プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 母の待つ里 >

2024年12月24日 | ドラマ。
とにかく宮本信子が良かった。さすがです。

話としてはね。
基本的にはいいんだけど、若干気になる部分があり、全面的にはのれなかった。
コピーが「ねえ、母さん。あなたは誰ですか?」だったでしょう。
それでてっきりミステリ要素のある作品だと思ったのよね。
最後のお母さんの正体でドンと来るのかと思いきや、そういうわけではなかった。
そこでちょっと下がった。

あとは佐々木蔵之介の役が納得感がなかった。
中井貴一と松嶋菜々子の役は社長・医者というすごくティピカルな設定だから
説明なしでも全く気にならないのよ。典型的な社長。典型的な医者。

でも蔵之介の役は、一泊50万出す人に見えないのよね。
たしかに退職金があるだろうし、旅行に50万出すのはまあありとしても、
それでも「一泊に」50万出す金銭感覚の人じゃないだろうと。
社長・医者のクレカと一般会社員のクレカが同じカードというのもちょっと違和感。

それに加えて、蔵之介がこの役にハマってないと思う。
ところどころで変にかっこいい。垢ぬけている。そうなるのは違うと思う。
「一見ちゃんと見えるのにその実体はだらしのない人」っていうキャスティングは
もっと他に誰かいた気がするけど。

そして突然出てきた満島真之介が、お母さんの背後事情を解き明かすのは、
これも違うと思う……。
アンタ誰やねん?じゃない?そしてその語る話もイージーだ。
それまでの話がまあなんとか上手く出来てたとして、突然の登場ではねえ。


――という辺りに不満があるが、素直に言って、それを乗り越えさせるほどの
魅力が宮本信子にはあった。

東北とは縁もゆかりもなさそうな経歴なのに、なんであんなに「東北のおばんつぁん」が
はまっているのかね?なんであのあったかみが出せるのかね?

方言的にはどこの方言を正確に写したということではないらしい。
それは正解だと思う。どこのっていうと、やっぱり創作ではほころびも出ますからね。
これでもかっていうほど使っているのはうっすら気になるけど、
違和感のまったくない。

ロケもいいところ見つけましたー。
特に、3話の桜のシーン。デジタル的に花びらくらいは足してるかもしれんが、
ちょうどいい桜でしたねえ。田舎の。有名ではない。しかし美しい桜。
その桜をバックに見送っている宮本信子の姿は感動的だった。


重隅だと、まあ設定的には無理がある。
正直、こんなとんでもないアルバイトを「ってことにするからよろしくね」
と言われてもどうかねえと思う。

限界集落を舞台にすればまだ納得出来た。バスが通っててあんな立派な酒屋が一軒あって、
あんな立派な寺があって、おばあさん一人で暮らしているあんな大きな家が
ぴかぴかなんて……リアリティがないのよ。
まあファンタジーだからリアリティを求めちゃいかんのかもしれないけど。

子どもが3人(4人)ってのいうのもねえ。
あれだけ大掛かりにやって4人。1人当たり年3回利用したとして600万。
事業として考えるなら諸経費・人件費がけっこうかかるから、全然ペイしない気がする。
まあファンタジーだから……(以下略)


わたしはお母さんの正体をこんな風に予想していた。
引退した元女優、実は生家が地元の土地持ちで大金持ち、
カード会社の事業ではなく(カード会社も利益を得ているが)、
「子供たち」を得たい、お母さん側からも親子ごっこをしたかった。

これならまあまあ話を作れたんじゃないかと思う。その場合満島真之介の役はナシ。
もう少しサスペンス風味を加味して(どのように加味するかは不明)、
お葬式でなるほど、となれたのではないかと思う。
まあ好みの問題ですね。

見るかどうか迷ったドラマだったが、見て良かった。面白かった。
里の風景。古民家の美しさ。桜の美しさ。宮本信子の演技。
しんねりしたドラマはあまり好きじゃないが、美しいものを見せてもらった。





あ、そうそう、中井貴一の秘書役の入山法子なる人。
まだ名前を覚えるにはいたってないが、この頃よく見るようになりましたね。
美人というより個性的な顔。印象に残る。
だんだんいい役になってきて、ちょっと楽しみ。



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