大丈夫かな?とわたしは懐疑的に見ていたが、
その懐疑的に見ていた目でもかなりよく見えた。スピードと高さがあるのが一番の武器。
滑りが小気味いい。飛び出すような元気さを感じさせる。それで見てる人をのせる。
全体的に粗くてまとまっておらず、あちこち不備はあるけど、それも今後に向けての伸びしろだと感じさせる。
選曲も難しい曲を選んだよね?
(ってか、曲の難しさはむしろ弾いてる古澤にとってか?あれだけ素早く指を滑らすのは難しいでしょう。)
インタビューもしっかりしてた。

と、見終わった後は好感触だったのにさ……。

村上佳菜子が点数が予想外に悪く、あれが57点でこっちがあの粗い演技で64点?どうして?と思ってしまうわけで。
その結果、無意識のうちに樋口ワカバに「ああ、何だかわからないけど高得点が出た子ね」
というイメージがついてしまうのです。これはフィギュアスケートにとって全然いいことじゃない。


長年フィギュアスケートを見ている。
だから、フィギュアスケートは採点競技だっていうこともわかってる。
そしてベテランの点が出やすいことも、思惑が色々からむことも、好き嫌いもあるという部分には既に慣らされている。
それを一応乗り越えた上でこっちも見てるんだから――あまり極端なことはしないでほしいよ。
前にも感じたことがあるけど、一般人と専門家の見方があまりにも乖離した場合、
それはその競技の人気を下げることに繋がるんだからさ。


宮原、本郷は順調に滑って順調に点数が出た。普通の国内大会並みの出方。




※※※※※※※※※※※※



フリー。


とりあえずフジテレビは無理な樋口ワカバ押し(推しじゃなくて押し)を止めた方がいいんではないか……
本人のためにならない。42年ぶりの13歳の全日本選手権制覇か!?なんて煽るから、
むしろイライラしてくるぞ。本人に全く責任のないところでイメージが悪くなる。
そうでなくても負けん気の強さが吉と出るか凶と出るか、微妙な感じなのに。
今後おおいに期待出来る人だとは思うが、だからこそそっとしておいてやれ。


まあとにかく今回は村上佳菜子がかわいそうだった。
梯子を突然外された状態。目の前で突然扉を閉められた状態。足元の大地が急に無くなった状態。
いろんな言い方が出来ると思うが、それでもよく滑ったよ。
何を信じていいかわからなかったと思う。後半の3回転が跳べなかったのも無理はない。
昨日の今日で、20歳が「跳ぶしかない」と腹をくくるのは無理。
プレッシャーが半端じゃなかっただろう。足がすくむほどの恐怖だとわたしは想像した。
これから一から作り直せというのは残酷だ……。コメントは立派だった。その強さを今後に活かして欲しい。



わたしは本郷理華と宮原知子、どちらも同じくらい好きなので、このシチュエーションで
彼女たちをどのように見れば良いか迷う。
全然カラーが違うし、比較して見られない。


今回は宮原の(点数的に)圧勝。わたしはどっちが勝ってもおかしくないと思っていたが、
意外に点差がつきましたね。
わたしは宮原の繊細な表現とその女優性を愛するが、ジャンプはやっぱり低いよねー。
ここは出来れば改善して欲しいけどなー。夏に海外でジャンプの高さを出す訓練を、誰かにやってもらってたよね。
回転不足は、彼女は大丈夫なんですか。

全日本制覇、おめでとう。
田村岳斗が最初完全に蚊帳の外で笑った。素直な意味で。
濱田コーチとは濃密な師弟関係っぽいからなあ。濱田コーチは一緒に立ち上がって手を振ってたし。


本郷は、滑り終わった時はこれで一位は決まりだろうと思ってた。
今年安定して良い出来だと感じるが、GPファイナルの時よりフリーは良かったと思う。
確かに守ってない。守る立場でもないというのが自分でわかっている。それはまだ強みだよね、若さの。
しかし今年の(予想外の)実績が、知らず知らずのうちにプレッシャーになる時も必ず来る。
その時にも今のように平常心で滑れる強さを持っていることを期待する。


世界選手権に期待。
村上佳菜子も世界選手権で見返してやれ。



今回の13歳14歳はみんなそれぞれにスゴかったけど、何にせよ女子は16歳17歳にさしかかって
体に脂肪がついてからが勝負ではありますからね。
まだ海のものとも山のものとも言えないと思う。

永井優香はゆったりしたスケートで好きな方。が、早くも抽斗の数が気になっている。
幅を広げられれば今後も期待出来そうだが……
坂本花織は3+3がショートでもフリーでも良かった。スピンも速いし、メリハリとスピードがあって
この人も好きかも。体力は、後半尽きたか。
木原万莉子は、去年病気でほとんど練習が出来なかったらしいので。今年少し硬かったり弱かったりするのは
仕方ないと思う。スピンきれいだったし。この年齢でこのフリーの壮大な曲を滑るのは個性かもしれない。今後期待。
個性で言えば、中塩美悠が個性的かな。大人っぽい。実際18歳で、他よりは大人か。しかしちょっと物足りないか。
新田谷凛も好きな滑りかもしれない。しかしまだわからないなあ。



全体的な振付で思うんだけど、振付にタメがあるのとないのとじゃ、けっこう見栄えが違うよね。
途中でまったく曲調を変えて、その時に静止するの。
印象も強くなるし、本人は一息つけるし、いいことづくめ。
何で全員がやらないんだろう?と首をひねるくらい、わたしは効果的だと思うのだが。

今回の本郷理華の「カルメン」もあそこでけっこうな印象を与えてると思うし、
数年前のユヅルの世界選手権だかでの銅メダルも、「ロミオとジュリエット」、ストレートラインステップに
入る前のあのタメが彼に銅メダルを取らせたと思っています。
13歳14歳の振付にはタメがなくて平板に見える。まあそういうのって、まだ言うには早いですかね。






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